トラブルに遭遇したとき、弁護士ができることとは?

2020年02月07日
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トラブルに遭遇したとき、弁護士ができることとは?

最近「あおり運転」が社会問題になっていますが、痴漢の冤罪や交通事故など、トラブルに遭遇するリスクは身近にあるものです。

トラブルに遭遇したとき、自分ひとりで解決できるか自信がないという方や弁護士の知り合いはいないし、そもそもどのようなことを相談してよいのかよくわからないという方も多いと思います。

そこで、今回は、弁護士が対応できるトラブルの種類と弁護士へ相談する流れなどについてベリーベスト法律事務所 京都オフィスの弁護士が解説します。

1、弁護士が対応するトラブルの種類

弁護士というとドラマなどでは刑事事件の法廷で戦う弁護士をイメージする方が多いと思いますが、実際には民事的なトラブルを扱うことの方が圧倒的に多いのが実態です。
弁護士はトラブルに発展する前に契約書を作成したり、遺言を作成したりといった予防的なこともします。以下、主なトラブルについて解説してきいきます。

  1. (1)交通事故

    交通事故は、自動車を運転している場合には、加害者にも被害者にもなり得ます。また、自動車に乗らなくてもバイクや自転車でも加害者や被害者になることはあります。もちろん、乗り物に乗らない方もいつ被害者になるかわかりません。

    加害者になった場合、自動車であれば任意保険(自動車保険)に加入していることが多いと思いますので、基本的に保険会社が対応してくれます。それに対し、バイクや自転車の場合、任意保険に加入していない方もいます。もし、加害者になった場合には自分で被害者に対応しなければなりません。

    自転車であっても歩行者と正面衝突して、頭の骨を折るなどして意識が戻らない状態となった事案で9520万円と高額な損害賠償が認められた事案があります(神戸地方裁判所、平成25年7月4日判決)。

    このように、自転車やバイクであっても加害者になり高額な損害賠償が請求されるおそれがありますので、事故が発生した場合にはすみやかに弁護士に相談し、被害者との示談に向けて交渉をしてもらうことが重要です。

    被害者になった場合には、加害者または加害者が加入している保険会社と交渉することになります。交通事故の損害賠償においては損害の実費の他に慰謝料も請求することができますが、この支払い基準には、①自賠責基準、②任意保険基準、③弁護士基準の3つがあります。自賠責基準がもっとも低く、弁護士基準がもっとも高くなっています。弁護士基準で支払いを求める場合、弁護士に依頼するか、交通事故紛争処理センターに依頼する等しなければなりません。

  2. (2)労働問題

    会社員をしているという方は多いと思いますが、最近は「ブラック企業」などという言葉もあるように、悪質な労働基準法違反をするような企業もあります。そのような会社に入社してしまった場合、退職するのも難しく、退職代行サービスなるものも生まれています。

    このような会社とのトラブルについても弁護士に相談することができます。具体的には、サービス残業などに対する未払い賃金の支払い請求や不当解雇された場合の地位保全の申し立てや賃金仮払いの申し立てなどです。

    会社を経営しているという場合は、従業員を雇用する場合の契約の相談や就業規則の作成についての相談なども可能です。

    最近だと、セクハラやパワハラといった相談も弁護士にすることができます。セクハラやパワハラ被害にあった場合には、会社に改善を求めると共に加害者に損害賠償を請求することも可能です。パワハラやセクハラは会社の地位を利用して行われるので、個人で戦うのは非常に難しいですが、弁護士に間に入れば会社も真剣に対応してくれる可能性が高くなります。

  3. (3)遺産相続

    身近な方が亡くなった場合、相続が開始しますが、遺言がない場合、相続財産の分配について相続人同士で協議しなければなりません。この協議について弁護士に依頼することができます。身内だけだと感情的になりがちですが、第三者が入ることで冷静に話し合いを進めることが可能になります。

    また、被相続人に負債(借金など)があるような場合には、負債も相続人が引き継ぐことになるので、相続放棄や限定承認を検討しなければなりません。これらの手続きは相続を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述をしなければなりません。特に限定承認は手続きが複雑なので、弁護士に依頼することをおすすめします。

    その他、相続対策として遺言を作成しておくことも有効です。遺言は要件を満たしていないと無効となることもあるので、注意が必要です。その点、遺言の作成を弁護士に依頼しておけば正確な作成がなされるので、無効になる心配はありません。

  4. (4)離婚

    結婚をしている場合、突然相手から「離婚してほしい」と言われる可能性があります。また、逆に「離婚したい」と、離婚を求める場合もあるでしょう。この時、お互いがそれで納得できるなら「協議離婚」として離婚届にハンコを押して役場に提出すれば終わりですが、一方の離婚の申し出に納得できない場合、「離婚調停」ということになりえます。

    離婚調停は、裁判所が間に入って離婚について話し合う手続きです。調停になると裁判官1名と調停委員2人が担当しますが、基本的には調停委員が手続きを進めます。調停で大事なのは調停委員に自分の主張をしっかりと伝えることですが、どうしても冷静さを欠き感情的になってしまうことが多いため、うまく主張が伝わらないことがあります。このような時には弁護士に依頼すれば主張すべき事項を整理してくれます。

    また、離婚調停が不調に終わった場合には離婚訴訟に移行します。この場合、個人が法廷で戦うのは現実的ではなく、弁護士に依頼するのが一般的です。そのようなこともあり、早い段階から弁護士に相談しておけばスムーズに対応することができます。

  5. (5)債権回収

    事業を行っている場合、売掛金が回収できないということはよくあることです。その場合に弁護士に依頼して債権回収をします。これは、企業に限らず個人でも同じです。知り合いにお金を貸したけれどなかなか返してもらえないということは結構あります。このような場合には弁護士に依頼することで債権を回収してもらえる可能性が高まります。弁護士から請求をするだけで支払ってくることもありますし、支払って来なかった場合には、証拠さえそろっていれば訴訟を提起するなどして債権回収可能性を上げることができます。

2、トラブルに対して弁護士ができること

  1. (1)代理交渉

    弁護士の業務として、「代理交渉」というものがあります。紛争について当事者に変わって交渉するというものです。当事者間で何らかの問題あって、それを当事者で解決できていないから紛争が生じているわけですから、その間に弁護士が入って問題を解決するわけです。

    具体的なイメージとしては、貸金業者からお金を借りていて返済ができないという場合、怖い人が借金の取り立てに来るかも知れません。このような場合、弁護士に債務者が債務整理を依頼すれば、弁護士は本人に代わり、貸金業者と交渉して債務の一部免除や分割弁済などについて交渉をします。これが代理交渉の一例です。

  2. (2)調停

    任意の交渉で話がまとまらない場合、調停によって解決するという方法があります。調停とは、当事者の間に裁判所が入って、双方の当事者の主張を調停委員が聞いて、和解案を提示して双方に納得してもらうというものです。

    調停は一種の和解なので、しっかりとした主張をしないと相手方に有利な和解案が示されてしまいます。弁護士がついている場合には、調停の申し立ての手続きはもちろん、主張すべき内容を整理して主張することが可能になります。調停にも同席するので精神的にも安心なはずです。

  3. (3)訴訟

    調停が不調に終わると訴訟ということになります。訴訟は、ドラマなどで見てわかるように裁判官が正面にいて、両脇に原告代理人と被告代理人が座るのが一般的です。本人で訴訟することも可能ですが、訴訟手続きは複雑で、相手方の主張にしっかりと反論しないと認めたことになってしまうなど、不利な状況になってしまうこともあります。

    そのため、訴訟代理は基本的に弁護士に限られており、弁護士に依頼する必要があります。裁判の流れは、訴えを裁判所に提起して、相手方は答弁書というものを提出します。その後、準備書面という書類を何度か提出して、主張・立証を行います。論点が整理されると、裁判の中で和解が試みられ、和解に応じなければ判決ということになります。これら一連の手続きは弁護士に依頼しておければすべて弁護士が対応してくれます。

3、弁護士への相談の流れ

弁護士に相談する際の流れについて簡単に説明しておきます。知り合いの弁護士がいる場合にはその弁護士に連絡して予約をすることになります。知り合いの弁護士がいない場合には、弁護士会に相談するか、ホームページなどで法律事務所を探すことになります。

かつての法律事務所は紹介がないと相談を受け付けないというところもありましたが、最近は、初めての相談でも断ることはなくなってきています。ただ、法律事務所の中には企業法務を専門にしているようなところもあるので、ホームページで検索するような場合は、相談したい内容の業務を扱っているか調べてから相談するようにしてください。

法律事務所に予約したら、相談日時に事務所に訪問して相談することになります。相談を受けて、弁護士は、それが法的に解決可能なのか判断し、今後の処理の流れについて説明します。

今後の処理について納得できた場合には、事件処理について弁護士に委任するため、委任状に署名と押印をします。その後は、基本的に弁護士に任せることができます。

受任した弁護士は紛争相手に連絡し、交渉をはじめます。交渉がうまくいけばそれで事件処理は終わります。交渉がうまく行かない場合、調停や訴訟等ということになります。いずれにしても手続きは弁護士が行いますので、依頼者は手続き面で心配する必要はありません。

通常訴訟の場合、1年以上かかることが多いので、随時状況を弁護士から依頼人に報告します。事件処理が終了すると、弁護士報酬や実費の精算を行い、これで全て終了となります。

4、相談するメリット

弁護士に相談することのメリットは、交渉が有利になるということがあります。これまで何度請求しても支払わなかった債務者が弁護士から請求があるとすぐに支払うということがあります。

また、複雑な事案でも、弁護士が法的論点を整理することで、解決の糸口がみつかるというメリットもあります。どのような法的手続きを取るのが有効かも判断してもらえるというのもメリットです。

さらに、相手が無視したような場合でも訴えを提起して、最後は強制執行までできるというのが最大のメリットといえます。

弁護士に依頼する場合、費用が心配という方もいると思いますが、自治体や法テラスなどでは無料法律相談会が開催されているので、まずは相談会で相談してみるというものよいと思います。法律事務所でも初回の相談は無料というところもありますので、ホームページで確認してみてください。

5、まとめ

冒頭でも述べたとおり、トラブルは身近なところにあります。トラブルに巻き込まれないに越したことはありませんが、万が一、トラブルに巻き込まれた場合には、一人で抱え込まずに法律の専門家である弁護士に相談するという選択肢があることを覚えておいてください。

弁護士が間に入ることでトラブルを最小限に食い止めることができ、損害賠償も含め、適切な事件処理が期待できるからです。

ベリーベスト法律事務所 京都オフィスでは、さまざまなトラブルに対応可能ですので、お困りの際には、ぜひお気軽にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています