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滅失登記とは? 相続した家屋の解体を検討する際の注意点

2021年12月06日
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滅失登記とは? 相続した家屋の解体を検討する際の注意点

京都市が公表している「京都市統計書」によると、令和元年10月から令和2年9月までの京都市内の死亡者数は、1万5229人でした。前年の同期間が1万5036人であったことからすると、若干ですが死亡者数が増加しています。

相続は、人の死亡によって開始するものであるため、京都府内でも多数の相続が発生しています。現に令和元年の京都府における相続の申告実績は2万7028人となっており、多数の相続が発生していることが分かります。

相続した建物が老朽化している場合には、建物の取り壊しを検討する方も多いかと思います。建物の取り壊しをする場合には、単に業者に依頼して取り壊しをすれば終わりというわけではなく、取り壊し後に「滅失登記」をする必要があるのです。

今回は、相続した建物の解体を検討する際の注意点について、ベリーベスト法律事務所 京都オフィスの弁護士が解説します。

1、滅失登記とは?

建物を解体したときに必要になる「滅失登記」とはどのようなものなのでしょうか。
以下では、滅失登記の概要と滅失登記を怠った場合のデメリットについて説明します。

  1. (1)滅失登記の概要

    滅失登記とは、建物を解体するなどして存在しなくなった場合に、法務局の登記簿からその建物の登記を閉鎖する手続きのことをいいます。不動産登記法57条では、登記名義人に対し、「建物が滅失したときは、(略)その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない」と規定されていますので、建物の滅失登記の申請は法律上の義務となります。

  2. (2)滅失登記を怠った場合のデメリット

    建物を解体したことで満足してしまい、ついついおろそかになりがちな滅失登記の手続きですが、滅失登記を怠った場合には、以下のようなデメリットがあります。

    ① 10万円以下の過料に処せられる
    不動産登記法57条では、滅失の日から1か月以内に建物の滅失登記の申請をしなければならないとされています。期限内に建物の滅失登記の申請を行わなかった場合には、10万円以下の過料に処せられることになります(不動産登記法164条)。
    過料は、行政罰の一種ですので、罰金とは異なり前科になることはありませんが、期限内に忘れずに登記手続きを行うようにしてください。

    ② 固定資産税の負担
    建物を解体したにもかかわらず、滅失登記を行っていないと、不動産登記上は、当該建物はまだ存在しているという扱いになります。市区町村役場の課税台帳も基本的には不動産登記を基準として課税がなされます。そのため、滅失登記を怠っていると、建物が既に存在しないにもかかわらず建物の固定資産税を課税されるという事態になりかねません。
    滅失登記をすることによって、法務局から市区町村役場に通知がなされ、課税台帳から当該建物が外れることになります。過大な税金を負担することのないように、必ず滅失登記の手続きを行いましょう。

    ③ 建物を建てることができない
    老朽化した建物を取り壊して、新しい建物を建てようと考える方もいるでしょう。
    しかし、滅失登記をしていなければ、不動産登記上は、まだ土地上に建物が存在していることになります。新しい建物を建てる際には、建築許可を受ける必要がありますが、不動産登記上建物が存在している土地上には新たに建物を建てることができないため、建築許可が下りることはありません。
    きちんと滅失登記を行っていなければ、実際に更地になっているにもかかわらず土地を活用することができないというデメリットがあります

2、建物滅失登記の手続きの進め方

建物滅失登記については、土地家屋調査士などの専門家に代行して手続きをしてもらうこともありますが、自分で手続きをすることも可能です。具体的な建物滅失登記手続きの進め方は、以下のとおりです。

  1. (1)申請先

    建物滅失登記の申請先は、建物の所在地を管轄する法務局です。

  2. (2)申請人

    建物滅失登記の申請人は、建物の所有者です。建物の所有者が複数いる共有建物であったとしても、共有者の1人からの申請によって手続きを進めることができます。
    また、相続によって取得した建物である場合には、建物の登記名義人ではなく、相続人が申請をすることになります。
    滅失登記をする場合には、相続登記を経ることなく手続きを行うことができます。また、相続人が複数いる場合でも、相続人1人からの申請で行うことができます。

  3. (3)申請期限

    建物の滅失登記の申請は、建物が滅失した日から1か月以内に行わなければなりません。

  4. (4)必要書類

    建物滅失登記にあたっての必要書類としては、以下のようなものが挙げられます。

    1. ① 登記申請書
    2. ② 建物取り壊し証明書
    3. ③ 解体業者の印鑑証明書
    4. ④ 解体業者の登記簿謄本または資格証明書
    5. ⑤ 住宅地図
    6. ⑥ 所有者が亡くなっている場合は、所有者の除籍謄本と相続人の戸籍謄本など


    解体業者に依頼をして建物の解体を行う場合には、大部分の書類については、解体業者から入手することができます。解体業者からもらうべき書類が不足しているという場合には、依頼をした解体業者に問い合わせるようにしましょう。

  5. (5)申請手続きの流れ

    建物滅失登記の申請手続きは、以下のような流れで行います。

    ① 建物滅失登記申請書の作成
    建物滅失登記申請書には、建物の家屋番号や登記簿上の所在地を記載する必要がありますので、最寄りの法務局で建物の登記簿謄本を取得して確認するようにしましょう。
    建物の登記簿謄本を確認しながら、建物滅失登記申請書を作成します。

    ② 必要書類を添付して登記申請
    建物滅失登記申請書を作成したら上記の必要書類を添付して、管轄する法務局の窓口に提出します。申請書類は、法務局に郵送をすることも可能ですが、申請書類の書き方などに不安がある場合には、直接窓口に出向いて提出するとよいでしょう。

    ③ 登記完了後、登記完了証を受領
    建物の滅失登記が完了すると、法務局から「登記完了証」という書類が発行されます。登記完了証は、建物の滅失登記が完了したことを証明するための書類になりますので、大切に保管をしておきましょう。

3、相続した家屋を解体する際の注意点

相続した家屋を解体しようとする場合には、以下の点に注意が必要です。

  1. (1)相続人(共有者)全員の同意が必要

    建物滅失登記自体は、建物を共有する相続人の1人から申請することができますが、実際に建物を取り壊す際には、相続人(共有者)全員の同意が必要になります。なぜなら、建物の取り壊しは、変更行為(処分行為)に該当しますので、民法251条によって共有者全員の合意を得なければ行うことができないとされているからです。
    遺産分割協議の結果、相続人の1人が単独で取得することになったのであれば、当該相続人だけで取り壊し手続きを進めることができます。しかし、遺産分割協議前に建物を取り壊そうとする場合には、相続人全員の共有状態となります。そのため、相続人全員の合意がなければ建物を取り壊すことができない点に注意が必要です
    他の相続人の同意を得ることなく勝手に取り壊してしまうと、他の相続人から損害賠償請求をされたり、場合によっては建造物損壊罪(刑法260条)に該当したりすることもあります。

  2. (2)土地の固定資産税が増える

    相続した家屋を解体する場合には、解体後の土地の活用方法を十分に検討してから行うようにしましょう。
    土地上に建物があると建物と土地の両方について固定資産税が課税されますので、建物を取り壊した方が固定資産税が安くなると考える方もいるかもしれません。しかし、建物がある土地については、固定資産税が最大6分の1になる優遇措置が適用されますので、更地にした方が固定資産税の負担が増えることがあります。
    具体的な土地活用の予定がないにもかかわらず、建物だけを取り壊してしまうと固定資産税の負担が大幅に増える可能性がありますので注意しましょう

4、相続した建物で確認すべきこととは?

建物を相続する場合には、以下の点の確認するようにしましょう。

  1. (1)登記簿を確認(名義)

    被相続人の遺産に建物が含まれている場合には、法務局で登記簿謄本を取得して、当該建物の名義を確認するようにしましょう。
    被相続人の所有する建物だと思っていたものが、実は、第三者の名義になっていることもあります。また、親族との共有建物であった場合には、相続によって取得することができるのは、あくまでも被相続人の共有持分の部分に限られます。
    このように本当に建物が相続財産に含まれるのかどうかを確かめるためにも、登記簿謄本の確認は必須です

  2. (2)名義人が亡くなっている場合の対応

    父が死亡し相続が開始したため、登記簿謄本を確認したところ、祖父または曽祖父の名義のままになっていたということも珍しくありません。古い建物などの場合には、相続登記をすることなく放置していることがあるため、このような事態が生じます。
    このような場合には、登記簿上名義人となっている方の相続人全員の所在を明らかにした上で、当該建物の所有権を取得することについて同意を得る必要があります。何世代も前の相続となると、相続人を探すこと自体がとても難しく、所在不明の相続人がいることもあります。このような状況になるとご自身で対応することは非常に困難になるため、相続手続きに詳しい弁護士に相談をすることをおすすめします

  3. (3)遺産分割協議で解体費用も考慮する

    老朽化した建物が相続財産に含まれる場合には、遺産分割協議において解体費用を考慮してもらうようにしましょう。
    老朽化した建物は、実際の価値としてはほとんどないどころか、解体にあたって何百万円もの費用がかかることになります。建物を取得する相続人が解体費用も負担しなければならないとなると、他の相続人との間で著しく不公平な結果となります。
    そこで、解体費用を負債として相続財産に計上した上で、遺産分割協議を進めることも可能になります。具体的な協議においては、他の相続人に納得してもらえるように説得をしなければなりませんので、その際には、弁護士に依頼して行うとよいでしょう

5、まとめ

相続した建物を取り壊す際には、滅失登記の手続きが必要になりますので、期限内に忘れずに行うようにしましょう。また、相続財産である建物の取り壊しを予定しているのであれば、遺産分割協議で取り壊し費用のことも含めて話し合いをすることによって公平な遺産分割を実現することができる場合があります。
老朽化した建物を相続することになった場合には、弁護士がお力になれることがあるかもしれません。まずは、ベリーベスト法律事務所 京都オフィスまでお気軽にご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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