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相続税が申告不要なケースはどんなもの? 算定方法と注意点

2022年06月15日
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相続税が申告不要なケースはどんなもの? 算定方法と注意点

京都府を管轄する大阪国税局が公表している相続税の申告事績の資料によると、令和2年の京都府の死亡者数(被相続人数)は、2万6860人でした。そのうち、相続税の申告書の提出に係る被相続人の数は、2709人でした。つまり、亡くなった方全体のうち、約1割について、相続税の申告書の提出が必要であったとみることができます。

相続が発生した場合には、相続財産の金額によっては、相続税の申告が必要になることがあります。相続税の計算に関しては、基礎控除を初めてとしてさまざまな控除を利用することができます。それによって相続税の申告が不要になったり、相続税がゼロになったりすることもあるのです。そのため、これから相続が控えているという方は、ご自身の利益のために、相続税申告の要否についてしっかりと理解しておいたほうがよいでしょう。

本コラムでは、相続税の申告が不要になるケースや基礎控除の計算方法などについて、ベリーベスト法律事務所 京都オフィスの弁護士が解説します。

1、相続税の申告が不要となるケース

相続税の申告が不要になるケースとしては、以下のケースが挙げられます。

  1. (1)相続財産の総額が相続税の基礎控除以下である場合

    被相続人の遺産を相続することになった場合であっても、相続財産の総額が相続税の基礎控除以下である場合には、相続税の申告は不要となります
    相続税は、相続財産の総額から基礎控除を差し引いた後の残額に対して課税されることになりますので、相続財産の総額が基礎控除額以下である場合には、そもそも課税される金額が存在しないからです。

    遺産を相続すると「相続税の申告が必要では?」と思う方も多いかもしれませんが、実際には、相続財産が基礎控除以下であるなどの理由で、相続税の申告が不要となることのほうが一般的なのです。

  2. (2)基礎控除を超えても各種控除によって相続税額がゼロになる場合

    相続財産の総額が基礎控除額を超えている場合には、原則として相続税の申告が必要となります。
    しかし、以下のような控除を適用することによって相続税額がゼロになる場合には、例外的に相続税の申告が不要となるのです。

    ① 障害者控除
    障害者控除とは、障害を抱える相続人が被相続人の遺産を相続した場合に、相続税の軽減を受けることができる制度のことをいいます。
    これは、相続税が課税されることによる障害者の日常生活への負担を軽減することを目的とした制度です。
    障害者控除が適用された場合には、満85歳になるまでの年数1年につき10万円または20万円が控除されます

    • 一般障害者 10万円×(85歳-相続開始日の障害者の年齢)
    • 特別障害者 20万円×(85歳-相続開始日の障害者の年齢)


    なお、障害者控除を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

    • 法定相続人であること
    • 相続や遺贈で財産を取得したときに障害者であること


    ② 未成年者控除
    未成年者控除とは、相続人が未成年の場合に、相続税の軽減を受けることができる制度のことをいいます。これは、未成年の相続人が成人になるまでの教育費などを考慮して、相続税の負担を軽減することを目的とした制度です。
    未成年者控除が適用された場合には、相続税額から以下の金額が控除されることになります

    • 相続開始が令和4年4月1日以降の場合
      10万円×(18歳-相続開始日の未成年者の年齢)


    • 相続開始が令和4年3月31日以前の場合
      10万円×(20歳-相続開始日の未成年者の年齢)


    なお、未成年者控除を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

    • 法定相続人であること
    • 相続や遺贈で財産を取得したときに未成年者であること


    ③ 相次相続控除
    相次相続控除とは、相次いで相続が発生した場合に、相続税の軽減を受けることができる制度のことをいいます。
    短い期間で相次いで相続が発生した場合、同一の財産に対して課税が繰り返されることになりますが、それによって相続税の負担が過重になってしまうことを避けるための制度です。
    相次相続控除が適用された場合には、以下の計算式によって算出した金額が、相続税額から控除されることになります

    A×C/(B-A)×D/C×(10-E)/10

    1. A:二次相続(今回の相続)の被相続人が一次相続(前回の相続)で課された相続税額
    2. B:二次相続の被相続人が一次相続で取得した財産額
    3. C:二次相続の相続財産の合計額
    4. D:相次相続控除を受ける相続人が二次相続で取得する財産額
    5. E:一次相続から二次相続までの期間


    なお、相次相続控除を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

    • 法定相続人であること
    • 一次相続から10年以内に二次相続が発生したこと
    • 二次相続の相続人が一次相続で相続財産を取得し、相続税が課税されたこと

2、基礎控除の計算方法

相続財産の総額から控除することができる相続税の基礎控除は、以下のように計算をします。

  1. (1)法定相続人の確定

    相続税の基礎控除については、法定相続人の人数に応じて金額が変わってきます。そのため、基礎控除額を計算する前提として、法定相続人を確定する必要があります。
    法定相続人は、民法の規定に従って判断されます。
    具体的には、以下のような方が、法定相続人にあたります。

    • 配偶者(常に相続人)
    • 被相続人の子ども(第1順位)
    • 被相続人の父母(第2順位)
    • 被相続人の兄弟姉妹(第3順位)


    遺産相続においては、相続放棄をした相続人がいる場合には、はじめから相続人でなかったものと扱われますが、相続税の計算においては相続放棄があっても基礎控除には影響はありません。
    そのため、法定相続人に相続放棄をした人がいる場合でも、その人を含めて基礎控除の額が計算されることになるのです。

  2. (2)基礎控除の金額を算定

    基礎控除の金額は、以下の計算式によって算出します。

    基礎控除の額=3000万円+(600万円×法定相続人の数)


    たとえば、被相続人が亡くなり、法定相続人が、配偶者と2人の子どもである場合には、基礎控除の額は以下のようになります。

    3000万円+(600万円×3人)=4800万円
  3. (3)相続財産の確定

    遺産相続の対象となる相続財産を調査して、相続財産を確定します。相続財産には現金、預貯金、不動産といったプラスの財産だけでなく借金などのマイナスの財産も含まれます。
    また、相続人が受取人となっている生命保険の死亡保険金は、遺産相続においては相続財産には含まれませんが、相続税の計算においてはみなし相続財産として相続財産に含めて計算をすることになります。

    相続財産に漏れがあると、相続税申告が必要であるかどうかを正確に判断することができません
    そのため、しっかりと調査をすることが大切です。

  4. (4)相続財産の総額と基礎控除の額を比較

    最後に相続財産の総額と基礎控除の金額を比較して、相続税の申告が必要であるかを判断します。

    基礎控除の金額が相続財産の総額を上回る場合には、相続税の申告は不要となります。
    そうでない場合には、相続税の申告が必要となるのです。

3、相続税以外で発生する税金

遺産相続においては、相続税のほかにも、以下のような税金が発生する可能性があります。

  1. (1)所得税

    被相続人が個人事業を行っていたり、不動産賃貸を行っていたりする場合には、被相続人が納めるはずであった所得税を、相続人が代わって納めなければならない場合があります。

    この場合には、相続開始から4カ月以内に準確定申告という手続きを行う必要があります
    相続税の申告とは別の手続きになりますので、該当する方は忘れずに手続きを行うようにしましょう。

  2. (2)譲渡所得税

    被相続人の遺産である不動産や有価証券を相続した場合には、名義変更した後そのまま利用することもありますが、状況によっては売却をして現金化することもあります。

    このように相続財産を売却したことによって利益が生じた場合には、当該利益に対して、「譲渡所得税」という税金が課税されるのです。

  3. (3)登録免許税

    相続財産に不動産が含まれている場合には、被相続人の名義から不動産を相続した相続人の名義に変更をする必要があります。
    このような名義変更のことを「相続登記」といいます。

    相続登記をする際には、不動産の評価額に応じて、「登録免許税」という税金を支払わなければなりません

  4. (4)固定資産税

    遺産相続によって不動産を取得した場合には、固定資産税という税金を納める必要があります。

    固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に対して課税される税金です。
    不動産を所有している場合には、毎年、必ず納めなければなりません

4、遺産相続の悩みは弁護士へ

遺産相続についてお悩みの方は、弁護士に相談をすることをおすすめします。

  1. (1)相続税の申告の要否についてアドバイスをもらえる

    相続税申告書の提出が必要であるかどうかについては、被相続人の相続財産を調査しなければ正確に判断をすることができません。
    しかし、相続人が被相続人のすべての財産を把握しているということは少なく、相続財産調査によって知らなかった財産が見つかるということも珍しくありません。

    正確な相続財産調査は、相続税申告の要否を判断するために不可欠となりますので、相続財産調査に漏れがないようにするためにも、専門家である弁護士に相続財産の調査を依頼することをおすすめします
    弁護士であれば、相続財産調査の方法を熟知していますので、相続人が把握していない財産であっても、適切な調査によって明らかにすることができます。

  2. (2)遺産分割のサポートを受けることができる

    相続財産調査によって相続税の申告が必要であるか不要であるかを判断することができたとしても、それで手続きが完了、というわけにはいきません。
    被相続人に遺産がある場合には、相続人全員で話し合って、遺産分割方法を決めなければならないためです。

    しかし、遺産分割においては相続人同士の意見の対立が生じて、当事者同士の話し合いではスムーズに遺産分割を進めることができないことも多々あります。
    そのため、遺産分割の手続きは弁護士に依頼をすることをおすすめします

    弁護士に依頼をすることによって、相続人の代理人として弁護士が遺産分割協議に参加して、話し合いを進めることができます。
    専門家による客観的な意見が加わることで、当事者同士で話し合いをするよりも、トラブルを避けて速やか合意に至りやすくなるのです。
    また、相続人に特別受益や寄与分がある場合には、それもふまえた相続分を、弁護士が計算することができます。したがって、より適切な遺産分割内容となるでしょう。

5、まとめ

遺産を相続することになったとしても、相続財産の総額が基礎控除の範囲内であれば、相続税の申告は不要となります。
また、基礎控除を超える場合であっても、障害者控除、未成年者控除などの制度を利用することによって、相続税の申告が不要になる場合もあるのです。

ただし、申告義務があるにもかかわらず「相続税の申告が不要だ」とご自身で判断してしまうと、後日になって、申告漏れを指定されるリスクがあります。
相続税の申告の要否や遺産分割手続きは、ぜひ、弁護士に依頼してください。

京都にお住まいで、遺産相続にお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 京都オフィスにご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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