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【前編】他人の忘れ物を持ち帰ったら罪になる? 置き引きと窃盗罪の違いについて

2019年05月10日
  • 財産事件
  • 置き引き
  • 前編
  • 京都
【前編】他人の忘れ物を持ち帰ったら罪になる? 置き引きと窃盗罪の違いについて

平成30年9月、京都府警伏見署は一緒に食事をしていた相手が席を立った際、相手の財布から現金を盗んだ男を、窃盗容疑で現行犯逮捕したという報道がありました。

このケースのように、置いてある他者の所有物を無断で持ち帰るという行為は「置き引き」と呼ばれます。置き引きとはどのよう罪に該当するのでしょうか。そして、どのような刑事罰が与えられるのでしょうか。

そこで、今回はベリーベスト法律事務所 京都オフィスの弁護士が置き引きの罪や刑事罰、逮捕された場合の流れなどを丁寧に解説します。

1、どのようなケースが置き引きに該当するのか?

置いてあった他人の物を持ち去る行為を「置き引き」と呼びます。置き引きは、刑法に規定されている罪名ではなく、「ひったくり」や「万引き」のような慣用的な言葉です。

たとえば以下のようなケースが置き引きに該当します。

  • ATMに置いてあった他人の財布を持っていった場合
  • 駅の網棚に置いてあったカバンを持っていった場合
  • 公園で隣の席に座っていた人が席を立った隙に財布を盗んだ場合

置き引きは状況によって、適用される罪名が異なります。盗むつもりがなかった場合や、落ちていた状況などに応じて個別に判断する必要があるのです。

適用される罪については次の項目で詳しく解説します。

2、置き引きするとどのような罪に問われるのか

置き引きは「窃盗罪」と「占有離脱物横領罪」のどちらかが適用される可能性が高い行為です。では、どうすればどちらが適用され、その場合に科される刑罰について解説します。

  1. (1)窃盗罪の概要

    窃盗罪は、刑法第235条によって以下のように規定しています。
    他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役、又は50万円以下の罰金に処する

    「財物」とは、お金や物品などの価値がある「物」です。一般的に価値がないと思われる「思い出の品」や「記念品」なども、持ち主にとって価値があれば財物になる可能性があります。

    窃盗罪は、盗んだ物の種類や盗み方によって別の犯罪に問われる可能性があります。たとえば、盗むときに暴行や脅迫をした場合は「強盗」ですし、不動産を盗んだ場合は「不動産侵奪」の罪に問われるでしょう。

  2. (2)窃盗罪になる条件

    窃盗罪が成立するためには「故意であること」と「不法領得の意思」の2つの条件を満たしている必要があります。

    不法領得の意思とは、専門的にいうと「権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従いこれを利用もしくは処分する意思」のことです。簡単にいえば、他人の物を自分の物として使う、もしくは売ってお金にしようとする意思のことを指します。

    たとえば、他人の自転車を無断で使った場合であっても、「一時的に借りただけで盗むつもりがなかった」と主張すれば窃盗罪が成立しない可能性もあるのです。ただし、「一時的に借りるつもりだったのか」、「自分の物にするつもりだったのか」の判断と立証は非常に難しい物です。一時的に借りたつもりでも窃盗罪で逮捕される可能性もあるでしょう。

  3. (3)占有離脱物横領罪になる場合もある

    「置き引き」という行為は、状況によって窃盗罪ではなく「占有離脱物横領罪」に問われる可能性もあります。占有離脱物横領とは遺失物、漂流物などの拾いものなど、他者の占有を離れた物を自分の物にする行為のことです。

    占有離脱物横領は、刑法によると「1年以下の懲役または10万円以下の罰金、もしくは科料」と規定されており、窃盗罪よりも刑罰が軽く設定されています。

    置き引きがどちらに該当するのかは、今後の人生を左右する大きな問題となるかもしれません。窃盗罪と占有離脱物横領罪、どちらの罪に問われるのかは「盗んだ物が他人の占有状態にあったかどうか」をポイントに考える必要があります。

    「占有状態(せんゆうじょうたい)」とは、所有、管理下にある状態のことです。過去の裁判例によると、たとえ手に持っていなくても「所有していた」、「管理下にあった」とみなされて、窃盗罪になるケースもあります。したがって、個別に慎重に判断しなければなりません。

    ●持ち主が5分間置き忘れた物を置き引きした
    距離がそれほど遠くない上に、放置していた時間も短いケースでは、「占有状態」であったと判断される可能性が高いです。その場合は、占有離脱物横領罪ではなく、窃盗罪が適用される可能性があります。

    ●持ち主が戻らないことを確認してから置き引きした
    置き引きした者が持ち主を把握し、盗み取るチャンスを待っていたケースです。この場合も占有状態であったと判断されて窃盗罪が言い渡される可能性が高いでしょう。

    ●持ち主が放置したことを忘れていた自転車を盗んだ場合
    このケースでは、窃盗罪ではなく占有離脱物横領罪として罪が問われる可能性があります。

    このように、所有者が放置していた時間や状況などによって、同じように置き引きをしても、窃盗罪か占有離脱物横領罪かは異なります。状況をしっかり確認した上で慎重に判断する必要があるので、簡単に区別をすることができません。

    後編では、引き続き京都オフィスの弁護士が、置き引きで逮捕された後の流れなどについて解説します。
    >後編はこちら

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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