妻が行うモラハラの特徴とは? 離婚を検討するときの手順

2023年03月27日
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妻が行うモラハラの特徴とは? 離婚を検討するときの手順

モラルハラスメント(モラハラ)は、身体的な攻撃こそ伴いませんが、精神的なDVのひとつです。モラハラを受けている者は、男女問わずそのターゲットになってしまうと自ら自覚がないまま支配下に置かれ、精神を蝕まれていくことすらあるのです。

内閣府男女共同参画局が公表する統計「配偶者暴力相談支援センターにおける相談件数等(令和3年度分)」によると、全国の男性から寄せられたDVの相談件数は、令和3年だけで3147件もありました。京都府だけであれば85件とさほど多くないように感じますが、だれにも相談できずに悩んでいる方も少なくないでしょう。

本コラムではモラハラ妻についての特徴や原因、離婚のために取るべき対策などをベリーベスト法律事務所 京都オフィスの弁護士が解説します。なお、京都市では、「男性のためのDV電話相談」という窓口を設けています。ご自身が受けている状況を相談してみることもひとつの手となるはずです。


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1、モラハラ妻の特徴や原因とは?

「モラルハラスメント」とは、身体的な暴力ではなく、暴言や人格否定などの精神的な暴力・嫌がらせを指します。モラハラは、言葉や態度によって行われるため外傷がなく、また家庭内で行われると、外部からは見えにくいという問題があります。

しかしながら、被害者を精神的に傷つけ、支配的に扱うことで、被害者が安心して暮らす権利を奪う、れっきとした人権侵害なのです。

  1. (1)どのような行動がモラハラにあたるのか

    モラハラを受け続けていると、自分が悪いのだと思い込まされるケースが多いものです。結果、「自分がモラハラを受けている」ということを自覚できないケースもあります。

    モラハラの可能性がある一例を知り、自分に当てはまるものがないか考えてみてください。

    ●夫を罵倒する
    「クズ」や「バカ」など、いわゆる暴言による一方的な人格否定は、典型的なモラハラといえます。夫婦喧嘩はどの家庭でも起こり得るものですが、一方的ではないためモラハラとは異なります。たとえば、自分の行動内容と無関係に繰り返し起こる暴言であれば、モラハラにあたる可能性があるでしょう。

    ●「常識」を盾に夫を責める
    「こんなの常識でしょ!」などと責め立てられたことはありませんか? この「常識」はあくまでも妻にとっての常識であり、社会通念とは一致しないケースが多々あります。しかし、モラハラ妻の「常識」を否定すると逆上される、罵倒されるという日々を繰り返すうちに、抵抗することを止めてただ我慢している……というケースも少なくないようです。

    ●夫の経済力を極端に制限する
    夫婦の収入をすべて妻が管理し、夫から支出の裁量権を奪うケースもあります。たとえば夫には月数1000円の小遣いしか与えないのに自分は散在し、一切文句を言わせないケースがこれにあたるでしょう。また、夫の嗜好品や趣味への出費を一切許さないなどの特徴があります。

    ●夫を孤立させようとする
    モラハラをする方は、男女問わず、相手を周囲から孤立させようとする傾向があります。近所や親族に根も葉もない悪口を吹き込み、あなたに対する悪いイメージを持たせ、孤立するよう仕向けることもあるでしょう。また、あなた自身の友人づきあいなどを制限するなどして、家庭外の人間関係を作らせまいとします。

    これらの行為を日常的に受けている、妻の顔を見るとびくびくして動悸が起こるなどの自覚症状があるのであれば、モラハラを受けている可能性があります。何らかの対策をするべきでしょう。

  2. (2)モラハラの原因は?

    これらのモラハラ行為の原因とは何なのでしょうか。まだ研究過程であり、明確にこれだという答えはありません。しかし、次のような傾向がみられるようです。

    ●妻自身が幼少期にモラハラを受けていた
    モラハラの加害者自身が、幼少期に親から暴言をあびせられていたり、威圧的な態度を取られたりしていた場合、無意識に同じ行動を取ってしまうケースがあります。逆に、過保護、過干渉を受けていた場合でも、相手を自分の思い通りにしたい欲求が強く表れるケースも少なからずあるようです。

    ●自己肯定感が低い
    モラハラ行為をする人物は、自己肯定感が低いケースが多くみられます。モラハラによって他人をおとしめることで、相対的に自分の地位を高めて安心するという心理的傾向があるようです。

    もちろん、モラハラを受けていた人全員が、モラハラ加害者になるわけではありませんし、過去の仕打ちを理由に、現在の自分のモラハラが許されることはありません。その原因は、ストレスや成育歴を含めさまざまな背景があるでしょう。

    加害者本人がモラハラをやめたいと考えているのであれば、まずは行政の相談窓口から専門機関を紹介してもらい、カウンセリングを受けることなどを検討してみましょう。

2、モラハラ妻と離婚するための手順や方法とは?

モラハラは、価値観や人格と深く結びついており、一朝一夕で解決する問題ではないケースが多いものです。もし、このままの生活を続けていたら、精神的に持ちこたえられないと判断するならば、離婚が視野に入ることでしょう。

いざ、モラハラ妻と離婚しようとした場合、スムーズに離婚することはできるのでしょうか。離婚に向けての手順を確認していきましょう。

  1. (1)証拠を集める

    原則、双方の合意がなければ離婚はできません。あなたが離婚を希望しても相手が合意しなければ、相手の行為が「法定離婚事由」に該当しない限り、たとえ裁判となっても離婚が認められることはないでしょう。

    したがって、第三者である調停委員や裁判官に、あなたが離婚したい理由を理解してもらう必要があります。しかしながら、言葉だけでは信じてはもらえません。そこで、まずは自分自身が妻からモラハラを受けていることを証明するため、「証拠」を集める必要があります。次のようなものが証拠として有効です。

    • モラハラを受けているときの録音
    • 暴言などが含まれるメールやLINEなどのやりとり
    • 不眠や動悸(どうき)、不定愁訴など適応障害やうつ病の兆候があるならば、精神科や心療内科にかかり、医師の診断書を得る
    • モラハラの日時や場所、行為を記した日記


    そして、これらに加えて、次のようなものがあると話し合いがスムーズに進みやすくなります。

    ●源泉徴収票、確定申告書、通帳のコピー
    自分自身や妻の収入・財産を証明できるものがあると、慰謝料や養育費の交渉がスムーズです。

  2. (2)離婚について話し合う

    話し合いができる状態であれば、あなたの苦しみなどを素直に伝えてみましょう。改善の余地があるかもしれません。もう離婚しかないと感じていれば、離婚の話し合いを進めることになります。協議離婚は、双方が合意さえすれば成立します。

    ただし、離婚を選択する際は、子どもがいる場合は、親権、面会交流、養育費について決めるだけでなく、財産分与などについても話し合いましょう。その際、妻から不当な条件を押し付けられないよう、弁護士などに立ち会いを依頼し、取り決めの内容を客観的に確認してもらうことをおすすめします。

    すべての条件について合意できたら、離婚協議書を作成し、公正証書にすることを強くおすすめします。これは、離婚後に不当に過剰な要求をされるトラブルを防ぐことにつながります。

  3. (3)離婚調停、裁判離婚を行う

    協議離婚ができそうにない場合は、家庭裁判所に赴いて調停離婚を試みます。調停では、原則、相手と顔を合わせることはありません。男女1名ずつの調停委員と裁判官がいる部屋へそれぞれ呼び出され、言い分を伝えることで仲介を受けるというプロセスを経て進めていきます。

    調停委員の仲介を経て調停で離婚や離婚条件が決まると「調停調書」が発行されます。これは判決と同様の効力を持ちます。相手がその内容を守らない場合、裁判を経ることなく強制執行手続きを取ることができます。

    調停が不調に終わってしまった場合には、裁判に移行することも検討しましょう。離婚裁判では、判決によって離婚を成立させるだけでなく、裁判の過程において和解して離婚が成立することもあります。ただし、裁判所の判決による離婚を求める場合は、前述のとおり、相手方に法定の離婚原因があることが必要となります。これに該当していることが認められれば、離婚が認められるだけでなく、相手に慰謝料を請求することができる可能性も高まります。

    裁判では、モラハラの事実を明確化する証拠の有無で結果が大きく変わります。証拠集めは確実に行っておきましょう。

  4. (4)別居する

    調停や裁判は長期戦になるケースが少なくありません。日常的なモラハラで精神的に追い詰められている状況であれば、まずはあなた自身、心身の安全を確保してください。

    避難という形であらかじめ別居することには、メリットがあります。別居の最大のメリットは、加害者であるモラハラ妻から物理的な距離を取ることです。別居することで精神の安定を図り、お互いに冷静に話し合うことも可能となるかもしれません。

    さらに、別居が長期間に及ぶと、法定離婚事由がなくても「夫婦関係がすでに破綻しており、修復が困難である」として離婚が認められる可能性があります。

    ただし、子どもがいる場合は、子どもに対して妻が精神的虐待を行っていないか、行う可能性はないか、注意を払う必要があります。また、離婚後に親権を取りたい場合には、子どもを妻のもとに残したまま別居すると、親権を取なくなる可能性が高くなるでしょう。子どもの親権を望むのであれば、あなた自身が継続して子どもと同居する形を取ることが非常に重要です。

    別居のデメリットとしては、別居中であっても妻に対して婚姻費用を支払わなければならない可能性があることが挙げられます。別居に踏み切る場合も、事前に弁護士に相談することをおすすめします。

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3、まとめ

妻によるDVやモラハラ被害に悩む男性は少なくありません。ここ数年来の男性被害者件数の増加は、男性であっても、第三者に助けを求めることが少しずつ一般的になってきた証左ともいえるでしょう。もう、男だからと耐える時代は終わったのです。

ひとりで我慢するだけでは、現状は変わらないどころか、悪化する可能性すらあります。まずは、弁護士や行政など第三者の手を借りるという一歩を踏み出しましょう。男女問わず、配偶者のモラハラに悩んでいる方は、ベリーベスト法律事務所 京都オフィスで相談してください。あなたが安心して暮らせる人生を取り戻すために、力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています