京都府の「消費生活センター」とはどんなところで、何が相談できるの?

2019年11月28日
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京都府の「消費生活センター」とはどんなところで、何が相談できるの?

「商品を購入したら不具合があり、販売店やメーカーに連絡してもまともに対応してもらえなかった」、「身に覚えのない請求書が届いたがどうしてよいかわからない」など、生活をする上では、ときにさまざまな問題に直面します。そのようなとき頼りになるのが「消費生活センター」です。

「消費生活センター」という名前は聞いたことがあるけど、実際に利用したことがないという方がほとんどではないでしょうか。

そこで、今回は、「消費生活センター」とはどのような機関で、どのような相談ができるのか、また、消費生活センターで対応できない問題についてはどうすればよいのかについてベリーベスト法律事務所・京都オフィスの弁護士が解説します。

1、消費生活センターとは

消費生活センターとは、地方公共団体が設置する行政機関で、消費者からの苦情や相談に対応する機関です。消費者安全法では、都道府県に、消費者の苦情に係る相談を行う施設の設置が義務付けられており、市町村は必要に応じて設置するよう努めなければならないと規定されています。

「消費生活センター」と似たものとして「国民生活センター」というのがありますが、こちらは消費者基本法に基づき設立された「独立行政法人」になります。
国民生活センターは、国、地方公共団体の関係機関や消費者団体などと連携し、国民の消費生活に関する情報収集や情報提供を行っています。また、事業者と消費者との間に生じた苦情の処理のあっせんと苦情に係る相談を受け、紛争の合意による解決を図ります。その他、苦情があった商品についての試験や検査を行い、注意喚起を行うなどの業務も行っています。

国民生活センターと消費生活センターとは上下関係ということではなく、相互に連携して情報を共有しながら問題の解決にあたっています。また、国民生活センターは、消費生活センターなどが行う相談業務を支援するとともに、裁判外紛争解決手続(ADR)を実施しています。

消費者庁の資料によると、消費生活センターの数は、平成 30 年 4 月 1 日現在で全国855 カ所となっています。市区町村において消費生活センターを設置している地方公共団体の数は、平成 30 年 4 月 1 日現在で1084 団体となっています。また、市区町村における消費生活相談の相談窓口(消費生活センターを含む)を設置している地方公共団体数は、1721 団体(設置率 100.0%)となっています。かなりの数があるので、お住まいの近くにも必ずあるはずです。

2、消費生活センターにはどのような相談ができる?

消費生活センターに相談できるのは、消費生活に関するさまざまな問題です。具体的には、製品の不具合によるトラブル、不適切な表示や不適切な広告による購買、悪質商法、訪問販売における契約トラブルなどです。消費者が具体的に困っているときはもちろん、契約をするよう迫られているがどうしたらいいかなどの相談も可能です。

相談受付の方法は、相談窓口に行って直接相談することはもちろん、電話相談も可能です。相談は無料で、利用回数の制限もありません。深刻な事態になる前に解決することが大事なので、少しでも気になることがあれば早めに相談してください。

国民生活センターによせられた最近の苦情相談の内容を参考までご紹介します。

  • 契約書面に具体的な施術内容や回数などの記載をしていなかったエステ事業者
  • アイロン台の脚が折りたたまれて、アイロンが落ち、ふくらはぎにやけどを負った事案
  • 解約料不要期間内に解約を申し出たが翌月の解約扱いになり、解約料を請求された光回線
  • クレジットカードでの身に覚えのない旅行代金の請求
  • 注文した覚えのない商品が届いたネット通販トラブル
  • バッグに色移りした黒いジャケット
  • 新しく上場するという仮想通貨のトラブル
  • 勧誘時の説明とは異なっていた建築士資格取得講座の受講契約トラブル
  • フリマサービスにおける購入者・出品者間のトラブル
  • 銀行窓口で契約した外貨建て生命保険のトラブル
  • 最初の30分間は「強」で自動運転する電気カーペット
  • 手相占いをした後に取り囲んで高額なネックレスを販売する事業者
  • キャンペーンの条件として高齢者に不必要な契約をさせた携帯電話会社
(引用:「独立行政法人国民生活センター」苦情相談バックナンバー)


以上のように、契約関係のトラブル、製品の不具合によるトラブル、クレジットのトラブル、ネット通販トラブル、投資トラブル、保険トラブルなど、さまざまな相談がよせられていることがわかります。消費生活センターで対応できない問題であれば他の機関を紹介してもらえるので、生活をする上で、何か困ったことがあれば、まずは消費生活センターに相談してみるとよいと思います。

3、京都府ではどこに相談すればよい?

京都府で相談することができるところは、以下のとおりです。都道府県と市区町村での違いはありませんので、最寄りの消費生活センターに相談してください。複数の市をまたぐような広域の問題であれば都道府県に、特定の市に限っての問題であれば市区町村に相談した方が適切な対応が期待できるでしょう。

なお、全国の消費生活相談窓口を案内している「消費者ホットライン」という専用の局番なしの電話番号「188」がありますので、こちらに電話するのが簡単です。地方自治体の相談日は平日のみの場合がありますが、土日祝日も国民生活センターにはつながります。

【都道府県の消費生活センター】
  1. ①京都府府民環境部消費生活安全センター
  2. ②京都府中丹広域振興局商工労働観光室
  3. ③京都府山城広域振興局商工労働観光室
  4. ④京都府南丹広域振興局商工労働観光室
  5. ⑤京都府丹後広域振興局商工労働観光室


  1. ①京都市消費生活総合センター
  2. ②福知山市消費生活センター
  3. ③舞鶴市消費生活センターテキスト
  4. ④綾部市消費生活センター
  5. ⑤宇治市消費生活センター
  6. ⑥宮津与謝消費生活センター
  7. ⑦亀岡市消費生活センター
  8. ⑧城陽市消費生活センター
  9. ⑨向日市消費生活センター
  10. ⑩長岡京市消費生活センター
  11. ⑪八幡市生活情報センター
  12. ⑫京田辺市消費生活センター
  13. ⑬京丹後市消費生活センター
  14. ⑭南丹市消費生活相談窓口
  15. ⑮相楽消費生活センター

4、相談後、どのように対応してくれるのか?

消費生活センターには、消費生活相談員や消費生活アドバイザーなどの資格を持った相談員が在籍しており、適切なアドバイスを受けることができます。そのアドバイスに従い行動をとれば多くの場合は問題が解決します。

たとえば、「身に覚えのない最終告知と題する請求書が送られてきて期限までに支払わないと財産を差し押さえると書かれており困っている」という相談に対して、相談員が「架空請求の可能性が高いので電話などは一切せず、相手方とは接触しないよう」アドバイスすれば、多くの相談者は安心して支払いを拒むことができるでしょう。

その他、相談員が事業者に直接連絡して製品の不具合内容を指摘したり、契約上の問題点を指摘したりすることで、業者が無償修理に応じたり、解約や返金に応じるということもあります。

なお、たとえば特殊詐欺が疑われるような事案であれば、警察への連絡を促したり、民事上のトラブルで解決が難しいような場合には弁護士を紹介したりするなど、それぞれの事案に応じて適切な支援をしてくれます。

5、もし消費生活センターで解決できない場合、どうすればよいのか?

消費生活センターも積極的な支援をしてくれますが、解決に至らないという場合、裁判外紛争解決手段(ADR)の利用や消費者団体訴訟が考えられます。

  1. (1)裁判外紛争解決手続(ADR)の利用

    裁判外紛争解決手続(ADR)は、中立的で信頼できる専門家が仲立ちすることで、問題の解決をはかるというものです。当事者間でまとまらない話でも専門家の意見を入れることで話がまとまることがあります。裁判となると、時間もお金も掛かりますが、裁判外紛争解決手続(ADR)の場合基本的に無料です。

    裁判外紛争解決手続(ADR)の機関としては、裁判所が行うもの、国民生活センターの紛争解決委員会など行政機関が行うもの、弁護士会や公益法人などの民間事業者が行うものがあります。それぞれ得意な分野がありますので、具体的内容を相談して扱ってくれるか確認する必要があります。

    消費者問題という点では、国民生活センターの紛争解決委員会があります。紛争解決委員会は、地域の解決が難しい重要消費者紛争について、和解の仲介や仲裁を行っています。紛争解決委員会は、各分野の専門的な知識・経験を有する者から、内閣総理大臣の認可を受けて、国民生活センター理事長が任命する15人以内の委員で組織されます。

    重要消費者問題に該当するかの基準としては、次の3つがあります。

    1. ①1年で2以上の都道府県で起きている、または起きるおそれがある問題
    2. ②被害者の体や財産に重大な危害をおよぼす、またはおよぼすおそれがある問題
    3. ③事情が複雑、または商品・サービスが新しいため、解決に専門的な手段が必要な問題
  2. (2)消費者団体訴訟制度の利用

    裁判外紛争解決手続(ADR)は、相手と対話ができる状況で相手が仲裁内容に応じてくれなければ解決には至りません。不当な契約トラブルや架空請求などはもともと消費者をだまそうとする業者ですから、一筋縄ではいかないことも多いのが実情です。連絡がつかなくなることもあるでしょう。

    このような場合には、法的な手続きで対抗するしかありませんが、個人の訴訟では、①消費者と事業者との間には情報格差があること、②訴訟には時間と費用がかかること、③同種のトラブルはなくならないこと、という問題があります。そこで、内閣総理大臣に認定された消費者団体が、消費者に代わって事業者に対して訴訟などをすることができる制度が、「消費者団体訴訟制度」です。

    消費者団体訴訟制度を活用すると、消費者団体が訴訟を起こすことができるため、事業者も無視することはできなくなり、和解に応じて問題が解決することが多いようです。

  3. (3)弁護士を利用する

    裁判外紛争解決手続(ADR)や消費者団体訴訟制度は、コストがかからず紛争が解決できるという点で優れていますが、公共的性質があるため、個別具体的な対応は迅速に行えないところがあります。早期に解決したい場合には、弁護士に依頼するのが有効です。

    弁護士に依頼するといっても、必ずしも裁判するということではありません。弁護士が事実関係を整理し、法的問題を事業者に伝えるだけで、相手が応じることもあります。もちろん、相手が全く応じなければ裁判ということになりますが、裁判になれば、裁判官からの和解の提案もなされることから、裁判上の和解で早期に解決することもあります。何より、弁護士は依頼人の利益のため最大限動きますので、費用はある程度かかるものの、満足度は高いのではないでしょうか。

6、まとめ

以上のとおり、消費生活に関する問題については、行政機関による手厚いサポート体制が整っています。何か生活をする上で困ったことがあれば、最寄りの「消費生活センター」に相談してみてください。

もし、消費生活センターでの相談だけでは解決しないという場合には、「裁判外紛争解決手続(ADR)」や「消費者団体訴訟制度の利用」という制度もあります。それでも対応が難しい場合には弁護士に依頼するしかありません。

ベリーベスト法律事務所・京都オフィスには、消費者問題に関する経験豊富な弁護士が在籍しておりますので、消費者問題でお困りの際はお気軽にご相談ください。

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