詐欺罪で捕まったらどうすればいい? 逮捕要件とその後の流れを解説
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最近「オレオレ詐欺」という言葉をよく聞きますが、京都でも、2018年7月に千葉と横浜の特殊詐欺グループの拠点が摘発されています。
詐欺というのはいつの時代も絶えることのない犯罪ですが、一体どのようなケースが詐欺罪と見なされて処罰されるのでしょうか。自分が被害に遭わないために、そして知らないうちに詐欺に加担しないためにも、詐欺罪という罪をしっかりと学んでおきましょう。この記事では、詐欺罪について、そして詐欺事件で逮捕された場合について詳しく解説します。
1、詐欺罪の定義や成立条件
詐欺罪とは、一体どのような犯罪なのでしょうか。まずは詐欺罪の定義や成立条件などを見ていきたいと思います。
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(1)詐欺罪の定義は?
詐欺罪とは刑法246条により、他人を欺いて金銭の交付を受けたり、財産上の不法の利益を得たりすることが処罰の対象となる犯罪行為です。詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役と定められていますので、決して軽い罪ではありません。
また、詐欺罪は未遂でも処罰の対象となります。未遂の場合は財物の交付を受けていないパターンもあるかもしれませんが、その場合でも処罰される可能性があります。 -
(2)どのような条件下で詐欺罪が成立する?
詐欺罪を成立させるためには、下記のような流れが認められる必要があります。 「欺罔行為によって生じた、相手方の錯誤に乗じて財物を処分させ、財物を移転させ、財産上の利益の享受し、実質的な損害を与える」
聞きなじみのない言葉が多いかもしれません。それぞれ解説します。
●欺罔(ぎもう)行為
相手にうその情報を与えるなどをして相手を欺こうとする行為です。
●相手方の錯誤(さくご)
誤った情報を与えられたせいで相手方が事実と異なる認識を抱くことです。
●財物(ざいぶつ)の処分
相手方が自分の意思で財物を手放すことを指します。
つまり、「財物の移転」や「財産上の利益の享受」が発生し、相手方の財産に「実質的損害」が与えられれば詐欺罪の成立となります。
詐欺罪は法定刑が重く設定されていることもあり、処罰される条件が厳格に定められている罪です。欺罔行為があっても、相手方の錯誤がなかった場合や、脅迫されて財産を渡した場合などは詐欺罪として認められないケースもあります。ただし,前者の場合は詐欺未遂罪になり得ますし,後者の場合は恐喝罪になり得ます。 -
(3)詐欺の手口について解説
それでは、実際の詐欺の手口を見ていきましょう。オレオレ詐欺を例に挙げ、それぞれ上述した流れに沿って解説します。
●相手をだます行為
オレオレ詐欺の場合、まず詐欺グループが被害者の肉親を装ってありもしない事故をでっち上げ(欺罔行為)、被害者をだまして(錯誤)金銭を要求します。
●財産の処分から移転
パニックに陥った被害者は指定された口座にお金を振り込み(処分行為)、詐欺グループの口座にお金が入金されます(財物の移転)。結果、被害者の財産に損害が発生した(実質的損害)ため、詐欺罪の構成要件が成立します。
2、詐欺罪で捕まった場合の刑期は?
続いて、詐欺罪の刑期について見ていきましょう。詐欺罪で捕まった場合、どのような刑が設定されるのでしょうか。
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(1)刑法で規定されている詐欺罪の刑期
詐欺罪は、刑法により「10年以下の懲役に処す」と規定されています。必ずしも上限の10年が言い渡されるわけではなく、個別の状況や事情を考慮しながら、裁判所によって決定されます。
初犯で捕まった場合はこの範囲内で量刑が言い渡されることになりますが、場合によっては執行猶予がつくケースもあります。基本的には犯罪行為の重大性(被害金額が多額かどうか等)や悪質性(計画的犯行かどうか,組織的犯行かどうか等)を総合的に見て判断されますので、事件が軽微かつ悪質でなければ執行猶予を得られる可能性もあるでしょう。
しかし、複数回の詐欺事件を起こしているような場合は、併合罪として刑期の上限が1.5倍となります。また初犯でなく、何度も同じ犯行を重ねた累犯で裁判を受ける場合は、刑期の上限が2倍になるケースもありえるのです。 -
(2)執行猶予の可能性はある?
詐欺罪で執行猶予がつく可能性は上述したとおりですが、それ以外にも「被害者と示談を成立させているか」は重要な要素となります。被害者に誠意を尽くして謝罪し、当人同士で話がついているのであれば、ことさら刑期を増やす必要はないと、捜査機関や裁判所が判断するためです。
もちろん、詐欺行為が軽微かつ悪質でない場合に限ります。あまりに重大な犯罪行為をしてしまった場合、もしくは繰り返し逮捕されているような場合は、たとえ示談が成立していたとしても執行猶予を得るのは難しいことがあるでしょう。
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3、詐欺罪での逮捕
では、引き続き詐欺罪で逮捕される条件について見ていきます。
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(1)詐欺罪での逮捕は2種類にわかれる
詐欺罪で逮捕される場合、現行犯かそうでないかによって条件が異なります。
●現行犯逮捕の場合
現行犯逮捕の場合、事件を知ってかけつけた警官、もしくは事件を目撃していた一般人によっても逮捕されます。現行犯逮捕の場合は誰によってどのような被害が発生しているのかが明確ですので、逮捕状の請求は不要です。
●通常逮捕の場合
事件の加害者によって証拠が隠滅される恐れがあったり、逃亡を図ったりする恐れがある場合は通常逮捕(後日逮捕)される可能性があります。この場合、警察官は裁判所に請求した逮捕状を携帯して逮捕に向かうことになります。 -
(2)詐欺罪で逮捕された場合の拘束期間
身柄の拘束を受けている間は、仕事や学校へ行くことができません。期間が長くなればなるほど、その後の日常生活にも大きな影響を与える可能性があります。詐欺罪で逮捕されてしまった場合、どれくらいの期間拘束されることになるのでしょうか。
●72時間の取り調べ
逮捕後取り調べを受けますが、警察は48時間以内に検察へ身柄を検察に送るかどうかを決めなければなりません。送致しない場合は釈放、そうでない場合は身柄を検察に送致しさらに24時間以内で取り調べを受けます。また、事件は送致されて、身柄は釈放されるケースもあるでしょう。その際は、在宅事件として引き続き捜査に協力する必要があります。
●勾留は最大で20日間
検察に身柄が送られてから、さらに身柄を拘束したまま捜査を行う必要があると判断されたとき、裁判所に勾留請求が行われます。勾留されない場合は釈放となりますが、在宅事件として取り扱われ、引き続き捜査に協力する必要があります。勾留が決定した場合は最大20日も拘置所か留置場で過ごすことになります。 -
(3)逮捕されないケースも
詐欺事件を起こしたからといって必ずしも逮捕されるとは限りません。事件の程度も悪質性も軽微であり、かつ証拠隠滅や逃亡の恐れがない場合は逮捕されない可能性があります。ただし、容疑がかからないということでも、取り調べを受けないということでもありません。場合によっては、身柄の拘束を受けないまま捜査が進み、起訴されることがあるということです。
4、詐欺罪で前科がつかないようにするための方法
詐欺事件の被疑者として捜査を受け、起訴されて有罪になれば、前科がつくことになります。逮捕されてしまった場合でも、前科がつかないようにする方法はあるのでしょうか? 順に見ていきましょう。
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(1)被害者と示談交渉を行う
示談とは、被害者への損害賠償を行うなど、当事者同士で事件の解決を図る話し合いを指します。刑事事件における示談では、加害者が被害者に対する賠償を行うとともに、被害者に加害者を許したことを表明してもらうことを目指すことになります。検察は、被害者の処罰感情を非常に重視するため、被害者と示談を成立させることによって、事件が不起訴になる可能性が高まります。
不起訴になれば裁判で罪に問われることはなく、つまり、裁判が開かれなければ前科はつかないということです。もし、起訴されて裁判が開かれたとしても、示談を成立させていれば、執行猶予つきの判決が下る可能性を高めることができるため、無駄にはなりません。 -
(2)示談に応じてもらえない場合は?
通常加害者が被害者と示談しようと思ってもうまくはいきません。被害者側としては加害者の顔など見たくもないというのが本音でしょう。したがって、交渉のテーブルについてもらうことすら難しい場合が少なくありません。
そのような場合、加害者本人や加害者の家族ではなく、交渉の経験や知識が豊富な弁護士など第三者を通して示談交渉を行うと、成功する場合があります。できる限り早いタイミングで弁護士に依頼することをおすすめします。
5、まとめ
詐欺罪で捕まってしまった場合、なるべく早期に弁護士に相談することをおすすめします。被害者との示談交渉はもちろんのこと、取り調べ対応についてのアドバイスや、釈放や不起訴、減刑を得るために働きかけをしてくれることが期待できます。
詐欺事件にかかわってしまい、不安を感じていているのであれば、まずはベリーベスト法律事務所 京都オフィスまでご相談ください。詐欺をはじめとした刑事事件に対応した経験が豊富な弁護士が、適切な弁護活動を行います。
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