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アパレル業界の労働問題|当事者のための法律知識

2023年10月26日
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アパレル業界の労働問題|当事者のための法律知識

アパレル店員のなかには、会社との労働問題にお悩みの方が多数いらっしゃいます。具体的には、「制服の自腹購入が義務付けられている」といった業界特有の問題もあれば、「長時間労働が慢性化している」「残業代がきちんと支払われない」といった問題が発生していることもあります。

会社との間で何らかの労働問題を抱えているアパレル店員の方は、労働者としての権利を守るために、まずは弁護士に相談しましょう。

本コラムでは、アパレル業界で発生しがちな労働問題やアパレル店員が押さえておくべき基礎知識について、ベリーベスト法律事務所 京都オフィスの弁護士が解説します。

1、国内外で発生している、アパレル業界の労働問題

アパレル業界(ファッション業界)では、国内外においてさまざまな形で労働問題や環境負荷の問題が発生しています。

たとえば海外にはファストファッションブランドの生産工場や縫製工場などで働く労働者がわずかな対価で長時間労働を強いられているという構造が存在しており、国際問題となっています。

日本国内でも、人手不足や働き方改革の遅れなどにより、長時間労働を強いられているアパレル店員が多数存在します。
さらに、労働基準法に対する誤った認識や意識の低さから、アパレル店員に対して適切な残業代を支払わないケースも存在します

2、アパレル業界における制服の自腹購入|違法? 問題ない?

アパレル業界においてしばしば生じる労働問題の一つが、制服の自腹購入です。

アパレル店では、宣伝のために、店員に自社ブランドの洋服を着用して接客することを要求する場合が多々あります。
そして、制服が会社から支給されるのではなく、店員に自ら購入させるという店舗や企業も少なくないのです。

制服の自腹購入は、「労働者に負担させるべき食費、作業用品、その他に関する事項」に当たるため、労働契約を締結する際に、会社が労働者に対して明示しなければなりません(労働基準法第15条第1項前段、労働基準法施行規則第5条第1項第6号)。
逆にいえば、労働契約を締結した後で「制服は自腹だから」と初めて知らされた場合は、労働基準法違反にあたります
このような場合には、店員は自腹での制服購入を拒否することができます。

3、アパレル店員の残業が多くなる主な理由

アパレル店員のなかには、連日長時間に及ぶ残業を強いられている方が多数おられます。
以下では、アパレル店員の残業が多くなってしまう理由を解説します。

  1. (1)高い離職率による人手不足

    令和2年度における、アパレル業界を含む小売業の新規学卒就職者の3年以内離職率は、高卒者で47・8%、大卒者で37・4%でした。
    調査の対象となった18産業のうち、高卒者では第4位、大卒者では第5位の高水準です。

    とくにアパレル業界では、アルバイトの若い店員が多く雇用される傾向があります。
    そのため、アパレル店員の入れ替わりは非常に激しく、その分長く勤めている方には大きな負担がかかりやすい構造になっているのです。

  2. (2)正月明けなどの繁忙期

    アパレル業界には、正月明け・夏のバーゲンセール・年末商戦など、年に何回かの繁忙期があります。

    繁忙期には店舗に多くの消費者が訪れるため、店員は接客に追われることになります。
    そして、接客に時間をとられて処理すべき他の業務が終わらない場合は、必然的に残業を強いられることになってしまうのです。

  3. (3)働き方改革の遅れ

    近年急速に浸透している働き方改革ですが、アパレル業界ではまだ十分に取り組みが浸透しているとはいえません。

    とくにアパレル店員は、店舗において接客をしなければならないため、テレワークなどにはなじみません。
    勤怠管理が適切に行われており、労働時間が正しくコントロールされていれば問題ありませんが、実際にはずさんな勤怠管理を行っているアパレル会社も存在します

    働き方改革が遅れているアパレル企業では、店員が長時間労働を強いられていることが多々あるのです。

4、アパレル店員の残業代の計算方法

アパレル店員のなかには、「連日残業をしているにもかかわらず、会社から残業代が正しく支払われていない」という悩みを抱えられている方が多くおられます。

以下では、残業代を正確に計算する方法を解説します。

  1. (1)1時間当たりの基礎賃金を計算する

    「基礎賃金」とは、残業代計算の基準となる賃金額をいいます
    1時間当たりの基礎賃金に残業時間をかけることで、残業代の金額が求められます。

    1時間当たりの基礎賃金は、以下の式によって計算します。

    1時間当たりの基礎賃金
    =1か月の総賃金(以下の手当を除く)÷月平均所定労働時間

    <総賃金から除外される手当>
    • 時間外労働手当、休日労働手当、深夜労働手当
    • 家族手当(扶養人数に応じて支払うものに限る)
    • 通勤手当(通勤距離等に応じて支払うものに限る)
    • 別居手当
    • 子女教育手当
    • 住宅手当(住宅に要する費用に応じて支払うものに限る)
    • 臨時に支払われた賃金
    • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

    <月平均所定労働時間の求め方>
    月平均所定労働時間=年間所定労働時間÷12か月

    ※所定労働時間:労働契約や就業規則で定められた労働時間


    (例)
    1か月間に40万2500円の賃金(上記手当を除く)が支給され、月平均所定労働時間が175時間の場合
    →1時間当たりの基礎賃金は2300円(=40万2500円÷175時間)
  2. (2)種類ごとに残業時間を集計する

    残業時間は、以下の種類に分類されます。
    残業の証拠(勤怠管理システムの記録など)に基づきながら、種類ごとに正確な残業時間を集計しましょう

    ① 法定内残業
    →所定労働時間※を超え、法定労働時間※を超えない部分の労働時間
    ※所定労働時間:労働契約または就業規則で定められた労働時間
    ※法定労働時間:原則として1日8時間、1週40時間まで

    ② 時間外労働(法定外残業)
    →法定労働時間を超える部分の労働時間

    ③ 休日労働
    →法定休日※における労働時間
    ※法定休日:労働基準法第35条によって付与が義務付けられた休日。原則として1週間のうち1日

    ④ 深夜労働
    →午後10時から午前5時までの労働時間
  3. (3)残業代の金額を計算する

    残業代の金額は、以下の式によって計算します。

    残業代=1時間当たりの基礎賃金×割増率×残業時間数


    また、割増率は労働基準法に基づいて、残業の種類に応じて以下の水準以上に設定する必要があります

    <割増率>

    法定内残業 通常の賃金
    時間外労働 通常の賃金×125%
    ※月60時間を超える時間外労働については通常の賃金×150%
    休日労働 通常の賃金×135%
    深夜労働 通常の賃金×125%
    時間外労働かつ深夜労働 通常の賃金×150%
    ※月60時間を超える時間外労働については通常の賃金×175%
    休日労働かつ深夜労働 通常の賃金×160%

    (例)
    • 1時間当たりの基礎賃金が2300円
    • 時間外労働が40時間(うち深夜労働が5時間)
    • 休日労働が20時間

    残業代
    =2300円×(125%×35時間+150%×5時間+135%×20時間)
    =17万9975円

5、労働問題に悩むアパレル店員は弁護士に相談を

会社との間の労働問題は、労働者本人だけで解決することは非常に困難です。
会社側は資金力や法律の知識などに勝っているため、どうしても労働者は不利な立場に置かれてしまいます。
しかし、弁護士のサポートを得ることで、会社と対等以上の立場から交渉することが可能になります。

弁護士であれば、制服の自腹購入・過度な長時間労働・残業代の未払いなど、問題の種類や具体的な状況に応じて丁寧に検討しながら、適切に対応することができます

労働問題を抱えた状況では、仕事に身が入らないばかりでなく、心身ともに疲弊してしまうことになります。
健全な働き方を取り戻すためにも、労働問題にお悩みのアパレル店員の方は、お早めに弁護士までご相談ください。

6、まとめ

他の業界と同じくアパレル業界でも、過度な長時間労働や残業代の未払いをはじめとして、さまざまな労働問題が発生しています。
労働問題に巻き込まれたアパレル店員の方は、1日も早く労働環境を改善するため、まずは弁護士に相談しましょう。

ベリーベスト法律事務所では、労働問題に関するご相談を受け付けております。
ご相談いただければ、労働法務やアパレル業界の内情に精通した弁護士が、お客さまが抱えている問題の解決を親身になってサポートいたします。
会社とのやり取りや法的手続きの対応についても、弁護士に任せることができます

労働問題をひとりで抱え込んでいると、心身ともに大きな負担が生じてしまいます。
労働問題にお悩みのアパレル店員の方は、まずはベリーベスト法律事務所にご連絡ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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