ガールズバーを営業するのに必要な届け出や、風営法が関連する場合を解説
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京都市のガールズバーと言えば、木屋町通を連想される方が多いでしょう。
しかし、令和4年(2022年)12月には集団暴行事件が起こるなど、コロナ禍による行動制限が解除されてから木屋町通りの治安は悪化を続けています。京都府警察は平成17年から「祇園・木屋町特別警察隊」を発足させていますが、治安の悪化に伴い警察による木屋町の風俗店や飲食店に対する監視の目もますます厳しくなるでしょう。
ガールズバーの営業をするためには「飲食店営業許可」をはじめとして、場合によっては「風俗営業許可」も含む、さまざまな許可や届け出が必要になります。
警察に摘発されて営業停止に追い込まれる事態を防ぐためにも、ガールズバーの営業をされる方は、関連する法律を理解したうえで違反のない営業をしなければいけません。
本コラムでは、ガールズバーを営業する際に必要な届け出や風営法が関係してくる場合について、べリーベスト法律事務所京都オフィスの弁護士が解説します。
1、ガールズバーの開業に必要な手続き
ガールズバーとは、女性バーテンダーが中心となって酒類を提供するショットバーを指します。接客のほとんどは女性が行いますが、ガールズバーは法律上、「飲食店」に分類される営業方法です。風営法(正式名称は風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)による規制を受ける、「キャバレー」や「クラブ」「スナック」などとは営業方法や管理を受ける法律が異なる点に注意が必要です。
ここでは、ガールズバーを開業するために必要になる手続きを解説します。
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(1)飲食店営業許可
食品衛生法では、特定または不特定の人に対して食べ物を供給する人や法人を「食品等事業者」として定めています。飲食店の経営者もまた、食品衛生法の3条において規定されている「食品等事業者」の一種です。したがって、飲食店の運営をするためには、食品衛生法の規定に従って都道府県知事の許可が必要になります。
ガールバーも飲食店に該当するため、管轄する地域の都道府県知事から許可を取得する必要があります。窓口は最寄りの保健所です。まずは問い合わせる必要があるでしょう。 -
(2)深夜酒類提供飲食店営業開始届出
ガールズバーを開業するにあたっては、深夜酒類提供飲食店営業開始届出が必要になるケースがあります。これは、深夜0時以降に顧客にお酒を提供するお店に必要な届け出です。
ガールズバーはお酒の提供を行うのが一般的なので、深夜0時をまたいでも営業をする予定がある場合には届け出が必要です。
2、風俗営業許可が必要となる場合
ガールズバーは飲食店の営業許可を都道府県知事から受けて、警察に深夜酒類提供飲食店営業開始届出を届け出れば営業が開始できます。しかし、これらの許可や届け出以外にも風俗営業許可が必要になるケースがあります。
ここでは、風俗営業許可について解説します。
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(1)接待行為とは?
ガールズバーでも風俗営業許可を取得しなくてはならないケースがあります。それは、お店のサービスのひとつに「接待行為」が含まれる場合です。
この接待行為は、一般的にいわれる接待とは異なり、風営法における接待行為です。具体的な行為としては、一緒にカラオケでデュエットをすることや、客と同じ席について話をすることなどが該当します。つまり、キャバクラやスナックなどで行われている行為が接待行為となり、これらの行為をサービスとして提供する場合は風俗営業許可を取らなくてはなりません。 -
(2)風俗営業許可とは?
風俗営業許可とは、客に対して接待行為をする場合に必要になる許可です。客と同じ席で話をしながらお酒を飲んだり、カラオケでデュエットをしたりすることを前提として開業を検討する場合は、風俗営業許可が必要になりますので注意しましょう。
ただし、風俗営業許可を取った場合は午前0時以降の営業はできません。営業時間については注意が必要です。
3、ガールズバーが違法営業にあたるケース
接待行為を前提としないガールズバーは、原則として風俗営業許可は必要ありません。しかし、ときどきガールズバーが摘発されて検挙される事例があります。
ここでは、ガールズバーが違法営業として摘発されるケースを解説します。
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(1)年齢の制限
ガールズバーが違法営業として摘発される理由のひとつに、スタッフの年齢による制限があります。
そもそも働く人と雇用する人について定めた法律として「労働基準法」があります。労働基準法では、満18歳に満たない人を夜10時から朝5時までの間、基本的には業種を問わず、働かせてはいけません。さらに、風営法においても、18歳未満の者が客として入店することはもちろん、従業員として接待をさせることを禁止しています。
このように、18歳以下を客として迎えたり、接客業務をさせてしまったりすると、違法営業として摘発されます。 -
(2)違法で接待行為をしている
サービスの提供内容が法律に違反し、摘発されるケースもあります。たとえば、ガールズバーでは客への接待行為ができないのにもかかわらず、客と同じ席に座らせて接客をさせている場合や、ゲームなどのイベントやサービスを行っている場合も、違法行為に該当し摘発される可能性があります。
4、違法営業で摘発されないために
せっかく開業したガールズバーも違法営業で摘発されると、すぐに閉店に追い込まれてしまうおそれがあります。そうならないためにも、風営法違反で摘発されないための注意点を解説します。
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(1)風営法に違反しない営業を
違法営業として摘発されないためには、法律にのっとった営業をする必要があります。風営法や労働基準法など、ガールズバーを開業し、運営していくにあたって関連性のある法律をしっかりと確認し、違法行為に該当しない営業をしましょう。
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(2)頼れる弁護士に相談する
ガールズバーの営業に関しては、さまざまな法律知識が求められます。また、サービスの内容によっては、各種許可の申請や届け出が必須です。
それらすべてを経営者ひとりで調べて実行することは多大な労力がかかるものです。また、万が一確認に漏れがあって手続きが不足すると営業停止の処分が下ってしまうかもしれません。そのような事態になることを防ぐためには、ガールズバーの開業や運営に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談すれば、書類のチェックや営業上のアドバイスを行えることはもちろん、開業から運営中のさまざまなトラブルを法律的に解決へ導くことができるでしょう。
5、まとめ
ガールズバーの開業と運営には、複数の法律が適用されます。ガールズバーは飲食店であり、お酒を出すお店でもあります。さらに、深夜をまたいで営業するためには、さまざまな法律の制限を受けます。どの法律の規定も重要で、抵触するようなことがあれば、営業停止などの行政処分や罰金などの処分を受ける可能性もあるため注意が必要です。
もしもガールズバーの開業をお考えであれば、ベリーベスト法律事務所 京都オフィスまでご相談ください。トラブルのない開業準備から、出店後の法律的なアドバイスまで、京都オフィスの弁護士が総合的に経営者の方のサポートを行います。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています