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手形の不渡りで会社や経営者の生活はどうなる? 弁護士が解説

2020年08月14日
  • 事業再生・倒産
  • 不渡り
手形の不渡りで会社や経営者の生活はどうなる? 弁護士が解説

帝国データバンクの全国企業倒産集計によると、2020年4月の企業倒産件数は758件で、前年同月比16.4%の増加となりました。
京都府内だけで見ても19件の企業倒産が発生し、前年同月比18.8%の増加となっています。
これは、新型コロナウイルス不況の影響が表れた結果ともいえるでしょう。

会社経営をする中で、取引先との間で手形取引を行う機会もしばしばあるでしょう。
手形(小切手も同様)の不渡りを出してしまうと、銀行との取引ができなくなり、会社は事実上の倒産に追い込まれてしまいます。

この記事では、手形の不渡りが引き起こしてしまう事態や、不渡り後の倒産手続きなどについて、ベリーベスト法律事務所 京都オフィスの弁護士が解説します。

1、手形の不渡りとは

まず、「手形の不渡り」とはどういうものかについて、基本的な事項を理解しておきましょう。

  1. (1)3種類の手形の不渡り

    「手形の不渡り」とは、会社が発行した手形について、支払期日が過ぎても債権者(受取人)に対する支払いができない状態をいいます。

    ひと口に「手形の不渡り」といっても、その原因に応じて0号不渡り・1号不渡り・2号不渡りの3種類に分類されています。
    それぞれの内容について解説します。

    ①0号不渡り
    0号不渡りは、手形の形式不備や期日未到来、提示期間の経過など、振出人(会社)の信用に関係がない原因により手形が支払われないことをいいます。

    0号不渡りは、会社の信用とは関係がないため、銀行取引上「不渡り」の取り扱いを受けません。

    ②1号不渡り
    1号不渡りは、「資金不足」または「取引なし」を原因として手形が支払われないことをいいます。

    「資金不足」とは、会社の当座預金残高が支払いに対して不足していることをいいます。
    「取引なし」とは、手形上支払銀行とされた銀行と、会社との間にそもそも取引がないことをいいます。

    いずれも会社の信用に関わる原因による不渡りであり、一般的に「手形の不渡り」という場合には、この1号不渡りを指すのが通常です。

    ③2号不渡り
    2号不渡りは、0号不渡りと1号不渡りのいずれにも該当しない原因によって、手形が支払われないことをいいます。

    たとえば、契約不履行・偽造・詐欺・盗難・紛失などを原因とする場合が挙げられます。

    2号不渡りは、そのままにしておくと銀行取引上の不渡り処分の対象となります。

    しかし2号不渡りの場合、会社としては手形を支払わない正当な理由があるということになります。
    この場合は、異議申立提供金制度を利用することにより、不渡り処分の猶予または免除を申請する必要があります。

  2. (2)1回目の不渡りでは取引停止にならない

    手形の不渡り(これ以降は、特に断りのない限り「1号不渡り」を指すものとします)は、1回目と2回目で大きく意味が異なります。

    1回目の手形の不渡りでは、まだ銀行取引が強制的に停止されることはありません。
    しかし、1回目であっても手形の不渡りを起こすと、手形交換所規則に基づく不渡報告が行われます。
    不渡報告が行われると、各銀行に対して手形の不渡りが出た事実を通知されてしまい、会社の信用は大きく悪化してしまいます。

    そのため、「1回目なら手形の不渡りを出しても良い」というわけでは決してなく、手形の不渡りを回避するために最大限資金繰りを行う必要があるでしょう。

    一方、2回目の手形の不渡りを出すと、銀行取引停止処分により、銀行との取引が強制的に中止されてしまいます。
    銀行取引停止処分については、次の項目で解説します。

2、2回目の不渡りを出したら、銀行取引停止処分に

2回目の手形の不渡りを出してしまうと、手形交換所規則に基づく銀行取引停止処分が行われます。

  1. (1)銀行取引停止処分とは?

    銀行取引停止処分を受けると、会社は銀行との間で、処分の日から2年間当座勘定取引および融資取引を行うことができなくなります。

    銀行取引停止処分を受けると、会社の信用が大きく悪化し、資金繰りが非常に困難となってしまいます。
    また、すでに銀行から借り入れている資金がある場合、その残高を一括して返済しなければならず、一気に支払い不能の状態に陥ってしまいます。

    このように、会社が銀行取引停止処分を受けると、その会社は事実上の倒産状態に陥ってしまいます。

  2. (2)銀行取引停止処分が行われる流れ

    銀行取引停止処分は、手形交換所規則に従って行われます。
    銀行取引停止処分が行われる流れについて見ていきましょう。

    ①1度目の不渡りに関する不渡届の提出・不渡報告
    1度目の手形の不渡りが発生すると、銀行から手形交換所に対して「不渡届」が提出されます。
    銀行から不渡届が提出されると、手形交換所は、会社から異議申し立てが行われた場合などを除き、不渡りの事実を「不渡報告」に掲載して各銀行に通知します。

    このようにして、1度目の不渡りの事実が手形交換所と各銀行の知るところとなります。

    ②2度目の不渡りによる取引停止処分・取引停止報告
    1度目の手形の不渡りが発生した時から6か月以内に、2度目の手形の不渡りを出してしまうと、会社から異議申し立てが行われた場合などを除き、手形交換所はその会社について取引停止処分を行います。
    取引停止処分が行われると、手形交換所はその旨を取引停止報告に掲載して各銀行に通知します。

    ③当座勘定取引・融資取引の2年間停止
    会社が取引停止処分を受けた旨が取引停止報告に掲載されると、各銀行はその会社との間で2年間、当座勘定取引および融資取引を行うことができなくなります。

3、銀行取引停止処分後の法人についての倒産手続き

銀行取引停止処分が行われてしまうと、会社の経営を続けていくことは非常に困難です。
その場合、法的な倒産手続きを取らざるを得ないでしょう。

銀行取引停止処分の後、法人の倒産処理がどのように行われるのかについて解説します。

  1. (1)法人破産をするのが一般的

    銀行取引停止処分は、会社の信用に対して重大な悪影響を与えてしまいます。
    そのため、会社の存続は困難といわざるを得ません。

    銀行取引停止処分が行われた場合、法人破産の手続きを取ることが一般的です。

    法人破産は、裁判所に対して破産手続開始の申し立てをすることによりスタートします。

    破産手続が開始されると、会社の所有する財産がすべて換価・処分され、金銭が債権者に対して分配されます。
    すべての財産について換価・処分および債権者への配当が終了すると、法人は破産により解散して消滅してしまうので、破産手続終了後に破産法人そのものの責任が追及されることはありません。

  2. (2)法人破産をした場合、会社は清算手続により消滅する

    会社について破産手続開始の決定がなされると、会社は解散します(会社法第471条第5号、第641条第6号)。
    破産手続開始決定により会社が解散した場合には、破産手続の終了後、会社を清算することになります(会社法第475条第1号、第644条第1号)。

    清算手続が終了すると、会社は消滅します。

  3. (3)会社を存続させたいなら民事再生または会社更生

    もしどうしても会社を存続させたいという場合には、民事再生手続や会社更生手続を利用することも考えられます。

    しかし、民事再生手続や会社更生手続では、債権者とのやり取りに関して難しいかじ取りを迫られます。
    そのため、手続きの準備に膨大な手間が掛かり、弁護士費用もかさむ可能性があります。

    また、1度信用を失ってしまった会社を立て直すことは非常に困難です。
    むしろ法人破産により会社を清算して、その後新しい会社を興して再出発する方が近道になるかもしれません。

    以上のことから、民事再生や会社更生も選択肢としては有り得ますが、まずは法人破産を検討することが考えられます。

4、会社倒産時の経営者個人についての債務整理手続き

会社の倒産に伴い、経営者個人も債務整理手続きを余儀なくされるケースがあります。

  1. (1)経営者個人が会社債務を連帯保証している場合は債務整理手続きが必要な場合がある

    株式会社や合同会社などの有限責任会社であれば、会社と経営者個人の債務はあくまでも別という取り扱いになります。
    そのため、会社が倒産したからといって、必ずしも経営者個人が倒産をする必要はありません。

    しかし、会社の債務を経営者個人が連帯保証しているケースがよく見られます。
    この場合、会社が倒産により債務を支払えなくなってしまうと、経営者個人がその債務を代わりに支払う義務を負ってしまいます。

    会社の債務が巨額にわたる場合、経営者個人がその債務を支払うことは事実上不可能ですので、債務から免れるための債務整理手続き(個人破産、個人再生、任意整理)が必要になります。

  2. (2)自己破産の流れ

    経営者個人が自己破産をする場合にも、会社の場合と同様、裁判所に対して破産手続開始の申し立てを行います。

    破産手続開始が決定されると、やはり会社の場合と同様、所有する財産の換価・処分と債権者に対する配当手続が行われます。
    この際、生活に必要な一部の財産を除き、財産はすべて処分されてしまいます。
    特にマイホームや車などを所有している場合、換価・処分されることがあります。

    自己破産が法人破産と異なるもっとも大きな点は、破産手続の終了後に「免責審尋」が行われることです。
    免責審尋では、裁判所が破産者に対して質問を行い、債務の免責を認めて良いかどうかを判断します。

    免責審尋の結果、免責が許可されて確定すれば、破産者はすべての債務から解放されることになります。

5、まとめ

手形の不渡りは会社にとって致命傷になり得るため、経営者としては回避できるように全力を尽くさねばなりません。
万が一手形の不渡りを2回出してしまうと、会社は事実上の倒産状態に追い込まれてしまいます。
そうなってしまったら、弁護士に依頼をして債務整理をすることが考えられます。

手形の不渡りを出してしまいそう、または実際に不渡りを出してしまったという方は、ベリーベスト法律事務所 京都オフィスの弁護士にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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