副業詐欺|よくある手口とあやしい話の見分け方、返金方法
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近年では「副業」が注目されています。従業員に副業を解禁する企業は増えており、収入を増やすために副業を始める会社員も増え始めています。その一方で、「副業詐欺」も多発するようになりました。「1日30分の作業で月10万円」「スマホだけで簡単にできる」などという文句につられ、お金をだましとられる事例も相次いでいます。
令和4年11月には、京都市消費生活総合センターが、「スマホで簡単 月収100万円」などとうたう副業のマニュアルを購入させて、その後に高額なサポートプランを契約させる事業者に関する注意喚起を行っています。
本コラムでは、副業詐欺の手口や詐欺に遭わないための注意点、もし詐欺に遭ってしまった場合の相談先などについて、べリーベスト法律事務所 京都オフィスの弁護士が解説します。
1、副業詐欺とは
「現在の収入に満足できない」「もっと稼ぎたい」という方が収入を増やすための手段のひとつが副業です。
副業は本業を続けながら行うものであるため、手軽にできて稼ぎがいいものを探す方が多いでしょう。
しかし、「副業で手っ取り早く稼ぎたい」という心理をついた詐欺も横行しているために、注意しなければいけません。
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(1)副業詐欺とは
副業詐欺とは、「副業に必要」と称して高額な商品を売りつけたり、副業を紹介するとして登録料を支払わせて連絡を断ったりするなどして、金銭をだましとる詐欺のことです。
働き方改革推進の一環で副業をしやすい環境が整ってきたことに伴い、副業詐欺も横行するようになっています。 -
(2)個人情報の流出や別の詐欺にも注意
副業詐欺に遭った際、被害の内容は、お金をだましとられるだけでは済まない場合もあります。
もし相手に名前や住所を伝えてしまっていた場合、個人情報が流出するおそれがあります。
また、いちど詐欺被害に遭った場合には「騙しやすい相手」として詐欺業者の間で情報を共有されてしまい、別の詐欺にあってしまう可能性もあるのです。
2、副業詐欺の具体的な手口
ひとくちに「副業詐欺」といっても、その手口はさまざまです。
以下では、代表的な手口について解説します。
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(1)情報商材
副業詐欺の代表的な手口が、「情報商材」に関する詐欺です。
情報商材とは、「ネットで簡単に稼ぐ方法」「資産を倍増させる投資テクニック」といった情報・ノウハウをPDFや動画にした商品のことです。
情報商材は主にインターネットで販売されており、数千円のものから100万円以上するものまであります。書店で実物を確認できる本などと違い、買ってみないと内容がわからないため、もともとリスクが高い商品です。
情報商材のなかには金額だけの価値があるものも存在するでしょうが、一般的な内容しか書かれていなかったり、書かれていたとおりに作業しても収入が上がらなかったり、事前に約束されていたサポートがなかったりするものも多く含まれます
そのなかには、代金をだましとるために作成された詐欺目的の情報商材も含まれているのです。 -
(2)出会い系
出会い系アプリやSNSの普及に伴い、出会い系のサクラという業務を偽った副業詐欺も発生するようになりました。
この詐欺の対象は主に女性であり、「男性からのメールに返信するだけで○万円」「一日一回悩み相談に答えるだけ」などとうたって会員登録をさせたのちに、登録料や利用料、売り上げを受け取るためのポイント購入費用などという名目でお金をだましとろうとするものです。 -
(3)内職商法、副業あっせん、資格取得
内職や副業の紹介、資格取得サポートの名目でお金をだましとる詐欺もあります。
この詐欺の手口は、「在宅ワークで高収入」「稼げる副業を紹介する」として会員登録料を支払わせたり、「仕事を始めるために必要」として商品を購入させたりしたうえで、実際には仕事をまったく紹介しない、というものです。
また、「簡単に行政書士の資格がとれる」「合格までサポートする」などとして、高額な教材を売りつけ、実際には何のサポートもしないという手口もあります。
初期費用がかかることに戸惑っていると「払った分以上稼げるから大丈夫」「申し込めるのはあとひとりだけ」などと畳み掛けてきて契約を迫るというケースもありますのが、安易に話に乗らないことが大切です。 -
(4)スマホ副業
「副業を始めたくても、資格や専用機材がない」という方を対象にした手口が、スマホ副業詐欺です。
具体的には、ブログやSNSを通じて「スマホだけで簡単に収入が得られる」として勧誘して会員登録料をだましとったり、「指定サイトをクリックするだけで稼げる」として詐欺サイトにアクセスさせたりするという手口です。
「手軽に稼ぎたい」と考えて安易に手を出すと、このような詐欺の被害に遭う可能性があります。
3、副業詐欺はクーリングオフできる?
もし副業詐欺に遭ってしまったら、返金されるのかどうかという点が気になるでしょう。
契約を解除して返金を求める代表的な方法が、クーリングオフです。
以下では、副業詐欺にクーリングオフが適用されるかどうかについて解説します。
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(1)クーリングオフとは
クーリングオフとは、契約後、一定の期間内は契約の解除ができる制度です。
基本的に、通常の取引である場合には、いったん契約すれば相手の同意なく一方的に解除できません。
しかし、訪問販売や電話勧誘販売などの不意打ち性の高い取引や、マルチ商法などの複雑な仕組みを持つ取引は、クーリングオフの対象になります。
こういった取引では冷静な判断をする余裕がなかったり、仕組みを十分に理解せずに契約してしまったりすることがあるため、契約解除が認められているのです。 -
(2)クーリングオフの対象となる副業詐欺
副業詐欺のなかでも、内職商法やマルチ商法はクーリングオフの対象となります。
契約解除期間は内職商法、マルチ商法ともに20日間です。
一方で、通信販売で購入した情報商材は、訪問販売などと違って自主的に購入しているためクーリングオフの対象外となります。
ただし、特定商取引法第11条では、通信販売サイトやウェブ広告に返品の可否などの「返品特約」の表示を義務付けています。
返品特約がある場合には、返品の可否はそれに従います。
表示されていなかった場合は、購入者が送料を負担することで8日間以内は返品可能です(特商法第15条の3)。 -
(3)あやしい副業の見分け方
副業詐欺に遭わないようにするために、以下のような点に気をつけながら、あやしい話を見極めるようにしてください。
- 広告に「簡単」「すぐに稼げる」「誰でもできる」「確実」と記載されている
- 登録料や教材費などの初期費用がかかる
- 運営者・販売会社の実態がない、あやしい
副業を始めようと考えている方の多くは、本業の合間に手軽にできる仕事を探しているでしょう。
しかし、本来、お金を簡単かつ確実に稼げる方法はほとんど存在しません。
また、そもそも稼ぐために費用の支払いを求めることが不自然だといえます。
上記のような点にあてはまる場合は詐欺の可能性が高いので、安易に手を出さないようにしましょう。
4、副業詐欺の相談先
副業詐欺に遭った可能性がある場合には、できるだけ早く対応することが大切です。
すぐに、以下のような相談先に連絡してください。
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(1)国民生活センター、消費生活センター、消費生活相談窓口
情報商材などに関する相談は、国民生活センターや消費生活センター、消費生活相談窓口で相談を受け付けています。
消費生活センターは全国各地に、消費生活相談窓口はすべての市区町村にあります。
直接最寄りのセンターや窓口にも相談できますが、消費者ホットライン「188」に電話すれば、消費生活センターや消費生活相談窓口につないでくれます。 -
(2)警察
詐欺にあったことが確実な場合や被害額が大きい場合には、警察に相談しましょう。
ただし、相談したからといって、必ず捜査してもらえるとは限りません。
詐欺被害を証明する証拠があれば、事件として扱ってもらえる可能性が高くなるため、業者とのやりとりの記録や領収書などは、きるだけ保存しておきましょう。 -
(3)弁護士
国民生活センターや警察は、相談はできても業者にお金を返すように命令してくれるわけではありません。
返金を求めたい場合は、弁護士に相談されることをおすすめいたします。
弁護士であれば、被害が不明確なケースでも詐欺かどうか、クーリングオフや契約解除が可能かどうかを判断することができます。
返金を求める場合、まずは業者との交渉から始めることになりますが、弁護士であれば被害者に代わって話し合いをすることも可能です。
裁判で返還請求をする場合も、訴状の作成や法廷対応なども、すべて弁護士に任せることができます。
5、まとめ
「ラクして収入を増やしたい」という望みは、万人が抱くものかもしれません。
そして、副業詐欺を行う詐欺師はそのような望みに目をつけて、お金をだましとろうとあの手この手で迫ってくるのです。
詐欺被害は、時間の経過とともに業者との連絡が取りにくくなり、返金をしてもらえる可能性も低くなってしまうので、スピーディーな対応が肝心です。
京都市内にご在住で、「副業詐欺にあったかもしれない」と思ったら、すぐにベリーベスト法律事務所 京都オフィスにご相談ください。
弁護士が状況を確認したのちに、できるだけ早く対応を行います。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています