どこからが暴行? 暴行罪の定義や具体例、量刑などについて

2023年12月28日
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どこからが暴行? 暴行罪の定義や具体例、量刑などについて

暴行と聞くと、殴る、蹴るなどの明らかな暴力行為をイメージされることでしょう。

しかし、思ってもみなかった行為が暴行罪に当たり、逮捕される可能性もあります。

この記事では、暴行罪の具体的行為や量刑について、傷害罪との違いを踏まえてお伝えするとともに、相手に暴行を加えてしまった場合の対処法も解説します。


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1、暴行罪の定義

暴行罪とは、刑法第208条に定められ、「人の身体に対し不法に有形力を行使すること」で成立する犯罪です。具体的にどのような行為が暴行に当たるのか、傷害罪とは何が違うのかを解説します。

具体的には、以下のようなケースについても暴行とみなされることがあります。

  1. (1)暴行罪における「暴行」とは

    暴行罪の典型例としては、殴る、蹴る、たたく、突くなど、いわゆる「暴力」と呼ばれる、身体に直接触れる行為が挙げられます。ただし、暴行罪における暴行の範囲は非常に幅広く、たとえ身体への接触がなかったとしても、被害者の身体に影響を及ぼす可能性がある行為が暴行罪に該当することがあります

    • 着衣を強く引っ張った
    • 胸ぐらをつかんだ
    • 食塩をふりかけた
    • 室内で日本刀を振り回した
    • 太鼓を狭い室内で連打した(音による暴行)
    • 嫌がらせ目的で並走中の自動車に幅寄せした(あおり運転)
    • 相手を驚かせるつもりで相手の近くを狙って石を投げた
    • 水やお茶などをかけた
  2. (2)傷害罪との違い

    傷害罪は暴行を働いた結果、相手がケガをしたときに問われる罪です。
    なお、傷害罪におけるケガとは、生理機能の障害や医学的な基準にもとづく精神症状の継続などを指し、厳密には医師の診断によって判断されます。

    つまり、暴行を加えた結果て相手がどうなったかによって、問われる罪が変わることになります

2、暴行罪の刑罰について

暴行罪の罰則は、「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」と、刑法第208条で定められています。暴行罪で有罪になったときは、この範囲内で量刑が決まります。

それぞれの刑罰の内容は具体的に以下のとおりです。

  • 懲役(ちょうえき)……刑務所で服役することで身体の自由を拘束する自由刑
  • 罰金(ばっきん)……1万円以上の金額を支払う財産刑
  • 拘留(こうりゅう)……30日未満、刑務所や拘置所で身体の自由を拘束する自由刑
  • 科料(かりょう)……1万円以下の金額を支払う財産刑


たとえば、初犯である、悪質性が認められないなどの場合には、いきなり懲役刑とはならず、罰金刑で済むこともあるでしょう。

一方で、罰則に懲役刑が含まれていることから、たとえ相手にケガをさせていなくとも、刑務所に収監される可能性がある点は押さえておきたいところです。暴行に該当する行為が幅広いため、悪質性が高いと判断されたり、前科や前歴があったりする場合は、量刑が重くなると考えておいたほうがよいでしょう

3、暴行罪で逮捕された後の流れ

暴行罪で逮捕された後は、他の刑事事件と同様に、以下の流れで手続きが進みます。

  • 逮捕後48時間以内…警察による取り調べ、検察庁への送致の決定
  • 送致後24時間以内…検察官による勾留の検討、裁判所への勾留請求
  • 勾留決定後…原則10日間、延長10日間の身柄拘束
  • 勾留期間満了まで…起訴・不起訴等の決定


「勾留(こうりゅう)」とは、逮捕後も引き続き身柄を拘束したまま捜査を行うことを指します。逃亡や証拠隠滅などの可能性があるときにのみ認められる措置です。勾留の必要がないと判断されれば、その時点で「在宅事件扱い」に切り替わり、身柄は解放されます。

勾留の必要があると判断されると、最長で23日もの間、身柄を拘束される可能性があり、日常生活に多大な影響を与えるおそれがあるでしょう。さらに、「公判請求」として起訴されると、刑事裁判が終わるまで、原則、身柄拘束が続くことになります。公判請求後、帰宅したい場合は、保釈手続きを行い、認めてもらわなければなりません。保釈には保釈金が必要となります。

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4、暴行事件を起こしたときの対処法

相手に暴行を加えて逮捕されれば、長期にわたり仕事や学校へ行くことができなくなる可能性があるうえ、前科がついてしまい、将来にわたる影響を受ける可能性もあるでしょう。では、どのようにすれば、長期にわたる身柄の拘束や前科がつくことを回避できるのでしょうか。

  • 罪を認めて謝罪する
  • まずは暴行したことを素直に認め、真っ先に謝罪することが大切です。謝罪をすれば、被害者が事件化を望まないケースも少なくありません。もちろん、謝れば許してもらえるだろうと軽い態度で臨むのではなく、誠心誠意謝罪することが重要です。

  • 被害者と示談をする
  • 被害者が謝罪には応じず、後になって逮捕されるのではないかと不安な場合には、示談がひとつの有効な手段となります。示談とは、当事者同士の話し合いによって事件を解決する手続きのことです。


示談は基本、当事者同士で話し合うものですが、暴行事件の場合、加害者が直接被害者に接触することで、被害者感情を逆なでしてしまい、示談交渉そのものができなくなってしまうこともあります。そのため、示談交渉は弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士が介入することで、スムーズに示談が進むケースは少なくありません。

5、まとめ

暴行罪における暴行の範囲は実に幅広く、とっさの行為でも逮捕され刑罰を受ける可能性があります。暴行を働いてしまい、逮捕や量刑に不安を抱えている方は、罪を認めて反省するとともに、速やかに弁護士に相談することが大切です。

暴行罪による逮捕や刑事処罰等がご心配な方は、ベリーベスト法律事務所 京都オフィスまでお気軽にご連絡ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています