解雇されたのに解雇通知書がもらえない場合の対処法は? 弁護士が解説
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京都市では、勤めていた会社から解雇や雇い止めを受け、住んでいた社宅や住居を出ていかなくてはならない場合、市営住宅の一部を利用することができるという一時使用の決まりを設けています。この決まりにしたがって利用しようとした場合、解雇通知書という書類の提出が求められます。
では、解雇通知書とはどのような書類なのでしょうか。もし会社から解雇通知書もらえない場合は、どのように対処すればよいのかなど、京都オフィスの弁護士が解説します。
1、解雇予告をされたときに確認すべきこと
会社からクビといわれてしまったら、退職後の金銭面の問題などさまざまな不安が押し寄せるかもしれません。いわゆるクビは法律上「解雇」と呼びますが、会社は、労働者を雇った以上、簡単に解雇ができないよう法律で定められています。不当な解雇が行われた場合、裁判などで争うことができるため、解雇予告された際に、不当解雇でないかをきちんと確認する必要があるでしょう。
解雇を知らされると、多くの方が気落ちされるはずです。会社や仕事への思いや熱意が薄れてしまい「どうでもいい」と思ってしまうかもしれません。しかし、労働者として主張できる権利を主張することで、泣き寝入りさせられるという事態を回避できるのです。
不当解雇かどうかを確認するためには、なによりもまず、解雇予告がきちんとした理由に基づいているかどうかを確認してください。解雇の場合、会社の内部規則や労働関連の法律に定められている基準に基づいている必要があります。会社の内部規則や就労時に交わした契約書等も念のため、確認したほうがよいでしょう。
さらに、懲戒解雇などあなたに重大な帰責性がある解雇でかつ一定の条件を満たしていない限り、会社側は解雇予告手当を支払わなければなりません。もし支払われていなければ、あなたは会社に対して解雇予告手当の支払いを求めることが可能となります。
そのためにも、解雇理由が明記された証明書や通知書が必要です。なぜなら、いざ裁判上の争いになったときは証拠が非常に重視されるためです。あなたに不当な解雇である、もしくは解雇予告手当が支払われてないという証拠がない場合は、請求が認められない可能性もあります。
上述した理由から、会社に対して解雇(予告)通知書の発行を申し出ましょう。なお、解雇予告手当ての給付は、解雇予告から30日以内に解雇された場合に適用されます。したがって、解雇(予告)通知書に記載された日付もきちんと確認しておく必要があります。口頭では「明日から来るな」と言われたにもかかわらず、過去の日付を記載されていたために請求できなかったなどのケースもあります。
2、解雇(予告)通知書と解雇理由証明書の違いは?
「解雇(予告)通知書」は、雇い入れた従業員に対し解雇を知らせるものです。この解雇(予告)通知書は、解雇手当ての支払いなど一定の条件を満たせば、作成する必要がないとされている書類です。言い換えれば「会社に解雇(予告)通知書の発行義務はない」ということになります。自動的に発行してくれるわけではないため、必要なときはあなたから発行を求める必要があります。
もし、解雇(予告)通知書がもらえない場合は、解雇理由や日時などが明記されている「解雇理由証明書」を求めましょう。法律上、解雇理由証明書を求められた会社は必ず発行しなければならないと定められています。
解雇されてしまったときは、必ず会社に対して解雇理由証明書の発行を求めましょう。
3、会社が解雇予告通知書・解雇理由証明書を出してくれない理由は?
冒頭のケースのように、行政サービスを受けるときに解雇予告通知書などが必要になるケースがあります。しかし、解雇予告通知書などの発行を嫌がる会社もあるようです。
なぜなら、解雇の理由を書きたくないためです。冒頭で述べたとおり、会社側が自由に解雇できないよう、解雇が可能となる条件が厳しく法律などによって定められています。しかも、解雇理由証明書の書式そのものは自由ですが、就業規則○○条に該当するため、といった抽象的な解雇事由の記載では済みません。具体的な解雇の理由を記載する必要があるのです。
法律で定められている解雇の基準を満たしていなければ、不当解雇として裁判などを起こされてしまう可能性があります。また、書類作成そのものにも手間がかかります。だからこそ、書類を発行することに二の足を踏むという結果になっているようです。
もし、解雇理由証明書や解雇通知書をもらえない場合はどうしたらよいのでしょうか。以下で詳しく解説します。
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4、解雇通知書をもらえないときの相談先は?
どんなに交渉しても解雇予告通知書・解雇理由証明書などがもらえない場合、どうしたらよいのでしょうか。
まずは、会社側に再度交付を求めましょう。自分で交渉してみてうまくいかない場合、以下の機関への相談を検討しましょう。それぞれのメリット、デメリットについて解説します。
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(1)労働基準監督署
解雇予告通知書がもらえない場合、労働基準監督署(労基署)に相談することができます。労基署の主業務は、労働基準法にのっとった業務の改善指導です。無料で相談を受け付けてくれ、違法行為をしている会社に対しては指導などを行ってくれます。
したがって、会社が違法行為をしていれば改善するよう求めてくれますが、あなた個人が手当てなどを受け取れるように行動してくれるわけではないことは知っておきましょう。 -
(2)都道府県労働局
労働基準監督署とは別に、都道府県労働局に対しても、無料で相談することができます。相談できるだけでなく、労働局では会社側と任意の話し合いの場を仲立ちしてくれる「あっせん」という制度を無料で利用することも可能です。
しかし、会社側に歩み寄りの姿勢が見られない場合、そのまま問題が解決せずに終結することになります。労働局には、相手側企業を無理やり話し合いに出席させる強制力はないからです。 -
(3)弁護士
相談先として弁護士という選択肢もあります。依頼を受けた弁護士は、あなたの代理人として、解雇予告通知書や解雇理由証明書などを発行するよう求めることができます。
解雇理由証明書などが発行されている場合は、この理由自体がきちんと法律に基づいているのかどうか、解雇理由としてそもそも正しいかどうか判断してもらうことができます。さらには、会社側との交渉する際の窓口として対応できるため、あなた自身が会社側と交渉する必要はなくなります。
弁護士であれば、あなた個人が抱えるトラブル解決のため、会社側との直接交渉や、場合によっては審判や裁判にいたるまでの全面的なフォローが可能です。また、弁護士があなたに代わって交渉に当たるため、あなたは新しい仕事を探したり体調を整えたりするために時間を使うことができます。
5、まとめ
解雇予告通知書は、解雇通知がなされたときに、会社から受け取ることができる書類のひとつです。解雇理由が記載されているため、裁判で争うときの証拠にすることができます。解雇予告通知書を会社側が発行してくれない場合は、解雇理由証明書の発行を求めるようにしましょう。いずれも弁護士が介入することは可能です。
解雇通知書がもらえないことでお困りなら、ベリーベスト法律事務所京都オフィスまでご連絡ください。京都オフィスの弁護士が力を尽くします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています