子どもの転校や苗字の変更など、離婚するときに必要な学校関係の手続きを解説

2024年05月30日
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子どもの転校や苗字の変更など、離婚するときに必要な学校関係の手続きを解説

多くの保護者にとって、「子どもがどこの学校に通うか」「引っ越し先の学区はどこであるか」といったことは、重大な関心事であるでしょう。ましてや、これから離婚するとなれば、できる限り、子どもへの影響やストレスが少ない方法で、スムーズに学校生活を送らせてあげたいと考えるでしょう。

離婚を検討されている場合には、離婚する際の子どもの苗字変更、転校手続き等、どのような手続きが必要になるのかをあらかじめ把握しておくことで、離婚後にもスムーズに手続きを進めることが可能になります。

本コラムでお伝えすることは、大きく以下の3つです。
・離婚で子どもが転校するときに必要な学校関係の手続き
・子どもがいる夫婦が離婚するときに注意すべきこと
・離婚のお悩みを弁護士に相談すべき理由

子どもの学校の手続きや苗字の問題、離婚条件の取り決めなどについて悩みや不安を抱かれている方に向けて、ベリーベスト法律事務所 京都オフィスの弁護士が解説します。


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1、離婚で子どもが転校するときに必要な手続きは?

離婚によって引っ越しをすると、子どもが学校を転校しなければならない場合があります。以下では、子どもが転校する際に必要となる手続きについて説明します。

  1. (1)転校前の学校に転校する旨を伝える

    離婚による引っ越しで転校することが決まった場合には、まずは転校前の学校に転校する旨を伝えます。
    転校前の学校からは以下の書類が交付されるでしょう。

    • 在学証明書
    • 教科書用図書給与証明書


    これらの書類は転校先の学校での転校手続きに必要になりますので、大切に保管しておきましょう。

  2. (2)転校先の学校に転校の日程を伝える

    転校先の学校は、基本的には、引っ越し先の通学区域内や学区内にある学校になります。

    「どの通学区域にどの学校があるか」ということは、自治体のホームページなどで確認することができます。
    たとえば、京都の場合には、京都市ホームページの「教育委員会>京都市立小・中・小中学校の通学区域」というWebページから、区ごとの「通学区町名一覧」のPDFをダウンロードすることができます。
    もしホームページや書類だけではわかりづらい場合には、引っ越し先の自治体の窓口に問い合わせてみましょう。

    また、転校先の学校でも、受け入れの準備が必要になります。
    転校先の学校がわかったら、早めに転校の日程を伝えるようにしましょう。

  3. (3)引っ越し先の市区町村役場で書類を提出する

    引っ越し後は、引っ越し先の市区町村役場において、転入届または転居届の提出が必要になります。
    その際に転校前の学校から交付された在学証明書を提示すると、転校先の学校の「転入学通知書」が交付されます。

    この書類も転校手続きで必要になるものであるため、大切に保管しましょう。

  4. (4)転校先の学校で転校手続きを行う

    転校先の学校では、以下の書類を提出して転校手続きを行ってください。

    • 在学証明書
    • 教科書用図書給与証明書
    • 転入学通知書

2、子どもの苗字が変わったら学校にどう伝える?

以下では、離婚により子どもの苗字が変わったことを学校に伝える方法を解説します。

  1. (1)子どもの苗字が変わる場合には学校に連絡が必要

    離婚により親権者が旧姓に戻ったとしても、子どもの苗字が変更されるわけではありません。
    子どもの苗字を変更するためには、家庭裁判所に「子の氏の変更許可の申立て」を行い、許可が下りた後、市区町村役場で入籍届の提出することが必要になります

    手続きを済ませて子どもの苗字が変更されたら、すぐに学校に連絡しましょう。
    苗字が変更になった場合の対応については、学校により異なっており、口頭での連絡だけで足りるところもあれば書類の記入と提出を求められるところもあります。
    詳しい手続きについて、通学先の学校にあらかじめ問い合わせておくとよいでしょう。

    また、苗字が変更になったとしても子どもの生活環境を変えないために、以前の苗字(通称性)の使用が認められる場合もあります。
    通称が認められるかどうかも学校によって対応が異なるため、通称の使用を検討されるなら、あらかじめ学校に問い合わせてみてください

  2. (2)苗字が変わることで子どもの生活に生じる影響

    苗字が突然変わったことを、子ども自身で友人やクラスメイトに説明することは、子どもの年齢や性格によっては、難しいものです。
    中学生~高校生であれば「離婚により苗字が変わったんだな」ということを説明しなくても察して、遠慮や気遣いなどができますが、小学生くらいであれば年齢や性格によってはそのような配慮ができないこともあります。
    そのため、友人やクラスメイトからあれこれ聞かれることで、もしかすると子どもは大きなストレスを受ける可能性もあります。

    子どもへの影響が不安な方は、子どもへの精神面の影響に十分に配慮してもらえるよう、担任の先生やスクールカウンセラーなどにあらかじめ相談することも検討してみましょう

  3. (3)苗字を変えない方法

    離婚届を提出すると、原則として、婚姻時に苗字を変えた方は自動的に旧姓に戻ることになります。
    しかし、「婚氏続称制度」を利用すれば、離婚後も引き続き婚姻中の苗字を利用することができます。
    結婚していた期間が長い場合には、旧姓に戻すことで仕事や日常生活に支障が生じる可能性もあるため、婚氏続称制度の利用を検討してみてもよいでしょう。

    婚氏続称制度を利用する場合には、離婚した日の翌日から3か月以内に、市区町村役場に「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出する必要があります。
    3か月経過後であっても婚姻中の苗字を利用することは可能ですが、家庭裁判所の許可が必要になるという点に注意してください

3、子どもがいる夫婦が離婚するときの注意点

子どもがいる夫婦が離婚する場合には、以下の取り決めが必要です。

  1. (1)親権

    夫婦に子どもがいる場合には、どちらが子どもの親権者になるかを決めなければなりません。
    親権には子どもと一緒に生活することができる「身上監護権」も含まれているため、親権を獲得した親が基本的には子どもと一緒に生活していくことになります。

    親権については、つい親の事情だけで決めてしまいがちですが、父母のどちらが親権を取得するかということは子どもにとっても非常に重要な事柄です
    「子どもにとって何が幸せなのか」ということも考えて、子どもの意見も尊重しながら決めていくようにしましょう。

  2. (2)養育費や婚姻費用

    離婚前に子どもを連れて別居をする場合には、子どもを養育している側(または収入の少ない側)は、相手に対して「婚姻費用」という名称の生活費を請求することができます。
    経済的な不安なく離婚の話し合いを進めるためにも必要な費用であるため、忘れずに請求するようにしましょう

    また、離婚後子どもと一緒に生活する親(監護親)は、別々に暮らす親(非監護親)に対して「養育費」を請求することができます。
    婚姻費用と養育費の金額は、いずれも夫婦の話し合いで決めていくことになります。
    婚姻費用算定表や養育費算定表などの資料を参照して、相場の金額もふまえたうえで、夫婦間の具体的な事情も考慮しながら金額を決定していきましょう。

  3. (3)面会交流

    面会交流とは、離婚や別居によって離れ離れになってしまった親が子どもと定期的・継続的に面会するなどの方法で交流する制度です。

    親権を獲得できなかった場合には、子どもと離れて暮らすことになりますが、子どもの成長にとって両方の親と定期的に交流することが大切です。
    したがって、離婚時には、離婚後の面会交流についてしっかりと取り決めしておきましょう

4、離婚する前に弁護士に相談すべき理由

離婚を検討されている方は、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)学校や苗字に関する手続きについて弁護士に相談できる

    子どもがいる夫婦が離婚すると、子どもの学校や苗字などに関して、さまざまな手続きが発生します。

    弁護士に相談すれば、離婚後にどのような手続きが必要になるのかをあらかじめ確認できるので、スムーズに手続きを完了させやすくなるでしょう。

  2. (2)慰謝料や婚姻費用の金額を適切にできる

    離婚を決意したら、どのような条件で離婚をするかも決めていかなければなりません。
    配偶者が不貞行為やDVをしていた場合には慰謝料を請求することができますが、慰謝料の金額は配偶者の責任の重さによって異なってきます。
    また、養育費や婚姻費用についても、子どもの人数や年齢に夫婦の収入などの具体的な事情によって金額が異なってくるのです。

    専門家である弁護士のサポートを受けることで、離婚条件についても適切に取り決めやすくなります

  3. (3)親権争いになった場合にも有利に進められる

    離婚後も子どもと一緒に暮らしたいという場合には、親権の獲得を目指すことになります。
    親権者を決定する基準には、「継続性の原則」、「兄弟不分離の原則」、「子の意思の尊重」等さまざまあり、どの基準がどの程度重視されるかについては、事案によって千差万別です。そのため、親権獲得の可能性を高めるためには、それぞれの要素をしっかりと理解する必要がありますが、専門家でなければ見通しを立てることは容易ではありません

    事前から弁護士に相談しておくことで、配偶者と親権で争うことになった場合にも、有利に進めやすくなるでしょう。

5、まとめ

両親の離婚に伴い、子どもには学校を転校したり苗字が変わったりするなどのさまざまな影響を生じる場合があります。
離婚自体が、子どもにとっては大きな環境の変化ですのでその変化が子ども自身のストレスとならないよう、必要な手続きをしっかりと把握したうえでスムーズに手続きを進めていくことが大切です。

京都市内や近隣市町村にご在住で、子どもの学校の手続きや苗字の問題、離婚条件の取り決めなどについて悩みや不安を抱かれている方は、ベリーベスト法律事務所 京都オフィスまでお気軽にご相談ください

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