トラブル発生! 損害賠償請求が行えるケースについて京都オフィスの弁護士が解説
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京都は昔から都として栄え、日本の中でも独特の文化を持つ伝統のある街です。思わぬトラブルや、独自の習慣に戸惑うことも少なくないのではないでしょうか。そんなとき、どうすればいいかすぐにはわからないと思います。
交通事故や暴行によるケガ、不倫や婚約破棄などの男女間トラブル、勤務先での事故など、何らかの被害に遭った際に損害賠償請求をする、しないという話を聞いたことはあると思います。
しかし、それらは実際に損害賠償請求できる内容なのか、どのように進めていけばよいのか、弁護士を雇わなければできないことなのかと悩むことも多いでしょう。そこで、この記事では損害賠償請求とは何か、損害賠償請求できるケースやできないケース、手続きの進め方などについて、ご紹介します。
1、損害賠償請求とは?
損害賠償請求とは、債務不履行や不法行為によって損害を与えられた場合に、損害を受けた者が、相手方に対してその賠償を求めることを指します。
まずは、債務不履行や不法行為がどのようなものなのかについて解説します。
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(1)債務不履行
債務不履行とは契約の義務を果たさないことです。
債務者に責められる理由があって、債務不履行と因果関係のある損害が発生した場合に、債権者は債務者に損害賠償請求をすることができるとされています。ただし、すべての債務不履行に対して損害賠償請求できるわけではないので注意が必要です。
たとえば売買契約のケースでは、契約の期日までに納品しないと債務不履行にあたります。また、納品はしたけれど約束の数に満たない場合や、約束の期日に代金を支払わない場合も債務不履行となります。
しかし、約束を守れなかったのが災害などの不可抗力による理由だった場合、「債務者の責めに帰すべき事由」ではないため、損害賠償責任は発生せず、損害賠償を請求することもできません。 -
(2)不法行為
不法行為とは故意や過失による「違法な行為」のことです。
不法行為によって損害を受けた場合には加害者に対して損害賠償請求ができます。たとえば、暴行や痴漢、不倫などは不法行為であり、これらの行為によって損害を受けた場合には損害賠償請求できます。
2、損害賠償請求の種類
損害には財産的損害と精神的損害があります。具体的にみていきましょう。
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(1)財産的損害
金銭や所有物の滅失や治療のために支払った費用、被害を受けていなければ得られたであろう収入などの逸失利益も含んだ、財産上の損害をいいます。
業務中にケガをした場合、会社の管理体制に問題があったと認められるケースでは、会社に対して損害賠償請求をすることができます。 -
(2)精神的損害
これは「慰謝料」とも呼ばれ、苦しみや悲しみを金銭的に評価するものです。
たとえば、配偶者が不倫をした場合は、配偶者と不倫相手に対し慰謝料を請求することができます。この他、暴行を受けてケガをした場合などでは、財産的損害である治療費や働けなかった期間の休業損害の他、精神的苦痛を被ったとして慰謝料を請求できることがあります。
こうしてみると、交通事故や医療事故、スポーツやレジャー中の第三者の行為による損害、学校内での事故やトラブル、SNSを利用した名誉毀損(きそん)など、常に多くの場面で損害が発生する可能性が考えられることがおわかりになると思います。
つまり、私たちは、「損害賠償請求など無関係」とは決していえない環境の中で生活をしているのです。
3、損害賠償請求できないケース
先ほど、債務不履行であっても原因によっては損害賠償責任が発生しないことをお伝えしましたが、他にも損害賠償請求ができないケースがあります。具体的に説明していきます。
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(1)条件を満たさない場合
たとえば、配偶者の不倫相手に慰謝料を請求する場合、不倫相手に「故意」または「過失」があることと、実際に不貞行為によって「権利の侵害」を受けたという条件を満たさなければなりません。
つまり、交際相手が配偶者の素性を知らず、既婚者であることに気付く余地もないままに関係を持った場合、相手には「故意」や「過失」はないといえます。また、不倫が原因で夫婦関係が悪化したのではなく、もとから夫婦関係が悪く、離婚寸前であったのであれば「権利を侵害」されたことにはならず、損害賠償請求ができないケースに当てはまるでしょう。 -
(2)時効の場合
債務不履行にもとづく損害賠償請求権の時効は、民法第167条で「権利を行使することができるときから10年」権利を行使しなかったときと決まっています。この時効が成立すると債務不履行にもとづく損害賠償請求はできなくなります。
なお、事業を営む方については、民法ではなく商法第522条によって時効が5年と規定されています。
また、不法行為にもとづく損害賠償請求権の時効は、民法724条で「加害者またはその法定代理人が損害および加害者を知ったときから3年間行使しないとき」、もしくは「不法行為のときから20年を経過したとき」と定められています。
不法行為の場合には、加害者と損害の両方を知っているという条件がそろっている必要があるため、加害者がわからない間、または損害の発生を知らない間は時効が進行しません。
ただし、不法行為にもとづく損害賠償請求には、損害が発生してから20年が経過すると権利の行使ができなくなる「除斥期間」という制限があります。これは、当事者間における権利行使の意思を尊重する時効制度とは違い、時間の経過によって当然に権利が消滅するという制度になります。
4、損害賠償請求の方法
通常、損害賠償請求する際には、まず当事者間で示談交渉を行います。
示談交渉とは当事者の話し合いによって問題の解決を目指す方法です。たとえば、配偶者が不倫した場合であれば、配偶者や不倫相手と、また、暴行を受けたのであればその加害者と話し合い、損害賠償を請求することになります。
示談が成立すれば、示談金、つまり損害賠償金を受け取ることになります。示談が成立しない場合には裁判所などの公的機関での調停や訴訟によって損害賠償請求を進めていくことになります。
5、損害賠償請求を弁護士に依頼するメリット
自分で示談交渉をする場合、当然その相手は加害者です。
痴漢や暴行、不倫などの加害者と直接話し合いを進めることは、相手に連絡先など個人情報を開示する必要があり、さらなる精神的苦痛を伴う可能性があるでしょう。また、加害者が真摯に話を聞いて、素直に賠償してくれるとは限りません。
しかし、弁護士が示談交渉を行う場合には、被害者が加害者と直接話す必要はありません。また、相手が弁護士となると、加害者は裁判になることを懸念して、真剣に話し合いに応じる傾向があります。
何より、弁護士には法律の知識があるため交渉も有利に進めることができ、適切な賠償金を支払ってもらえる可能性が高くなるでしょう。
6、まとめ
今回は、損害賠償請求を検討している方に向けて、損害賠償請求ができるケースやできないケースについてお伝えしてきました。
ご覧いただいた通り、状況によって何を根拠に損害賠償を請求できるのかが異なりますし、それに伴い、適用される時効の長さも変わってしまいます。ですから、早い段階で弁護士に相談して、適切な対処のアドバイスを受けることが重要になります。
損害賠償請求をすべきかお悩みの方は、まずは気軽にベリーベスト法律事務所 京都オフィスまでご連絡ください。損害賠償請求事件の経験が豊富な弁護士が、丁寧にご相談をお受けします。
*この記事は、2020年4月1日の債権法改正前に作成されたものであり、債権法改正により内容が変更となる部分があります。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています