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相続放棄をしても死亡保険金は受け取ることができる理由を解説

2021年05月27日
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相続放棄をしても死亡保険金は受け取ることができる理由を解説

京都府の人口動態統計によると、2019年中の京都府内における死亡数は2万7025人でした。1999年に2万人台となって以降、ゆるやかな増加傾向が続いています。

相続放棄をした人が死亡保険金(生命保険金)の受取人になっていた場合、保険金を受け取ることができるのか、他の相続人に渡さなければならないのかということが気になる方も多いでしょう。
相続放棄をした人が保険金受取人になっている死亡保険金については、相続放棄の事実にかかわらず、そのまま受け取ることが可能です。

この記事では、相続放棄と死亡保険金の関係について、ベリーベスト法律事務所 京都オフィスの弁護士が解説します。

(出典:「令和元年京都府人口動態統計(概数)の概要」(京都府))

1、相続放棄をしても死亡保険金(生命保険金)の受け取りは可能

相続人が相続放棄をした場合であっても、その相続人が受取人になっていれば、死亡保険金(生命保険金)を受け取ることができます。

  1. (1)死亡保険金は受取人の固有財産

    死亡保険金は、多くの場合、死亡した人(=被相続人)本人が保険契約者として掛け金を拠出しています。
    しかし、掛け金を誰が拠出しているかにかかわらず、死亡保険金を受け取る権利は、生命保険契約に基づき「受取人」が取得する固有の権利であるとされています

    したがって、死亡保険金の受取人として相続人が指定されている場合、死亡保険金の請求権は被相続人ではなく、受取人である相続人の財産ということになります。

  2. (2)相続放棄の対象は相続財産のみ|死亡保険金は対象外

    相続放棄をすると、その相続人は初めから相続人とはならなかったものとみなされ(民法第939条)、被相続人の遺産を一切相続することができなくなります。

    このとき、被相続人の遺産として定義されるのは、「相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務」です(民法第896条)。

    前述のとおり、死亡保険金は被相続人ではなく、受取人の固有財産なので、被相続人の遺産には含まれません

    よって、相続放棄をした場合であっても、死亡保険金は相続放棄の対象に含まれないため、そのまま受給することができます。

2、相続放棄によって死亡保険金が受け取れなくなる場合はある?

相続放棄をした場合でも、受取人が自分になっていれば、問題なく死亡保険金を受け取ることができます。

ただし、「受取人が自分ではなく被相続人本人になっている」場合には、死亡保険金が被相続人の遺産に含まれることになります。
この場合については、相続放棄をしたら被相続人の遺産を相続できませんので、当然死亡保険金についても同様となります。

3、相続放棄した人が受け取った死亡保険金に課される相続税

相続放棄をした場合でも、受取人が自分になっていれば死亡保険金を受け取ることができますが、その死亡保険金には「相続税」が課税されます。
「相続放棄をしたから相続税は関係ない」というわけにはいきませんので、死亡保険金に対する相続税の課税ルールを正しく理解しておきましょう。

  1. (1)死亡保険金は「みなし相続財産」として課税対象に

    死亡保険金は、法的には相続によって取得されたものではなく、もともと受取人の固有財産です。
    しかし、相続税の課税上は、被相続人が負担した保険料に対応する金額については、相続によって取得したものとみなされます(相続税法第3条第1項第1号)。
    この場合の死亡保険金を「みなし相続財産」と呼んでいます。

    相続によって取得されたものとみなされる以上、「死亡保険金は相続税の課税対象」となるのです。

  2. (2)相続放棄をした場合、死亡保険金の非課税制度は利用できない

    死亡保険金を受け取った人が相続人である場合、「500万円×法定相続人の人数」までの死亡保険金は非課税となります(相続税法第12条第1項第5号イ)。

    これは、死亡保険金が残された家族の生活保障を目的としていることから、その目的を没却しないように定められた非課税制度です。

    しかし、相続放棄をした場合、その人は初めから相続人とはならなかったものとみなされます(民法第939条)。
    そのため、相続税の計算上も相続人とはカウントされず、死亡保険金の非課税制度の適用を受けることはできません

  3. (3)相続税の基礎控除は適用される

    「3000万円+600万円×法定相続人の数」までの相続財産については、相続税が非課税とされています(相続税法第15条第1項)。
    これを相続税の「基礎控除」といいます。

    死亡保険金の非課税制度とは異なり、相続税の基礎控除については、相続放棄をした相続人についても、基礎控除額の計算に加えてよいとされています(同条第2項)。
    よって、相続放棄をした人が死亡保険金を受け取った場合についても、その相続人を頭数に加えたうえで、相続税の基礎控除額を算定することになります。

  4. (4)相続放棄・死亡保険金に関する相続税の計算例

    相続放棄をしたうえで死亡保険金を受け取った人がいる場合に、相続税がどのように計算されるかについて、簡単な設例を用いて解説します。

    <設例>
    • 相続人は子どもA、B、Cの3人
    • Aは相続放棄をした
    • Aは5000万円の死亡保険金を受け取った
    • 死亡保険の保険料は、5分の3を被相続人が、5分の2をA自身が拠出していた
    • Bは3000万円、Cは2000万円分の遺産をそれぞれ相続した
    • 死亡保険金の非課税制度、基礎控除以外の控除などは適用なし


    相続税の計算上、死亡保険金のうち、被相続人が拠出した保険料に対応する金額は、相続によって取得されたものとみなされます(相続税法第3条第1項第1号)。
    設例では、Aは5000万円の死亡保険金を受け取っていますが、被相続人が拠出した保険料は全体の5分の3なので、3000万円のみが相続税の課税対象となります。

    A・B・Cが相続した財産(みなし相続財産である死亡保険金を含む)をすべて合計すると、「8000万円」です。
    まずは、この金額に対して課税される相続税の総額を計算します。

    死亡保険金を受け取ったAは相続放棄をしているので、死亡保険金の非課税制度は適用されません。
    したがってこの設例では、適用できる控除は基礎控除のみです。

    基礎控除の金額は「3000万円+600万円×相続人の数」です。
    相続人の数は、相続放棄をした人も含めて「3人」となります。
    したがって、基礎控除の金額は「4800万円」です。

    相続財産全体の金額である8000万円から、基礎控除額4800万円を差し引くと、相続税の課税対象額は「3200万円」となります。
    この金額に対する税額を、相続税の速算表を用いて計算すると、以下のとおりです。

    3200万円×20%-200万円=440万円

    (参考:「No.4155相続税の税率」(国税庁))

    相続税の総額が計算できたので、最後にこれを実際の相続分に従って、A・B・Cの3人に割り振ります。
    Aの相続分は3000万円、Bの相続分は3000万円、Cの相続分は2000万円ですので、相続税の負担割合は3:3:2です。
    したがって、最終的な相続税の課税額は以下のとおりとなりました。

    A:165万円
    B:165万円
    C:110万円

4、死亡保険金以外に相続放棄をした人が受け取れる財産

死亡保険金以外にも、相続財産に含まれない受取人固有の財産であれば、相続放棄をした場合であっても受給することが可能です。
相続放棄をした人が受け取れる死亡保険金以外の財産としては、以下のものが挙げられます。

  1. (1)死亡退職金

    被相続人の勤務先の退職金規程により、従業員の死亡時には遺族に対して死亡退職金を支給することとされている場合があります。

    退職金規程の定め方にもよりますが、特段の事情がない限りは、「死亡退職金を受け取る権利は、受取人の固有財産」と解されています。
    したがって、相続放棄をした人が受取人となっている場合にも、そのまま死亡退職金を受け取ることが可能です

  2. (2)遺族年金

    遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者が亡くなった場合に、その人によって生計を維持していた遺族が受け取れる年金です。
    国民年金に対応する「遺族基礎年金」と、厚生年金保険に対応する「遺族厚生年金」の2種類があり、それぞれ受給資格が異なります。

    (参考:「遺族年金」(日本年金機構))

    遺族年金は、受取人が固有の権利として受給するものであるため、相続の対象外です。
    したがって、相続放棄をした人でも、遺族年金を受け取ることができます

  3. (3)未支給年金

    未支給年金とは、亡くなった被相続人がまだ受け取っていない年金のことです。

    年金受給者が亡くなった場合、本人は年金受給権を失いますが、代わりに遺族が未支給年金の支給を請求することができます。

    この未支給年金の請求権は、「遺族固有の権利」とされています。
    したがって、相続放棄をした場合であっても、未支給年金を請求することが可能です

5、まとめ

相続放棄をした場合でも、自分が受取人に指定されていれば、死亡保険金をそのまま受け取ることが認められます。ただし、特別受益という別の問題が生じる場合があるので注意が必要です。また、死亡保険金には「みなし相続財産」として相続税が課税されるので、納税資金の確保が必要です。

ベリーベスト法律事務所では、相続放棄を含めて、遺産相続の問題解決を全面的にサポートいたします。
また、グループ内税理士がご相談に同席し、相続税申告に関するアドバイスをワンストップでご提供することも可能です。

遺産相続に関してお悩みの方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所 京都オフィスにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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