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飲食店の労働時間の計算方法とは? ほかの業界との違いはあるのか

2023年08月01日
  • 残業代請求
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飲食店の労働時間の計算方法とは? ほかの業界との違いはあるのか

京都の料理といえば、湯豆腐や「おばんざい」に懐石料理といった和食を想起する方が多いでしょう。しかし、ラーメン専門店「天下一品」や牛カツ専門店「勝牛」など、京都発祥で全国チェーンになっている飲食店には多種多様なジャンルがあります。そのなかでもとくに有名なのが中華料理専門店「餃子の王将」であり、令和5年3月期決算では売上高が前年比9.7%増の930億円で過去最高となりました。

他の業種と同じように、飲食店で働く従業員にも、労働時間について労働基準法のルールが適用されます。しかし、一部の飲食店では、労働時間の管理がずさんであるために労働基準法違反が生じていることがあります。

本コラムでは、飲食店に適用される労働時間の規制、飲食店にありがちな労働時間のNGルール、残業代の計算方法や計算例などについて、ベリーベスト法律事務所 京都オフィスの弁護士が解説します。

1、労働時間に関する労働基準法のルール

業種の事業者と同様に、飲食店でも、従業員を雇用している場合には労働基準法のルールが適用されます。
ただし、小規模な飲食店については労働時間に関する規制の特例が設けられています

まずは、労働時間に関する労働基準法の基本的なルールについて解説します。

  1. (1)労働時間の定義

    法律における労働時間とは、「客観的に見て、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」と定義されます。

    飲食店の従業員については、以下のような時間が労働時間に該当します。

    • 実際に店頭に立って接客している時間
    • 接客に備えてホールで待機している時間
    • 厨房で作業をしている時間
    • 仕入れた食材を運搬している時間
    • 店長から指示を受けている時間
    • 私服から制服、制服から私服に着替える時間
    など
  2. (2)原則として法定労働時間が上限|時間外労働には36協定が必要

    原則として、労働時間の上限は「1日8時間・1週間40時間」です(労働基準法第32条)。これを「法定労働時間」といいます。
    なお、管理監督者(同法第41条第2号)など、労働者の役職や状態によっては例外的に法定労働時間の規制が適用されない場合もあります。

    使用者が法定労働時間を超えて労働者を働かせるためには、労働組合または労働者の過半数代表者との間で「36協定」を締結して、労働基準監督署へ届出を行う必要があります(同法第36条第1項)。
    36協定は、時間外労働(=法定労働時間を超える労働)と休日労働(=法定休日における労働)に関するルールを定めるものです。

    36協定の締結や届け出を怠った状態で、使用者が労働者に時間外労働をさせることは違法となります
    また、36協定で定められた上限時間を超過して、使用者が労働者に時間外労働をさせることも労働基準法違反にあたるのです。

  3. (3)飲食店に関する労働時間の特例

    以下の事業を営み、かつ常時使用する労働者が10人未満の事業場は「特例措置対象事業場」にあたります。

    1. ① 商業:卸売業、小売業、理美容業、倉庫業、その他の商業
    2. ② 映画・演劇業:映画の映写、演劇、その他の興業の事業
    3. ③ 保健衛生業:病院、診療所、社会福祉施設、浴場業、その他の保健衛生業
    4. ④ 接客娯楽業:旅館、飲食店、ゴルフ場、公園・遊園地、その他の接客娯楽業


    特例措置対象事業場では、例外的に法定労働時間が「1日8時間・1週間44時間」となります(労働基準法第40条、労働基準法施行規則第25条の2第1項)。
    また、労使協定を締結すれば、「1日8時間・1週間44時間」を前提とする変形労働時間制やフレックスタイム制の導入も可能です(労働基準法施行規則第25条の2第2項、第3項)。

2、飲食店にありがちな労働時間のNGルール

飲食店では、とくに出勤時刻と退勤時刻の記録について、労働基準法が順守されていない例が散見されます。

たとえば、以下のような取り扱いは労働基準法違反にあたります
勤務先の飲食店にこのようなルールが設けられている場合には、未払い残業代が発生している可能性も高いでしょう。

  1. ① 制服に着替えるまで出勤を記録できない
  2. ② 退勤を記録してから業務報告と着替えをする


  1. (1)制服に着替えるまで出勤を記録できない

    一部の飲食店では、出勤してきた従業員に対して、まず制服に着替えてからタイムカードなどの打刻をするように指示しています。

    しかし、店舗側が指定した制服に着替える時間は、客観的に見て従業員が店舗側の指揮命令下に置かれていると評価できるため、労働時間に該当します。
    したがって、店側は、従業員が制服に着替える前にタイムカードなどを打刻させなければならないのです。

    「制服に着替えるのが先、タイムカードの打刻は後」としている場合は、着替えの時間が労働時間としてカウントされていないために、未払い残業代が発生している可能性があるといえます

  2. (2)退勤を記録してから業務報告と着替えをする

    従業員が退勤する際に、先にタイムカードなどの打刻をさせてから、店長に対する業務報告や着替えをさせている飲食店もあります。

    しかし、業務報告をする時間は、客観的に見て従業員が店舗側の指揮命令下に置かれていると評価できるため、労働時間に該当します。
    また、着替えの時間についても、店舗指定の制服から私服に着替える場合には労働時間に該当すると判断されるのです。

    従業員に退勤を記録させてから業務報告と着替えをさせている場合、業務報告と着替えの時間について未払い残業代が発生している可能性は高いといえます

3、飲食店従業員が受け取れる残業代の計算方法・計算例

以下では、飲食店従業員の残業に対して発生する残業代の計算方法や計算例を紹介します。

  1. ① 1時間当たりの基礎賃金を計算する
  2. ② 残業時間数を集計する
  3. ③ 残業代を計算する


  1. (1)1時間当たりの基礎賃金を計算する

    「基礎賃金」とは、残業代計算の基準となる賃金額です。
    残業代を計算する際には、まず以下の式によって1時間当たりの基礎賃金を求めます。

    1時間当たりの基礎賃金
    =1か月の総賃金(以下の手当を除く)÷月平均所定労働時間


    <総賃金から除外される手当>
    • 時間外労働手当、休日労働手当、深夜労働手当
    • 家族手当(扶養人数に応じて支払うものに限る)
    • 通勤手当(通勤距離などに応じて支払うものに限る)
    • 別居手当
    • 子女教育手当
    • 住宅手当(住宅に要する費用に応じて支払うものに限る)
    • 臨時に支払われた賃金
    • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

    <月平均所定労働時間の求め方>
    月平均所定労働時間=年間所定労働時間÷12か月
    (年間所定労働時間=1日の所定労働時間×年間所定労働日数)
    ※所定労働時間:労働契約や就業規則で定められた労働時間


    (例)
    1か月間に35万円の賃金(上記手当を除く)が支給され、月平均所定労働時間が175時間の場合
    →計算式:35万円÷175時間=2000円
    1時間当たりの基礎賃金は2000円となります。
  2. (2)残業時間数を集計する

    次に、残業の種類ごとに残業時間数を計算します。

    <残業の種類>
    1. ① 法定内残業:所定労働時間を超え、法定労働時間を超えない部分の労働時間
    2. ② 時間外労働(法定外残業):法定労働時間を超える部分の労働時間
    3. ③ 休日労働:法定休日※における労働時間
      ※法定休日:労働基準法第35条によって付与が義務付けられた休日で、原則として1週間のうち1日のみです。法定休日以外の休日労働した場合は、法定内残業または時間外労働にあたります。
    4. ④ 深夜労働:午後10時から午前5時までの労働時間
      ※法定内残業・時間外労働・休日労働と重複して該当する場合あり
  3. (3)残業代を計算する

    最後に、以下の式によって残業代の額を計算します。

    残業代=1時間当たりの基礎賃金×割増率×残業時間数

    残業代=1時間当たりの基礎賃金×割増率×残業時間数

    <割増率>
    法定内残業 通常の賃金
    時間外労働 通常の賃金×125%
    ※月60時間を超える時間外労働については通常の賃金×150%
    休日労働 通常の賃金×135%
    深夜労働 通常の賃金×125%
    時間外労働かつ深夜労働 通常の賃金×150%
    ※月60時間を超える時間外労働については通常の賃金×175%
    休日労働かつ深夜労働 通常の賃金×160%

    (例)
    • 1時間当たりの基礎賃金が2000円
    • 時間外労働が15時間(うち深夜労働が2時間)
    • 休日労働が8時間

    残業代
    =2000円×(125%×13時間+150%×2時間+135%×8時間)
    =6万100円


4、未払い残業代の請求は弁護士にご相談を

店舗側(運営企業・経営者)の労務管理がずさんなために実質的なサービス残業を強いられている飲食店従業員の方は、弁護士に相談することを検討してください。

弁護士は、残業に関する証拠などを分析したうえで、依頼者が受け取るべき残業代の適切な金額を計算して、店舗側に対して依頼者に代わり請求を行うことができます

弁護士が法的な根拠に基づく請求を行えば、正しく残業代が支払われる可能性が高まるでしょう。
また、店舗側が未払い残業代の支払いを拒否した場合には、労働審判や訴訟などの法的手続きについても弁護士がサポートすることができます。

5、まとめ

労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間帯は労働時間にあたり、賃金(残業代)が発生します。

飲食店従業員については、制服に着替える時間なども労働時間にあたる可能性が高いといえます。
店舗側のずさんな労務管理により未払い残業代が発生していると疑われたら、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所では、未払い残業代請求に関する労働者からのご相談を随時受け付けております
京都市内や近隣市町村にご在住で、サービス残業などに悩んでいる飲食店従業員の方は、まずはベリーベスト法律事務所 京都オフィスにご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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