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養育費の計算方法|算定表の例外ケースや取り決め方を解説

2022年05月19日
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養育費の計算方法|算定表の例外ケースや取り決め方を解説

裁判所が公表している司法統計によると、令和2年に京都家庭裁判所に申し立てられた養育費請求調停は、304件でした。話し合いで養育費の金額や支払い方法を決めることができず、紛争になってしまうことは、しばしば起こり得ます。

子どもがいる夫婦が離婚をする際にトラブルになりやすいのが、「養育費」に関する項目です。養育費を請求する側からすれば今後の正確に不安があるため少しでも多くの金額をもらいたいと考える一方、養育費を支払う側としては少しでも負担を減らしたいと考えるため、双方の意見が対立してなかなか金額が決まらないことがあるのです。

そのような場合に、「養育費算定表」が一つの基準となり得ます。本コラムでは、養育費の計算式や計算方法について、ベリーベスト法律事務所 京都オフィスの弁護士が解説します。

1、養育費の計算方法

夫婦(父母)の話し合いでは養育費の金額が決まらないという場合には、「養育費算定表」を利用して話し合うことも一つの方法です。
以下では、養育費算定表による養育費の計算方法と注意点について説明します。

  1. (1)養育費算定表とは

    養育費算定表とは、標準的な養育費の金額を簡易かつ迅速に算定することができるように作成された表のことをいいます。養育費算定表は、裁判所のホームページ上に掲載されており、家庭裁判所の調停や裁判において養育費の金額を決める際に利用されているものです。

    夫婦(父母)間で養育費の金額が決まらないという場合には、養育費算定表を利用して標準的な養育費の金額を把握することによって、話し合いがスムーズに進むこともあります

  2. (2)養育費算定表を利用した養育費の計算方法

    養育費算定表を利用して養育費計算をする場合には、以下のような手順で行います。

    ① 該当する表を選択
    養育費の算定表は、子どもの人数と年齢によって、以下の9つに分かれています。

    • 養育費・子1人表(子0~14歳)
    • 養育費・子1人表(子15歳以上)
    • 養育費・子2人表(第1子及び第2子0~14歳)
    • 養育費・子2人表(第1子15歳以上、第2子0~14歳)
    • 養育費・子2人表(第1子及び第2子15歳以上)
    • 養育費・子3人表(第1子、第2子及び第3子0~14歳)
    • 養育費・子3人表(第1子15歳以上、第2子及び第3子0~14歳)
    • 養育費・子3人表(第1子及び第2子15歳以上、第3子0~14歳)
    • 養育費・子3人表(第1子、第2子及び第3子15歳以上)


    まずは、ご自身の家族構成に該当する養育費算定表を選択しましょう。

    ② 権利者と義務者の収入を選択
    養育費算定表は、夫婦(父母)の収入を基準として養育費の金額を計算するという方法が採用されています。

    具体的な算定表では、縦軸が義務者(養育費を支払う側)の年収、横軸が権利者(養育費をもらう側)の年収になっていますので、それぞれ該当する年収額を選択します。なお、算定表は、現在の時点で、令和元年12月23日に公表された改定標準算定表(令和元年版)が使われています。令和元年12月23日以前の算定表とは金額が異なっていますので、ずいぶん前に離婚して算定表を利用したという場合は、改定標準算定表では、数字が変わっているかもしれません。

    サラリーマンのような給与所得者であるか、毎年確定申告を行っているような自営業者であるかによっても、参照する値が異なるため注意しましょう。縦軸の左欄と横軸の下欄の年収は、給与所得者の年収を、縦軸の右欄と横軸の上欄の年収は、自営業者の年収を示しています。

    養育費を算定する場合の年収は、給与所得者である会社員であれば源泉徴収票の「支払金額」欄に記載されている控除前の収入額が基準となります。他に確定申告していない副業収入等がある場合には、その収入額を支払金額に加算する必要があります。
    確定申告を行っている自営業者であれば、確定申告書の「課税される所得金額」が年収に当たります。

    ③ 権利者と義務者の収入が交差する部分を確認
    縦軸の義務者の年収と横軸の権利者の年収が交差する部分が養育費算定表から算出される標準的な養育費の金額となります。

    たとえば、子どもが1人(0歳~14歳)いる夫婦(父母)で、義務者である夫の年収が給与所得者で600万円、権利者である妻の年収が給与所得者で100万円であった場合には、6~8万円が標準的な養育費の金額となります。
    また、その範囲の内、上の方になるか、下の方になるかでも変わってきます。上記の例の場合、6~8万円の「下の方」の範囲に入っていますから、調停においても6~7万円前後の金額をベースにして話し合うことになるでしょう。

    養育費算定表によって算出される標準的な養育費の金額は、このように幅のある金額になりますので、この幅のうちいくらにするかは個別事情を考慮しながら決めていくことになるのです。

2、養育費算定表に当てはまらないケース

養育費算定表は、簡易かつ迅速に標準的な養育費の金額を算定することができるというメリットがありますが、養育費算定表に当てはまらないケースについては、個別具体的に計算をしていく必要があります。

  1. (1)養育費算定表を利用することができないケース

    以下のようなケースでは、そのままの形では養育費算定表を利用することができませんので、個別具体的な計算が必要になります。

    ① 年収が2000万円以上であるケース
    養育費算定表では、権利者および義務者の収入として給与所得者の場合には年収2000万円、自営業者の場合には所得1567万円までしか記載がありません。それ以上の収入がある場合には、標準的な養育費を算定することはできないのです。

    ② 子どもが4人以上いるケース
    養育費算定表は、子どもの年齢と人数に応じて複数の表が用意されています。
    しかし、裁判所のホームページに掲載されている表は、子どもが3人までの表であり、子どもが4人以上いる家庭では養育費算定表を利用して標準的な養育費を算定することができません。

    ③ 子どもが私立の学校等に通っているケース
    養育費算定表によって算定される標準的な養育費については、子どもの学校教育費についても考慮された金額になっています。しかし、養育費算定表で考慮されているのは、公立の学校に通う場合の学校教育費であるため、子どもが私立の学校に通っていたり、塾や習い事をしていたりする場合には、その費用は含まれていません。
    このような場合には、養育費算定表ではなく、個別具体的な計算が必要になります

  2. (2)標準算定方式に基づく計算方法

    上記のようなケースでは、養育費算定表では適正な養育費の金額を算定することができません。そのため、「(改定)標準算定方式」という計算式に基づいて養育費の金額を算定する必要があります。
    以下では、具体的な計算方法および計算式について解説します。

    ① 権利者と義務者の基礎収入を算定
    基礎収入とは、総収入から公租公課、職業費、社会保険料などの費用を控除した金額のことであり、養育費をねん出する基礎となる収入額のことをいいます。
    給与所得者の場合には、総収入の38~54%が基礎収入となり、自営業者の場合には、48~61%が基礎収入になります。

    ② 生活費指数を用いて子どもの生活費を算定
    生活費指数とは、親を100とした場合に子どもに充てられるべき生活費の割合のことをいいます。子どもにかかる生活費については、子どもの年齢によって異なってくることから、義務教育終了前か後かによって、子どもの生活費指数は以下のように定められています。

    • 0~14歳の子ども:62
    • 15~19歳の子ども:85


    そして、子どもの生活費指数を用いて、子どもの生活費については、以下のような計算式で計算します。

    子どもの生活費=義務者の基礎収入× 子どもの生活費指数 義務者の生活費指数+子どもの生活費指数


    ③ 権利者が負担すべき養育費を算定
    最後に義務者の基礎収入に応じて計算した上記の子どもの生活費を権利者と義務者の基礎収入に応じて公平に分担をするために、以下のような計算式で計算を行います。

    子どもの養育費=子どもの生活費× 義務者の基礎収入 義務者の基礎収入+権利者の基礎収入


    同計算式で求められた金額が、基本的には養育費(年額)となりますので、同金額を12で割った数値が、養育費(月額)となります。

3、養育費の取り決め方

以下では、養育費算定表または標準算定方式によって計算した養育費について取り決めする方法を解説します。

  1. (1)当事者の合意

    養育費の取り決めは、夫婦(父母)間で話し合って決めるのが原則となります
    まずは、養育費算定表などによって算出された標準的な養育費の金額をベースに話し合いを進めて、養育費の金額、支払いの始期・終期、支払い方法などを取り決めましょう。

    当事者間で合意が得られた場合には、口頭での合意で終わらせるのではなく、必ずその内容を書面にまとめるようにしましょう。口頭での合意では、後日合意内容をめぐってトラブルになることがありますので、書面を作成することが大切になるのです。

    とくに、養育費をもらう側としては、養育費の支払いに関する合意書を公正証書にしておくことをおすすめします。公正証書とは、公証役場の公証人が作成する文書です。公正証書を作成することによって、将来支払い義務者による滞納が生じたときに裁判手続きを経ることなく、直ちに強制執行の手続きをとることが可能になります。

  2. (2)家庭裁判所の調停または審判

    当事者間の話し合いでは養育費に関する取り決めができない場合には、家庭裁判所に調停または審判の申し立てを行います。

    家庭裁判所においても養育費算定表や標準算定方式による養育費の算定が行われていますので、特殊な事情がない限りは、養育費算定表などによって算定された金額の範囲内で話し合いが進められます。そして、調停で合意が成立した場合には、調停調書にその内容がまとめられることになるのです。

    調停で合意が得られない場合には、審判に移行して、裁判官が一切の事情を考慮したうえで養育費の金額を決めることになります。

4、養育費や財産分与など離婚問題は弁護士へ相談を

養育費や財産分与などの離婚問題でお悩みの方は、弁護士に相談をすることをおすすめします。

  1. (1)相手との交渉を任せることができる

    離婚をする場合には、相手と話し合いをして親権、養育費、財産分与、慰謝料などの条件を取り決める必要があります。
    しかし、離婚に至る夫婦の多くは、相手に対して不満を抱いている状態となっています。したがって、当事者同士の話し合いではお互いに感情的になってしまい、スムーズに話し合いを進めることが困難な可能性が高いです。

    「相手と話し合いをしなければならない」という抵抗が大きい場合、ストレスを回避するためにも、相手との交渉は弁護士を間に入れて行うのが良いでしょう
    弁護士に離婚事件を依頼すれば、相手との面倒な交渉はすべて弁護士に任せることができます。弁護士であれば法的観点から冷静に話し合いを進めることができますので、当事者同士で話し合いを進めるよりも、スムーズに解決できる可能性が高くなるでしょう。

    また、離婚後に養育費について元配偶者に支払いや増額、減額の対応を求める場合、相手方に連絡を取る手段がなかったり、相手方に連絡を取っても話を聞いてくれなかったりということはしばしばあることです。このような場合は、弁護士を間に入れる必要性は高いといえるでしょう。

  2. (2)適切な離婚条件を定めることができる

    養育費については、養育費算定表を利用することによって、簡易かつ迅速に標準的な養育費の金額を知ることができます。しかし、養育費算定表から算定することができる養育費は、あくまでも「標準的な養育費」ですので、場合によっては個別事情に応じた修正が必要になることもあります。
    また、慰謝料を請求する場合にも、慰謝料の相場を知らなければ損をしてしまう可能性があります。さらに、財産分与などは複雑な計算や評価が必要になりますので、知識のない方では対応が難しいといえるでしょう。

    適切な離婚条件を定めることは、離婚後に不安なく生活をしていくために必要不可欠なものとなります。
    少しでも有利に離婚を進めたいという方は、弁護士に相談をすることをおすすめします

5、まとめ

養育費の金額は、裁判所が公表している養育費算定表を利用することによって、簡易・迅速に標準的な養育費を算定することができます。養育費金額でもめており、話し合いが進まないという場合には、養育費算定表を利用することでスムーズに合意に至る可能性もあります。
ただし、養育費の金額は、個別事情に応じて修正が必要になることもあります。そのため、金額を取り決める前に、一度弁護士に相談をするようにしましょう。

養育費や財産分与といった離婚問題でお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 京都オフィスまでお気軽にご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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