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業務妨害罪とは? 3つの類型別に成立要件・罰則・具体例を解説

2023年11月16日
  • 暴力事件
  • 業務妨害罪
業務妨害罪とは? 3つの類型別に成立要件・罰則・具体例を解説

嫌がらせやいたずらのつもりであっても、他人の業務を妨害すると犯罪になって逮捕・処罰されることがあります。

令和5年3月、京都府東山区にある病院に無言電話を1675回かけて、病院の業務を妨害した疑いで京都市内に住む女性が逮捕されました。

このような事件は全国的にもめずらしくありません。そのため、ニュースなどに耳を傾けていると「業務妨害で逮捕」といったフレーズを聞く機会は多いはずです。しかし、業務妨害とはどのような犯罪で、どのような行為が処罰されるのかを詳しく知っている方は少ないでしょう。

このコラムでは「業務妨害罪」に注目して、偽計業務妨害罪・威力業務妨害罪・電子計算機損壊等業務妨害罪の3つの犯罪が成立する要件や罰則を、京都オフィスの弁護士が解説します。

1、業務妨害罪とは

「業務妨害罪」とは、刑法第2編第35章の「信用及び業務に対する罪」に規定されている次の3つの犯罪を指します。

  • 第233条 偽計業務妨害罪
  • 第234条 威力業務妨害罪
  • 第234条の2 電子計算機損壊等業務妨害罪


冒頭で挙げた事例のように、この罪が適用されるのは他人の「業務」を妨害した場合です。ただし、業務妨害罪が保護している「業務」とは、一般的にイメージされる「仕事」だけに限りません。
法律用語としての業務とは「人が社会生活上の地位に基づいて反復継続しておこなう行為」と定義されています。
たとえば、一般的には仕事とは評価されないものでも、次のような行為は、法律上の業務として業務妨害罪の保護を受けるのです。

  • 組合や団体の活動
  • サークル活動
  • ボランティア活動
  • PTAなどの組織活動
  • 有料・無料のイベント・展覧会・セミナーなど


業務=仕事といったイメージを持っていると、「利益に直結しない活動については業務にあたらない」と思ってしまうかもしれません。
しかし、業務妨害罪では、利益の有無に関係しない文化的・精神的な活動も業務にあたるという点に注意してください

2、偽計業務妨害罪とは

ニュースなどでも報道される機会が多いのが「偽計業務妨害罪」です。
偽計業務妨害罪が成立する要件や罰則などは、下記の通りになります。

  1. (1)偽計業務妨害罪の法的根拠と罰則

    偽計業務妨害罪は、刑法第233条に規定されています。

    【刑法第233条(信用毀損及び業務妨害)】
    虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の信用を毀損し、またはその業務を妨害した者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。


    刑法第233条は、信用毀損罪と偽計業務妨害罪という2つの犯罪を規定しています。
    業務妨害の結果が生じた場合は偽計業務妨害罪が成立し、相手の経済的な信用評価に対して危害が加われば信用毀損罪に問われますが、どちらが適用された場合でも罰則は同じです。

  2. (2)偽計業務妨害罪が成立する要件と具体例

    偽計業務妨害罪が成立するのは、次の2つの要件を満たす場合です。

    • 虚偽の風説を流布、または偽計を用いること
    • 他人の業務を妨害すること


    「偽計」とは、人を欺き誘惑する、人の錯誤や不知を利用することを意味します。
    つまり、相手をだます、虚偽の情報を流すなどの方法を用いる行為が「偽計」とされるのです

    「他人の業務を妨害する」ことには、「実際に業務の遂行を妨げる結果を生じさせた」場合だけでなく、「業務が妨害される危険がある状態」を生じさせた場合も含みます。
    たとえば、相手にうそを看破されたとして実際に業務妨害の「結果」は生じさせなかった場合でも、業務妨害の「危険」を生じさせてしまったなら、偽計業務妨害罪は成立するのです

    偽計業務妨害罪にあたりうる行為としては、次のような例が考えられます。

    • インターネット上の口コミを利用して、飲食店について「あの店で食事をしたら異物が入っていた」などのうその情報を流した
    • デリバリーサービスを提供している飲食店に対してうその注文をした
    • 実際に利用する意思がないのに宴会の予約を入れた
    • 感染症にかかっているかのように装って飲食店を利用し、その状況をSNSにアップして消毒や保健所への通報などを余儀なくさせた
    • ライバル店への嫌がらせ目的で、コインロッカーの鍵を閉めて持ち去り、コインロッカーを使えない状態にした


    嫌がらせやいたずらのつもりで行った行為でも、厳しく罰せられる可能性がある、と心得ておくべきでしょう。

3、威力業務妨害罪とは

偽計業務妨害罪と同様に、ニュースなどでもよく登場するのが「威力業務妨害罪」です。
威力業務妨害罪が成立する要件や罰則は、以下のようになっています。

  1. (1)威力業務妨害罪の法的根拠と罰則

    威力業務妨害罪は、刑法第234条に規定されています。

    【刑法第234条(威力業務妨害)】
    威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。


    条文に示されている「前条」とは刑法第233条の偽計業務妨害罪を指すので、威力業務妨害罪の罰則は偽計業務妨害罪と同じく3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

  2. (2)威力業務妨害罪が成立する要件と具体例

    威力業務妨害罪が成立するのは、次の2つの要件を満たす場合です。

    • 威力を用いたこと
    • 他人の業務を妨害すること


    ここでいう「威力」とは「相手の意思を制圧する程度の強い威勢を示すこと」を意味します
    脅迫罪の場合には、相手を脅して畏怖させたり、不同意わいせつ罪のように相手を抵抗できない状態にさせたりするなどの強い「有形力」が必要とされますが、「威力」にはもっと幅広い範囲の行為が当てはまります。
    大声で怒鳴る、過剰に暴れる、危害を加える内容で脅すといった行為のほか、強い勢いで何度もクレームを繰り返すといった行為も、威力業務妨害罪における「威力」に該当しえます。

    なお、「他人の業務を妨害する」という点では、偽計業務妨害罪と同様に、威力業務妨害罪でも、実際に業務妨害の「結果」は生じなくても業務を妨害する「危険」を生じさせたなら成立するおそれがあるのです。

    威力業務妨害罪が成立しうる行為の具体例としては、下記のようなものがあります。

    • 官公庁や施設に対して爆破予告のメールを送信した
    • スーパーの店内で、店員や周囲の客がいるなかで床に大便をした
    • 店員の対応を撮影する目的で、衣料品店で購入したシャツを「偽物だ」と主張して返品を迫った
    • 組合への加入やストライキの参加を要求し、これに応じなかった相手の前に大勢で立ちふさがってトラックの出発を妨害した


    以前は爆破や殺人などの犯罪予告が検挙される事例が主流でしたが、近年では動画撮影などの目的でいたずらや脅迫・強要まがいの行為に走り、刑事事件化する事例も目立つようになりました。
    たとえ軽い動機だったとしても、実際に業務妨害の事実や危険が生じていれば威力業務妨害罪が成立して厳しく罰せられるため注意が必要です

4、電子計算機損壊等業務妨害罪とは

一般的に「業務妨害罪」とは偽計業務妨害罪・威力業務妨害罪の2つを指しますが、コンピューターを使用した犯罪について法律が整備されるなかで昭和62年に追加されたのが「電子計算機損壊等業務妨害罪」です。

  1. (1)電子計算機損壊等業務妨害罪の法的根拠と罰則

    電子計算機損壊等業務妨害罪は、刑法第234条の2に規定されています。

    【刑法第234条の2(電子計算機損壊等業務妨害)】
    人の業務に使用する電子計算機もしくはその用に供する電磁的記録を損壊し、もしくは人の業務に使用する電子計算機に虚偽の情報もしくは不正な指令を与え、またはその他の方法により、電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、または使用目的に反する動作をさせて、人の業務を妨害した者は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金に処する。


    電子計算機損壊等業務妨害罪とは、従来の業務妨害罪の加重規定です。
    そのため、偽計業務妨害罪・威力業務妨害罪よりも重い刑罰が規定されています

  2. (2)電子計算機損壊等業務妨害罪が成立する要件と具体例

    電子計算機損壊等業務妨害罪が成立する要件は、次の4つです。

    • 業務に使用するコンピューターを対象としていること
    • コンピューター本体やデータの破壊、虚偽データや不正な実行などがあること
    • コンピューターに目的に沿う動作をさせない、あるいは目的に反する動作をさせること
    • 他人の業務を妨害すること


    偽計業務妨害罪・威力業務妨害罪では、実行行為が主に人に向けられますが、電子計算機損壊等業務妨害罪では業務妨害の実行行為がコンピューターに向けられるという特徴があります
    データやシステムプログラムの削除のほか、コンピューターウイルスによって不正なプログラムを実行させる行為も該当します。

    具体的には、次のような事例で、電子計算機損壊等業務妨害罪が適用されています。

    • 元勤務先のパソコンに不正にアクセスし、顧客情報や契約書などのデータを削除して業務を妨害した
    • オンラインゲームのデータを改変するツールを作成して配信元が意図しない動作を繰り返させ、業務を妨害した
    • SNSで多額の広告収入を得ている管理者を監禁して管理パスワードを聞き出し、SNSのアカウントを不正に削除して業務を妨害した

5、まとめ

いたずらや嫌がらせのつもりで、実際には大きな危害を加えるつもりがなかった場合でも、他人の業務を妨害した時点で偽計業務妨害罪・威力業務妨害罪が成立するおそれがあります。
また、近年ではSNSやオンラインゲームに関連して電子計算機損壊等業務妨害罪が適用された事例も散見されており、軽率な行為が犯罪になってしまうおそれもあるので注意が必要です。

業務妨害罪にあたる行為が発覚すれば、逮捕・刑罰を受ける可能性があります。
厳しい処分を回避するには、被害者に対して真摯(しんし)に謝罪したうえで示談交渉をすすめる必要があるので、刑事事件の解決実績が豊富な弁護士のサポートは欠かせません。

業務妨害罪での逮捕・刑罰を回避したいと考えるのであれば、ベリーベスト法律事務所 京都オフィスにお任せください
グループ内の刑事事件専門チームとも連携しながら、厳しい処分を回避するために、弁護士が全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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