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36協定違反を会社が報告されたら? 制度の効果や重要性を解説

2020年03月06日
  • 労働問題
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  • 京都
36協定違反を会社が報告されたら? 制度の効果や重要性を解説

2018年10月17日、京都南労働基準監督署は36協定を結ばずに店長を残業させたと、コンビニエンスストアをフランチャイズ運営する企業の代表取締役および取締役1名を書類送検しました。この店長は月に176時間の残業を強いられ、残業代も十分に支払われていなかったとのことです。

労働法に違反すると、この事件のように書類送検や逮捕されることがあります。特に社員に残業させるときは確実に36協定の合意が必要です。 こちらでは36協定の効果とその重要性について、京都オフィスの弁護士が紹介します。

1、36協定は残業させるために必要

  1. (1)36協定とは

    企業が労働者を雇うための雇用契約は、お互いの合意によって定められます。それなら労働時間も自由に設定できそうですが、労働基準法では労働時間の上限が決められています。法定労働時間として1日8時間、週40時間が労働基準法第32条で定められており、休憩は同法第34条、休日の設定は同法第35条で義務付けられています。

    一方、残業や休日出勤については、労働基準法第36条に、使用者(企業など)は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、または労働者の過半数を代表する者と書面による協定をし、行政官庁に届け出た場合において可能になる、とされています。
    つまり、残業も早朝出勤も休日出勤も「させてはいけない」というのが労働基準法の原則なのです。

    しかし、業務上、または事業の運営上1日8時間を越えて労働させることが必要になる場合も珍しくありません。そこで労働基準法第36条では、労使間の合意があり、行政に届け出た場合にのみ残業を認めているのです。

    この時間外労働・休日労働に関する協定は、36協定(さぶろくきょうてい)と呼ばれています。もし、自社において36協定が結ばれていないのなら、今すぐにでも作成・締結し、労働基準監督署へ届け出る必要があります。残業代をきちんと払っている場合も同様です。

    また、36協定は最長で1年間有効な協定です。一度合意したら企業を解散するまで続く協定でない点は注意が必要です。36協定の届け出先である労働基準監督署で、今ある協定で定められた期間が終わる前に、更新の手続きを終わらせる必要があります。

  2. (2)36協定で認められる残業時間

    36協定は制限なく労働者を働かせる効果を持っているわけではありません。上限は1週間で15時間、1か月で45時間、1年で360時間と決められています。
    つまり、慢性的に残業がある企業の場合は、1日あたりの残業時間がもっとも少ない1年間の上限に気をつけて、労働者ひとりひとりの労働時間を管理する必要があります。

  3. (3)特別条項によって何が認められるのか

    ところが、企業によってはどうしても36協定の上限だけでは仕事を片付けられないことがあります。特に、繁忙期と閑散期が明確に別れているような場合は、より多くの残業時間が必要となる時期が発生してしまうものです。

    そこで、36協定では特別条項による労働時間の延長が認められています。労働時間の延長には、延長が必要である特別な事情があり、かつ残業の期間が1年の半分以下であることが求められています。
    つまり1年のうち6か月を超える特別条項の適用は認められません。

    ちなみにこの特別条項については、大企業なら2019年4月1日、中小企業の場合は2020年4月1日以降に合意された協定より、残業時間の上限が適用されます。

  4. (4)労働者代表は適切に決められなければならない

    36協定は労働者と会社との合意です。先述したように、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、または労働者の過半数を代表する者が代表者となる必要があります。
    労働組合がある場合、労働者の過半数で組織されていなければ36協定の合意ができません。また、労働者代表は、過半数の同意を得た上で代表となる人を立つ必要があります。

    この代表者について、企業側が指定することはできません。また、一部の労働者が勝手に決めることもできません。基本的には選挙で決めることになります。企業側としては、代表者が適切に決められているかについても注意する必要があるでしょう。

2、36協定に違反すると何が起きるか?

  1. (1)36協定違反は労働者に通報される場合あり

    36協定の不備や違反は、労働基準法違反にあたるため労働基準監督署の取り締まるところとなります。労働基準法の違反は、労働基準監督署の定期監督で明らかになる場合のほか、労働者の報告によって明るみに出ることもあります。

  2. (2)労働基準監督署の調査や指導

    労働者からの報告で36協定違反の可能性ありと判断された場合は、企業への立ち入り調査が行われます。36協定が適切に締結され運用されている限りは、なんの心配もありません。

    また、36協定違反が明らかになったときも、すぐに大きなペナルティーがあるわけではありません。まずは労働基準監督署より業務改善についての指導がされます。刑事罰を恐れて違法行為を重ねる心配は無用です。36協定を守るために何をすべきか考える良い機会になるでしょう。

  3. (3)使用者の逮捕

    再三の指導でも改善されない場合や、あまりに悪質である場合には使用者が逮捕されます。使用者とは、経営者以外にもその労働者に指揮命令する立場の方も該当します。
    逮捕されたからといって、すぐに起訴されるとは限りません。多くの場合は書類送検となります。ただし、その後起訴され有罪となれば、刑事罰が下されることになります。

  4. (4)使用者に対する懲役刑・罰金刑

    労働基準法第119条では、使用者に対する6か月以下の懲役または30万円以下の罰金という刑事罰を定めています。基本的に36協定の違反があった場合はそもそもの労働時間や休日を定めた同法32条や34条違反として処理され、特別条項に関する違反があった場合は労働基準法第36条5項違反として処理されます。

    いずれにせよ労働基準法違反で有罪となれば、刑事罰が科されることを覚えておきましょう。

  5. (5)残業時間以外で気をつけるべき36協定違反とは?

    残業時間が増えすぎて違反する場合の他に、適切な労働者を選ばずに36協定を交わした場合や、全体に周知していなかった場合も36協定違反となります。
    また、特別条項を定めている場合、長時間働く労働者に対して健康または福祉を確保するための措置が必要となります。

    従業員への退職勧奨の注意点は以下のコラムをご参照ください。
    >弁護士が解説! 自社の従業員に合意退職してもらう場合に注意すべき点は?

3、36協定を作成する際の注意点

36協定には、仕事の内容と所定労働時間、残業時間、働く人数などを記載します。
重要なことは内容を正しく書けているかどうかです。想定できる限りの残業時間をカバーできるようにすること、残業を命じられる業務内容に抜け漏れがないことはよく確認してください。

特別条項が必要となる場合は、合わせて定めておかないと労働基準法違反となります。また、特別条項で残業代を伸ばせるのは1年の半分までという点も注意が必要です。
特別条項については、限度時間を超える労働をさせる場合の手続きと、限度時間を超えて労働する従業員に対する配慮も必要となります。

協定の内容に不備がないか、自社に合わせた内容となっているかなどで不安な場合、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士であれば、正しい内容で作成することはもちろん、企業の事業や現状に合わせた適切な協定内容を定めるアドバイスもしてくれます。

36協定違反の可能性がある場合は、労使の合意のもとで修正が必要となりますので、労使間で話し合いの場を設けましょう。このときも、弁護士が間に立って法的な観点も含めた上で調整を図ることが可能です。

4、まとめ

36協定は決して残業無制限の制度ではありません。36協定があるからと慢心せず無理のない企業運営を心がけるようにしましょう。残業を減らせれば残業代の支払いや諸経費の削減が可能となる上、優秀な社員のためにベースアップができるようになります。
36協定をおろそかにしてしまうと、労働基準監督署に報告され、時には罰則を受けることさえあります。
正しい企業運営をできているか不安なときはベリーベスト法律事務所 京都オフィスまでご相談ください。経験豊富な弁護士がサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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