配偶者の年収が1000万円の場合に請求できる養育費の相場は?

2024年03月05日
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配偶者の年収が1000万円の場合に請求できる養育費の相場は?

厚生労働省「被保護調査」令和5年3月調査によると、生活保護を受ける母子世帯数1位は京都府となっており、京都府において経済的支援を必要としている母子家庭は非常に多いということがわかります。

年収が1000万円前後である方は「富裕層」とまではいえませんが、一般的な人々と比べると高収入層であるといえます。
そして、子どもがいる夫婦が離婚する場合、夫婦の片方の年収が1000万円前後であれば、支払われる養育費の相場も高額なものになります。

本コラムでは、配偶者の年収が1000万円前後であるときに請求できる養育費の相場や、養育費を確保するためにすべきこと、養育費が減額される場合などについて、ベリーベスト法律事務所京都オフィスの弁護士が解説します。


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1、養育費の金額相場と決め方

まずは、養育費の金額の相場や決め方について説明します。

  1. (1)年収1000万の場合の養育費の相場

    養育費は、夫婦の話し合いの際に双方の収入や子どもの年齢、人数などに応じて決定します。話し合いで決定する場合は、どんな金額になっても双方が合意していれば問題ありません。

    しかし、裁判や調停の際にそれぞれの状況を確認しながら手続きを進めると時間がかかりますし、公平性に欠けますので、裁判所が公表している「養育費算定表」を用いて算定します。

    養育費算定表では、子どもを育てる親と離れて暮らす親、それぞれの年収、子どもの人数や、年齢に応じて養育費を簡単に確認できます。

    ●年収1000万円で子どもがいる場合
    次に、年収1000万円世帯における養育費の相場をご紹介します。子どもを育てている親の年収が0、育てていない親は年収1000万円で計算してあります。子どもを育てる方に収入がある場合は、養育費が減少しますので、目安が知りたい方は当事務所で用意している養育費算定ツールで確認してください。
    双方の年収と子どもの人数、年齢がわかれば簡単に計算可能です。

    ①年収1000万円/子ども1人(14歳以下)の場合
    養育費の相場は月額10万〜12万円です。

    ②年収1000万円/子ども1人(15歳以上)の場合
    養育費の相場は12万円〜14万円です。

    ③年収1000万円/子ども2人(どちらも14歳以下)の場合
    養育費の相場は14万円〜16万円です。

    ④年収1000万円/子ども2人(どちらも15歳以上)の場合
    養育費の相場は18万円〜20万円です。

    ⑤年収1000万円/子ども2人(14歳以下、15歳以上1人ずつ)の場合
    養育費の相場は16万円〜18万円です

    ●年収1000万円/子どもなしの場合
    養育費は、子どもがいる場合に支払われる費用ですが、子どもがいなくても「婚姻費用」は受け取り可能です。婚姻費用とは、結婚期間中に必要な生活費等を双方で分担しなければならないという義務にのっとって支払われるものです。

    離婚することが決まっている場合や別居している場合も、収入を維持していた方は、婚姻費用を支払わなければなりません。夫が働いていて、妻が専業主婦の場合、別居期間中の婚姻費用を夫が妻に支払わなければなりません。

    こちらの「婚姻費用」についても、裁判所は算定表を作成しています。年収1000万円で、配偶者に収入がない場合は月額14万円から16万円です。

  2. (2)【簡単!】養育費計算ツールですぐに計算

    ベリーベスト法律事務所では、最新の養育費算定表を参考に、独自の養育費計算ツールをご用意しております。簡単に養育費を計算することができますので、気になる方はぜひ一度ご利用ください。
    養育費計算ツールはこちら

  3. (3)養育費に関して話し合うべき項目

    養育費算定表は、養育費の目安にはなりますが夫婦の話し合いでこれ以上、もしくはこれ以下の金額で合意すればそれで問題ありません。
    また、養育費算定表に従って請求、もしくは支払う場合も決めておくべき項目がありますので、忘れずに取り決めておきましょう。

    ●養育費を支払う期間
    養育費の支払期間は、一般的には子どもが成人するまでとされています。民法上では「成熟するまで」と規定されています。多くのケースで、成人までと取り決めてありますが、進学の予定などがあれば「大学を卒業するまで」などと期間を定めることが可能です。

    ●養育費の支払い方法
    養育費の支払い方法は、一括払いと分割払いの2種類です。算定表の金額をみてわかる通り、養育費は毎月数万円から20万円以上と高額になりますので、分割払いになるケースが圧倒的に多い傾向にあります。
    一括払いでも問題ありませんが、一括で支払うケースは非常にまれです。分割払いにする場合は、振込先は振込期日も指定しておきましょう。

  4. (4)離婚理由が不倫の場合、養育費は変わる?

    原則として、不倫が原因で離婚したとしても養育費の金額には影響がありません。子どもにとっては、どちらが不倫していたとしても、扶養される権利は変わらないからです。
    妻が不倫をして、妻が親権を取得した場合、夫側は養育費の支払いに抵抗があるかもしれませんが、養育費は妻のためではなく子どものためですので、支払わなければなりません。

2、養育費を確保するためにすべきこと

養育費の支払いは、子どもと離れて暮らす親の義務です。しかし、厚生労働省が発表している統計によると、養育費の支払いを受けているひとり親世帯は全体の19%で、一度も養育費の支払いを受けたことがない世帯が59.1%、養育費を受け取ったことがあるものの、現在は受け取っていない世帯は16%とのことです。つまり、半数以上の世帯が養育費を受け取れていないということになります。
しかし、養育費の支払いは子どもと離れて暮らす親の義務ですので、免れることはできません。ここでは、確実に養育費を受け取るための方法を解説します。

  1. (1)公正証書の作成

    養育費の支払いは義務なので、支払いを怠った場合は裁判などの法的手続きを経た上で差し押さえなどを行うことができます。しかし、現実的には裁判には費用と時間、労力がかりますので、すぐに実行できません。
    しかし、養育費に関する協議内容を公正証書にしておくことで、裁判等を経なくても差し押さえなどが可能になります。
    公正証書とは、公正役場で公証人とともに作る書類で、原本は公正役場に、写しを手元に保管します。協議内容の大筋を決めて、公証役場に行くと公証人がきちんとした書類を作成してくれます。当事者同士で話し合い作成することも可能ですが、漏れや落ち度がない、確実な内容にするためには弁護士に相談したほうがよいでしょう。

    公証役場や公正証書については、こちらのコラムをご覧ください。
    コラム:公証役場の手数料は安い? 公正証書離婚のメリット・デメリットを解説

  2. (2)養育費の不払いや滞納への対処法

    公正証書を作成していた場合や、養育費が不払いになった段階で所定の手続きを行えば財産や給与等を差し押さえて、養育費を受け取ることができます。
    公正証書がない場合は裁判によって請求するしかありません。その場合は、養育費請求調停を起こします。養育費請求調停で、話し合いがまとまらなければ審判に移行します。
    相手に財産がある、もしくは働いている場合はいずれかの方法で養育費を請求可能なので、弁護士等の専門家に相談してみましょう。

    養育費の不払いへの詳しい対処方法については、こちらのコラムをご覧ください。
    コラム:元夫が養育費を支払わない! 養育費不払いへの対処法を京都市の弁護士が解説

  3. (3)養育費のことなら弁護士へご相談を

    養育費を確保するためには、先ほどお話ししたように公正証書をあらかじめ作成しておくことが大切です。相手が支払わなかった場合に差し押さえなどを行うことができます。
    これから、離婚する場合は、まずは弁護士に相談して妥当な養育費を算定してもらった上で、漏れがない法的に有効な公正証書の作成を依頼しましょう。

    すでに離婚が成立していて公正証書を作成していない場合でも、養育費の不払いがある場合は弁護士に相談するとよいでしょう。

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3、養育費の減額請求

離婚時に養育費の支払いを取り決めていても、それぞれの状況が変化した場合は養育費の減額が認められるケースがあります。ここでは、養育費の減額が認められるケースと回避する方法について解説します。

  1. (1)養育費が減額になるパターン

    養育費の減額は双方が合意すれば随時可能です。双方が合意しなければ裁判所に申し立てを行うことになります。その場合は、養育費を減額するべき理由が必要です。 下記のケースでは減額になる可能性があります。

    • 養育費を支払う側の、再婚、介護などによる経済的な負担増
    • 養育費を支払う側のリストラや減給
    • 養育費の受け取り側の収入増


    これらのような状態になった場合は、養育費が減額される可能性はあります。
    養育費の減額は子どもの生活、教育、人権に直結する問題なので、裁判所もさまざまな要素を考慮して慎重に判断します。

    また、相手が「子どもと会えないから」と養育費の支払いを拒否することがありますが、これも認められることはありません。面会交流の権利と養育費の支払いはセットではありませんので、会えないからといって養育費の支払い義務は免除されません。

  2. (2)養育費の減額請求を回避する方法は?

    養育費の減額請求は、任意の交渉で認められなければ調停や訴訟に移行します。しかるべき理由の有無にかかわらず交渉の段階では、拒否しましょう。ただし、相手に正当な理由がある場合は調停や訴訟で、減額が認められるケースもありますので、減額を要求されたら、一度弁護士に相談することをおすすめします。

4、まとめ

養育費は、子どもが離婚前と変わらない生活を送るために必要なお金です。子どもと離れて暮らす親には、養育費の支払い義務があります。収入や財産があれば差し押さえなどの強硬な手段で請求することもできるでしょう。

ただ、不払いになってから法的手続きを行うのは時間も労力もかかります。離婚時に公正証書で養育費の支払いについて取り決めておくことをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所 京都オフィスでは離婚調停や離婚裁判、公正証書作成などの相談を随時受け付けています。養育費について疑問や不安がありましたら、どうぞお気軽に相談してください。受け取り可能な養育費を算定した上で、相談者さまの立場に寄り添った、親身な対応をいたします。

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