タイムカードがない時に知っておきたい、会社に対して残業代請求する方法
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京都は、歴史的建造物が多く観光地として有名ですが、国外からの人気も非常に高く、世界の人気観光都市ランキング5位にランクインいたしました(米旅行雑誌 トラベル・アンド・レジャー2018年)。
観光地として非常に人気があるため、京都市内には飲食店などが多く軒を連ねていますが、一方で飲食店などのサービス業界で働く方たちの中には、未払いの残業代についての悩みを抱えている方も少なくありません。
残業代請求をしたくても、タイムカードが手元になくなかなか残業代請求に踏み切れないという方もいらっしゃいます。
そこで今回は、タイムカードがなくても未払いの残業代を請求できるのか解説していきます。
1、タイムカードの有無と残業代請求の関連性
タイムカードがない企業や店舗で働いている場合、定められた就業時間外での労働について、残業代請求は可能でしょうか?
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(1)タイムカードがないのは違法?
そもそもタイムカードを設置していない場合は違法になるのかというと、違法とはなりません。
しかし、労働基準法では、賃金台帳を作成し、労働時間などの賃金計算に必要な事項を記載しておく必要があり、その賃金台帳などの書類を3年間保存しておく義務を負っています。
また、厚生労働省の通達では、「使用者は労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること。」としています。労働時間や労働日数の確認方法としては、タイムカードやICカードなどの客観的な記録を基礎として確認することを求めています。(平成13年4月6日基発339号「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」)。 -
(2)タイムカードがなくても残業代の請求は可能
それではタイムカードがない職場で働いている場合、どのように残業代請求を行えばよいでしょうか?
タイムカードがないからと諦めてしまう方も多いかもしれませんが、タイムカードがなくてもタイムカードの代わりになる証拠があれば未払いの残業代は請求できます。
労働基準法においては、記録している時間ではなく実際に労働している時間で残業代を判断します。
そのため、タイムカードに代わって、勤務時間や残業している時間が分かるような客観的な証拠を準備して会社と交渉をします。
ただし、残業代請求を行う前には労働契約も見直す必要があります。
雇用の際に、会社と締結した契約内に残業代のルールが記載されている場合もあるので事前に確認しておきましょう。
2、タイムカードの代わりになる証拠は?
タイムカードがない職場の場合、労働時間や残業時間を記録するにはどのようすにすればいいのでしょうか?
これから残業代請求するために証拠を集めたいという人も、働き始めた職場にタイムカードがなくて不安だという人も以下を参考に証拠を残すようにしてください。
・メールやLINEで証拠を残す
家族や友人にメールやLINEで退社することを送信することも証拠になります。
帰宅報告として毎日送っていれば、そのメールやLINEの送信時間が残るため、証拠として有効になります。
そうすれば、自身の勤務時間記録の信ぴょう性を高めることができます。
さらに、そのメール内容に上司から残業を命じられていたり、納期などの仕事内容が書かれていると残業をしていたということが証明できます。
・業務日報をコピーする
業務日報がある場合、証拠として使うことができます。
具体的な業務内容が記載されているだけでなく、業務日報は会社側が日報内容を認めていることになります。
コピーが可能であれば、自分の保管用にコピーして保存しておきましょう。
無理な場合はスマホなどで写真を残しておくと、会社に破棄されても証拠として残すことができます。
・パソコンのログイン履歴
職場でパソコンを使用している場合、パソコンのログイン履歴の時間が記録されていますので、上司とのメールや業務日報が無い場合でも、パソコンに毎日ログインして仕事をしていれば証拠として使用できる可能性があります。
・自身で労働時間を記録する
労働者自身が労働時間を記録して保持しておくことも大切なことです。
気が向いた時や思い出した時だけではなく、毎日労働時間を記録しておくことで証拠としての効力を持ちます。
給与明細と照らし合わせた時に、どれくらい残業代が支払われていないかを知ることもできます。
・雇用契約書や給料明細の保管
入社時に締結している雇用契約書や就業規則、給料明細も証拠になります。
働いた時間は記載されていないものの、どういった規則や契約で働いているのかという証明や実際に受け取っている金額を証明する際に必要です。
お問い合わせください。
3、証拠が用意できない場合は会社に対して開示請求を行う
タイムカードがない場合の証拠を集める方法を紹介しましたが、これらの用意ができないという場合も諦めてはいけません。
労働基準法では、会社に対して労働時間や日数など賃金計算の際に必要な情報を3年間保存しておくことを義務付けています。そのため、会社に対して3年間分の記録を開示させることが必要となります。
ただし、会社に対して開示請求をしたとしても、相手が必ず応じてくれるとは限りませんし、悪質な場合は証拠を改ざんしたり、破棄してしまう場合も考えます。そういった場合には、裁判所を通して、証拠保全の手続きを行う必要がありますので、証拠がなくてお困りの方は一度弁護士へ相談することをおすすめいたします。
4、まとめ
小さな会社や個人経営の店舗などであれば、タイムカードがなくて残業代が不透明になっていることも少なくありません。
しかし、残業代は当然受け取ることのできる賃金です。手元に証拠資料がない場合には、会社に対して開示を求めることも可能です。諦める前にまずはベリーベスト法律事務所 京都オフィスの弁護士までご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています