ランチミーティングは違法?労働時間として扱われる?弁護士が疑問を解決

2019年09月25日
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ランチミーティングは違法?労働時間として扱われる?弁護士が疑問を解決

平成29年度に京都府の労働基準監督署などに寄せられた労働問題の相談総件数は、前年より6.3%増の24823件でした。
働き方改革により長時間労働の是正に向けた動きが加速する中で、より時間を効率的に活用しようという動きはますます活発化していくことでしょう。そうした中、近年ランチミーティングと称し、お昼の休憩時間を会議に充てるようなケースも出てきています。
本コラムでは、「ランチミーティングは違法なのか」「ランチミーティングの時間は労働時間として扱われるのか」といった疑問をベリーベスト法律事務所 京都オフィスの弁護士が解決していきます。


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1、ランチミーティングとは

ランチミーティングとは、一般的に職場の社員同士で昼食を食べながら業務上の意見交換などを行うことをいいます。
ランチミーティングでは、正式な会議と違って食事をしながら和やかに意見交換などができるので、社員同士の交流を深めることもできます。
ただ、休憩時間が丸々会議に充てられたり、参加しなければ人事評価や待遇面で不利益を受けるなど、実質的にランチミーティングが強制されるケースもあります。

2、ランチミーティングは違法なのか?

ランチミーティングが実施されること自体は、違法ではありません。
しかし、休憩時間との関係で違法になる可能性があります。

  1. (1)そもそも休憩時間とは

    休憩時間については、労働基準法に規定があります。
    労働基準法第34条1項では、会社は、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないことを規定しています。
    そして同法34条3項では、会社は休憩時間を自由に利用させなければならないことを明記しています。

  2. (2)ランチミーティングと休憩時間

    ほとんどの会社では、休憩時間を昼食時に設定していることでしょう。
    したがってランチミーティングは、本来自由に利用できるはずの休憩時間に行われることになります。
    そのため休憩時間にランチミーティングと称して会議を行うことに対して、違法ではないかという疑問が生じます。

  3. (3)ランチミーティングは違法になる可能性がある!

    休憩時間は自由に利用することが保障されている時間なので、ランチミーティングに参加しても参加しなくても個人の自由といえます。
    しかしランチミーティングに強制的に参加させられる場合は、休憩時間が自由に利用できる状況とはいえません。
    こういった場合には、会社は労働基準法に定められている休憩時間を与えていないことになるので労働基準法違反となります。

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3、ランチミーティングの時間は労働時間として扱われるのか?

ランチミーティングに参加した場合には、その時間は労働時間として扱われるのでしょうか。

  1. (1)労働時間とは

    労働時間とは、労働者が労働に従事している時間のことです。実際に労働に従事している時間だけでなく、会社や上司の指揮命令下に置かれていると評価できる時間も労働時間に含まれます。

  2. (2)ランチミーティングの時間は労働時間として扱われる可能性が高い!

    ランチミーティングの時間は、会社や上司の指揮命令下に置かれていると判断されれば労働時間として扱われます。
    具体的には「会社や上司の指示した場所」で「会社や上司から参加を強要されたり余儀なくされた」場合には、労働時間となります。
    そのためランチミーティングに強制参加または実質的に強制参加させられる場合は、労働時間として扱われます。
    また半強制参加または自由参加のランチミーティングでも、担当業務に関する内容が濃いミーティングであるような場合は、労働時間として扱われる可能性は高くなります。

4、ランチミーティングが違法でなくなる場合とは?

ランチミーティングを強制的に行っている場合でも、別の時間に休憩時間を取ることができるのであれば違法にはなりません。
ランチミーティングを行い、休憩時間を与えないことが違法となるのですから、他に休憩時間を確保できれば問題はないことになります。

5、賃金や休憩時間を請求するためには「証拠」を収集しておく

ランチミーティングが労働時間に該当する場合には、その分の賃金や休憩時間を会社に請求することができます。
しかし会社に請求する上では、ランチミーティングの時間が労働時間に該当することを示す証拠が会社側を説得するための重要な材料になります。
また労働審判や訴訟などの法的手段で会社に請求する場合でも、主張が認められるためには証拠の存在が必要不可欠となります。
そのため「日頃から証拠を収集しておく」「早期に弁護士に相談して証拠の収集についてアドバイスを受ける」といった対策をしておくとよいでしょう。

6、賃金や休憩時間に関する相談先

ランチミーティングの実施によって「休憩時間がなくなった」「その分の賃金が支払われない」といった状況を改善するためには、まず社内で話し合うなど解決を試みるとよいでしょう。
しかし社内で解決できない場合には、労働基準監督署や弁護士に相談するという選択肢があります。

  1. (1)労働基準監督署

    労働基準監督署は、会社が労働基準法などの労働関係の法令を遵守しているかをチェックする公的な機関です。労働基準監督署では、会社に対して是正指導などの行政処分を行うことができます。また労働問題に関する相談も受け付けています。
    ただし労働基準監督署に相談した場合でも、会社との交渉や法的な手続きはご自身で行う必要があります。
    京都府内の労働基準監督署や相談窓口に関しては、京都労働局のホームページでご確認ください。

  2. (2)弁護士

    弁護士は、賃金や休憩時間などの労働問題を解決するために代理人として会社と交渉することができます。
    また会社側も、弁護士が交渉に入ることで本格的に対応し改善を図る姿勢を見せることも多いものです。
    そのため、早期解決につながる可能性が高まるといえるでしょう。
    会社との話し合いで解決できない場合には、弁護士は依頼者の方と相談しながら法的手段を考えます。
    法的手段には、迅速な解決を目指して行われる労働審判や判決によって解決を図る労働裁判などがあります。
    これらの法的手段の中でも、弁護士は専門知識と豊富な経験を生かして有利な解決にできるように活動できます。

7、まとめ

本コラムでは、「ランチミーティングは違法なのか」「ランチミーティングの時間は労働時間として扱われるのか」といった疑問を取り上げていきました。
疑問は解消できたでしょうか。
ランチミーティングによって休憩時間がなくなってしまう場合には、休憩時間や未払いとなる賃金を請求することができます。
ベリーベスト法律事務所 京都オフィスの弁護士は、労働問題に関するご相談に対して納得できる解決ができるように尽力いたします。ぜひお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています