【後編】他人の忘れ物を持ち帰ったら罪になる? 置き引きと窃盗罪の違いについて
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京都府警が発表する統計調査によると、平成30年の置き引き被害の認知件数は611件ありました。そこで前編では、置き引きした時に問われる可能性がある罪について解説しました。
後半では、置き引き容疑で逮捕された後の流れや減刑するためにできることなどについて、京都オフィスの弁護士が解説します。
3、置き引きで逮捕されたあとの流れ
置き引きは、窃盗罪か占有離脱物横領罪に問われる可能性がある犯罪行為です。持ち主が通報すれば逮捕される可能性があります。
逮捕された場合は、警察や検察によって捜査が行われたのち、起訴するかどうかが判断されます。起訴された場合は刑事裁判を通じて、有罪か無罪か、有罪の場合は罪の重さなどが決定します。具体的にどのような流れになるのかを知っておきましょう。
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(1)逮捕後はどうなる?
逮捕後は、警察が48時間以内の限度で捜査を行います。その後身柄の拘束が必要と考えれば検察官に事件を引き継いで、24時間以内に検察官が「勾留(こうりゅう)」の必要性を判断します。必要と判断すれば裁判所に「勾留請求」を行い、裁判所も勾留が必要と決定すれば拘置所などに最大20日間身柄を拘束されます。
勾留期間中、もしくは捜査が終わり次第、検察官は「起訴するかどうか」を判断します。起訴された場合は刑事裁判が開かれます。不起訴になった場合は直ちに元の生活に戻ることができます。前科もつきません。
しかし、起訴されて刑事裁判が開かれると99.9%が有罪となるという統計があります。したがって、起訴を回避できるよう働きかけることが重要になります。
また、逮捕後の身柄拘束が長期化すると、学校や会社などを休み続けることになります。万が一のときは、今後の人生に大きな影響を及ぼす可能性は否定できません。そうならないためにも、事件を起こしてしまったときは、できるだけ早い段階で弁護士に弁護活動をスタートしてもらうよう依頼することをおすすめします。 -
(2)在宅事件扱いになるケース
軽微な犯罪の場合は、逃亡や証拠隠滅のおそれがなければ、身柄を拘束する「逮捕」が行われず、自宅で日常を過ごしながら取り調べに応じて捜査される「在宅事件扱い」となる可能性があります。
逮捕前から弁護士を依頼していれば、逃亡のおそれや証拠隠滅をする可能性がないことを、弁護活動によって捜査機関に働きかけます。結果、在宅事件扱いとなる可能性を高めることができるでしょう。 -
(3)逮捕や起訴を回避するためには?
窃盗罪や占有離脱物横領罪は「相対的親告罪」です。したがって、あなたが行った置き引きの被害者が配偶者や直系の親族などだったときは、被害者自身が告訴しなければ刑事裁判を起こすことができません。その場合、早期に示談を成立させて告訴を阻止できれば、置き引きで有罪になるどころか逮捕されることもありません。
また、被害者が加害者と一切関係がない他人であっても、警察や検察は被害者の処罰感情を非常に重視します。つまり、示談を成立させて、被害者から罪を許すという言葉を得ていれば、長期にわたる身柄の拘束や起訴を回避できる可能性が高まります。
多くの被害者は、加害者や加害者家族と直接交渉を行うことを嫌がるものです。しかし、弁護士であれば示談交渉に対応してもらえるケースは少なくありません。この点からも、早期に弁護士に依頼して、示談を行うことが重要となるでしょう。
4、置き引きをしてしまったら、すみやかに弁護士へ
置き引きで逮捕された場合、逮捕されそうな場合は、できるだけ早く弁護士に対応を依頼することが大切です。
まず逮捕後の身柄拘束を避けること、そして勾留を回避することが最優先です。それと同時並行で被害者との示談交渉を進める必要もあります。
弁護活動を行うことで、故意ではなかった、窃盗ではないなどと主張することにより、刑罰を軽くすることも可能です。また、逮捕後の72時間は家族との面会も許されず、閉鎖された空間で厳しい取り調べを受けうることになります。しかし、弁護士であればいつでも接見可能なため、取り調べで不利な自白をするリスクも低くなります。
また、逮捕前に弁護士に相談することで、警察に同行して説明することも可能です。弁護士の弁護活動によって、身柄拘束が避けられる可能性が高まるなどのメリットも考えられます。
5、まとめ
置き引きは窃盗罪、もしくは占有離脱物横領罪に該当する可能性がある犯罪行為です。被害者が告訴すれば、逮捕される可能性があります。わざとではなくても、逮捕されてしまうリスクがありますので、置き引きをしてしまったという方はなるべく早めに弁護士に相談しましょう。
少しでも早く相談することで身柄拘束や起訴を避けられる可能性があります。ベリーベスト法律事務所 京都オフィスでも相談をお請けしています。お気軽にお問い合わせください。現状をきちんと確認した上で、最善の弁護活動を行います。
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