交通違反の違反切符とは? 赤・青・白それぞれの違反内容・反則金
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令和3年中の、京都府内の交通事故の発生件数は3859件(前年比259件減)、死亡事故は50件(前年比1件増)、死者数は51人(前年比2人増)、負傷者数は4408人(前年比291件減)でした。
交通違反で警察に呼び止められた場合、「違反切符」が交付されます。
違反切符は、違反の内容によって「赤」・「青」・「白」の3種類に分かれており、それぞれ後の対処法が異なります。
もし違反切符を交付されてしまった場合、処分に対する不服申し立てをするかどうかも含めて、慎重な検討・対応が必要です。
本記事では、交通違反の際に交付される違反切符の概要について、ベリーベスト法律事務所 京都オフィスの弁護士が解説します。
(出典:「交通事故発生状況(令和元年中)」(京都府警察))
1、違反切符とは?
違反切符とは、道路交通法などの交通法令に違反した運転者に対して、警察官から交付される書面のことです。
違反切符の交付は、運転者に対して違反の内容を告知することを主な目的としています。
違反切符には「赤切符」・「青切符」・「白切符」の3種類があり、違反の内容によってどの違反切符が交付されるかが決まります。
2、赤切符・青切符・白切符それぞれの違いは?
交通違反の「程度が重い順」に、赤切符・青切符・白切符が交付されます。
それぞれの違反切符が持つ意味と、運転者に科されるペナルティーについて見ていきましょう。
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(1)赤切符|重大な違反、刑事罰が科される
赤切符は、正式名称を「道路交通法違反事件迅速処理のための共用書式」といい、重大な交通違反行為に関して交付されます。
赤切符が公布される違反行為の代表例としては、以下のものが挙げられます。
- 危険運転致死傷罪に該当する行為
- 酒酔い運転、酒気帯び運転
- 救護義務違反
- 無免許運転
- 高速道での40km以上、一般道での30km以上の速度超過
上記の違反行為は、いずれも一度の違反によって免許取り消しまたは免許停止の処分となります。
さらに、赤切符の特徴は、運転者について起訴・刑事処分が予定されている点にあります。
赤切符を交付された運転者は、正式裁判または略式裁判の手続きによって刑事罰が科され、前科が付いてしまうのです。
赤切符の交付に該当する行為は、それだけ悪質な交通違反ですので、絶対に避けなければなりません。 -
(2)青切符|比較的軽微な違反、反則金を納付する
青切符は、正式名称を「交通反則告知書」といい、赤切符よりも軽微な交通違反に関して交付されるものです。
青切符の交付には非常に多くの交通違反が該当しますが、その代表例としては、以下のものが挙げられます。
- 高速道での40km未満、一般道での30km未満の速度超過
- 運転中の携帯電話の使用
- 信号無視
- 通行禁止違反
- 追い越し禁止違反
- 駐停車違反
- 運転免許証不携帯
上記の各行為は、いずれも道路交通法の原則に従えば犯罪となります。
しかし、交通違反の件数が全国的にあまりにも多いため、すべてを刑事手続きにかけていては、捜査機関や裁判所がパンクしてしまいます。
そこで、青切符に該当する軽微な交通違反(反則行為)については特例が設けられており、反則金を納付すれば、刑事訴追を免れることができるのです(交通反則通告制度。道路交通法第128条第2項)。
反則金の金額は、違反行為の類型ごとに定められ、低額では3000円(運転免許証不携帯など)、高額では4万円(大型車の高速道における35km以上40km未満の速度超過など)となっています。 -
(3)白切符|運転免許証の違反点数のみ、罰金・反則金なし
白切符は単に「告知票」と呼ばれており、もっとも軽微な類型の交通違反に関して交付されます。
白切符が交付されるのは、反則金を納付する必要がない交通違反の場合です。
一例としては、以下の行為が挙げられます。
- シートベルト装着義務違反
- チャイルドシート使用義務違反
- 乗車用ヘルメット着用義務違反
白切符が交付される違反の場合、反則金を納付する必要はありませんが、免許証の違反点数として1点が加算されます。
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3、違反切符を交付された後の流れは?
赤・青・白の各違反切符の交付を受けた場合、その後どのようにして手続きが進んでいくかについて解説します。
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(1)赤切符の場合
赤切符が交付された場合、運転者は刑事手続きによって裁きを受けることになります。
危険運転致死傷罪や、自動車運転過失致死罪など、禁錮刑以上が相当と認められるケースにおいては、運転者は起訴され、正式な刑事裁判の手続きへと進みます。
正式裁判では、裁判所の法廷において、運転者が有罪か無罪か、および有罪の場合は量刑が決定されます。
これに対して、被害者がいないケースを中心に、罰金刑以下が相当と認められる場合は、運転者が正式裁判か略式裁判かを選択することが可能です。
裁判所の法廷で行われる正式裁判に対して、略式裁判は簡易裁判所内の交通裁判所における書面上の審理のみが行われるため、手続きは1日で済みます。
略式裁判によって運転者に科される罰金は、違反行為の内容を裁判官が精査したうえで決定されます。
低額の場合は数万円程度、高額の場合は100万円が上限です(刑事訴訟法第461条)。 -
(2)青切符の場合
青切符が交付された場合、運転者は反則金の納付を求められます。
反則金は、青切符に添付された納付書に記載された期限までに、郵便局または銀行を通じて納付します。
反則金を納付した場合、運転者に対する処分はその時点で終了となり、起訴されて刑事裁判に進むことはありません。
これに対して、運転者は反則金を納付しない選択をすることも可能です。
反則金を納付しない場合、交通反則通告制度により「起訴されない」という特例が適用されませんので、運転者は検察官により起訴される可能性があります。
運転者が起訴された場合、その後の手続きは赤切符の場合と同様です。 -
(3)白切符の場合
白切符が交付されるケースでは、運転免許証の違反点数が加算されることのほかには、特にペナルティーはありません。
したがって、白切符が交付された時点で処分は完了しており、それ以降は特に必要な手続きはありません。
4、違反切符の内容に不服がある場合の対処法
違反切符の中でも、赤切符または青切符が交付された場合、罰金や反則金を納付する必要があるなど、運転者に現実的なデメリットが発生してしまいます。
もし違反切符の内容に不服がある場合、以下の点に留意して適切に対応しましょう。
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(1)赤切符の場合は法廷で罪状を争う
赤切符が交付されたケースでは、正式裁判または略式裁判による起訴は免れません。
罰金刑になるとしても、その金額は高額であり、また前科が付いてしまうというデメリットもあります。
そのため、捜査機関が主張する違反内容に誤りがある場合には、正式裁判の場で罪状を争いましょう。
法廷では、検察官が運転者の罪状について立証を行いますが、弁護士と協力して適切な反証を行えば、検察官立証を覆せる可能性があります。
正式裁判を戦うことを選択する場合は、事前の準備をしっかり整えるため、弁護士への相談をおすすめします。 -
(2)青切符の場合は反則金を納付しない
青切符に該当するケースにおいて、現実的に運転者が起訴される可能性はそれほど高くないと考えられます。
その理由としては、違反行為の立証が難しいケースも多いことと、それほど悪質な違反とは言いにくいケースが多いことの二つが挙げられます。
しかし、反則金を納付しない場合、制度上は起訴される可能性が残りますので、万が一起訴された場合に備えて、適切な反論を準備しておくことが大切です。 -
(3)交通違反を正式裁判で争う場合は弁護士にご相談を
主に赤切符の交付を受けたケースで、罪状が重大な場合や、略式裁判を拒否した場合には、正式な刑事裁判の場で検察官と対峙(たいじ)しなければなりません。
正式裁判では、重い犯罪が認定された場合には、懲役刑や禁錮刑が科される可能性があります。
また、罰金刑にとどまる場合であっても、前科が付くと社会的な信用力が低下してしまいます。
このように、正式裁判の結果次第では、運転者にとって深刻なデメリットが発生してしまいますので、事前に周到な準備を整えておくことが重要です。
そのためには、弁護士と相談をして、法的観点からの主張を組み立てることをおすすめします。
5、まとめ
交通違反に対する違反切符には、違反の内容が重いものから順に、赤切符・青切符・白切符の3種類があります。
違反の内容に納得がいかない場合には、略式裁判や反則金の納付を拒否して、正式裁判に備えるほかありません。
万が一交通違反で起訴されてしまった場合に備えて、検察官の主張・立証を崩せるだけの準備を整えておきましょう。
ベリーベスト法律事務所には、交通違反に関する刑事事件に詳しい弁護士が多数在籍しています。
違反切符の交付を受けてしまい、対処法に困っているという運転者の方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所 京都オフィスへご相談ください。
弁護士が親身になって、その後の対処法についてアドバイスを差し上げます。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています